kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「河井前法相夫妻の公設秘書ら3人逮捕、焦点は連座制ではなく『検察の意地』」(戸田一法/ダイヤモンドオンライン)

 最近は悪人のやりたい放題が目立つのがこの国であって、東京では江東区衆院選の選挙区は東京15区)の秋元司が悪目立ちしている他、対立候補柿沢未途もカジノ推進派だったりするが、全国的に注目されているのはやはり広島の河井克行・案里夫妻だろう。広島地検は3日、河井夫妻の公設秘書ら3人を公職選挙法違反の疑いで逮捕した。

 この件では、参院議員・案里への連座制適用による失職と逮捕の可能性ばかりに気を取られていたのだが、下記のダイヤモンド・オンラインに戸田一法氏が書いた記事によれば、案里陣営の実質的な選挙責任者は克行その人であり、衆院議員にして前法務大臣である克行の首も危ないのだという。

 

diamond.jp

 

 以下引用する。

 

 新聞やテレビは「連座制」の行方について連日論じているので、その点についてまず言及したい。

 連座制とは、簡単に言えば候補者の関係者が選挙違反をした場合、直接には違反をしていない候補者の当選無効や立候補の制限など連帯責任を課す制度だ。

 先進国では当たり前の制度で、国によって異なるが、日本では公選法251条2~4に規定されており、総括責任者や出納責任者、地域主宰者、候補者の親族らが悪質な違反をした場合に適用される。

 公選法は1950年の施行時から連座制を導入していたが、80~90年代にリクルート事件や佐川急便事件など「政治とカネ」を巡る事件が相次ぎ、政治腐敗防止策として94年の同法改正で組織的選挙運動管理者や秘書も対象となった。

 96年には衆院選宮城6区で当選した菊池福治郎氏が秘書の長男による違反で連座制に問われ議員辞職し、その後、引退した。

 2003年には衆院選宮城1区と2区で民主党今野東氏と鎌田さゆり氏がいずれも後援会幹部の違反で議員辞職に追い込まれ、永田町では「仙台ダブルプレー」と揶揄(やゆ)された。

 記憶に新しいところでは、12年衆院選鹿児島2区の医療法人「徳洲会」グループを巡る徳田毅氏だろうか。東京地検特捜部の起訴を受け、徳田氏は失職前に辞任した。

 

「前法相の首も寒い」との噂(うわさ)

 

 今回のケースはどうだろう。

 全国紙社会部デスクによると、立道容疑者が秘書になったのは参院選後だが、選挙戦も街頭演説の予定やアナウンス運動員らの活動を取り仕切っていた。

 総括責任者や出納責任者などの肩書を持っていなくても「陣営に所属し、現場リーダーとして街頭演説の計画などを立案した」として、組織的選挙運動管理者と認定した判例があり、十分に該当する可能性がある。

 高谷容疑者は案里氏ではなく克行氏の秘書だが、同デスクによると実際に選挙戦を仕切ったのは克行氏とされる。

 であれば克行氏は衆院議員の地位に影響はないとはいえ、実態として総括責任者が克行氏であり、その指示で高谷容疑者が行動していたとすれば、連座制の対象になる可能性は濃厚だろう。

 デスクの持って回った言い方を聞くと、果たして克行氏は国会閉会後、大丈夫なのだろうか?という疑念さえ浮かぶ。何と言っても夫で、事実上、選挙戦の最高責任者だったのだから…。

 万が一、前法相が選挙違反でお縄にでもなったら、世界中に恥をさらすことになる。政権は世界的に信用を失墜する事態になることは必至だ。

 

(ダイヤモンド・オンライン 2020.3.7 5:27)

 

出典:https://diamond.jp/articles/-/231038?page=2https://diamond.jp/articles/-/231038?page=3

 

 案里の出馬及び選挙戦に関する安倍晋三の関与についての下記の言及は周知だと思うが、ご存じない方のために引用しておく。

 

 なぜこんなことになったのか。理由は溝手氏と安倍晋三首相との確執と言われている。

 

総裁としての地位揺らぐ独善

 

 参院選後、全国紙社会部記者時代、よく情報交換していた元閣僚公設秘書からゆっくり話を聞く機会があった。

 07年7月の参院選で安倍首相(第1次)は惨敗を喫する。その時、首相は続投に意欲を見せたが、溝手氏は「(惨敗は)首相の責任だ。(続投を)言うのは勝手だが、決まってはいない」とこき下ろした。

 12年2月に安倍首相が消費税増税関連法案への賛成と引き換えに、当時の民主党政権衆院解散を迫った際も、記者会見で「もう過去の人」と言い放った。

「オボッチャマ君は独裁者だから、批判を許さないんだよ。あの下品なヤジを見れば分かるでしょ。自民党総裁が、国会でヤジ・不規則発言をするなんて、恥だよ」

 自民党本部がある「平河町」では「総理大臣・首相」ではなく、「自民党総裁」が最高責任者であり、トップだ。現在も自民党員である元秘書は、その総裁を「恥」と言い切った。

 元秘書は「首相の溝手氏憎しは具現化した」とも語った。事実、参院選前に案里氏と克行氏が支部長の自民党支部に溝手氏の10倍の支援金1億5000万円もの「聞いたことがない」(同秘書)ほどの巨額選挙資金が投入されたのだ。

 首相自身、1月27日の衆院予算委員会で事実関係を認め「何の問題もないと認識している。個別の件は承知していない」と説明。

 その上で「溝手氏は知名度があり、新人は知名度を上げなければいけないディスアドバンテージ(不利)をどうするかだった」と主張した。

 もっともな言い分に聞こえるが、元秘書は「はっきり言って、党内では『見せしめ』と言われていた。溝手さんを慕っていた党職員のベテラン女性が『あんなひどいことを』とつぶやいていたよ」と首を振った。

「1強」だから何でも許された暴挙・独裁は終焉(えん)に近付いているようだ。

 新型コロナウイルスの感染拡大で“国難”ともされる状況で、検察庁は首相に弓を引いた。広島地検は東京と大阪の特捜部、広島県警の協力を得ながら、あえてこの日を選んだ。

 高検検事長の定年延長問題が取り沙汰されているのはご存じの通りだ。

 後輩である全国紙社会部デスク、元閣僚秘書、筆者と一致した見解だが、今回の事件は「首相案件」とも揶揄される。

 そう、いろいろな意味で首相案件なのだ。

「モリ・カケ・サクラ」など、誰の目に見ても分かる馬鹿馬鹿しいほどの公私混同を、検察が本気で刑事事件として立件することなど簡単だったはずだ。だが、しなかった。今回は、立件した。

「秋霜烈日」「凶悪は眠らせない」など、いろいろと格好つけながら、やっていたことは政権に邪魔な「大物」を排除していただけの組織が、真面目にやる気を出した。

 検察の人事問題は、組織の意義・存亡に関わってきたのだ。

「すごい変化球をビーンボールにしましたね」

 全国紙デスクは、検察がレームダックになった安倍政権に“挑戦状”を突き付けたという見方を示した。

 

(ダイヤモンド・オンライン 2020.3.7 5:27)

 

出典:https://diamond.jp/articles/-/231038?page=3https://diamond.jp/articles/-/231038?page=4

 

 実際のところ、河井夫妻をどこまで追い込めるかどうかは、安倍政権を倒せる(または政権が自壊する)かどうかにかかっているだろう。

 安倍政権が倒れなければ、河井夫妻の議員辞職や逮捕が実現しないのはもちろん、あの黒川某が検事総長になってしまったり、今回河井夫妻の捜査にかかわった検事たちが次々と左遷されたりスキャンダルを暴き立てられたりすることが考えられる。

 昨年の参院選の時点から見ても12年も前の屈辱を片時たりとも忘れない安倍晋三の異様なまでの執念深さ、というか陰湿極まりない性格を思えば、上記は杞憂とはいえないのである。

 今度こそは、絶対に安倍政権を倒さなければならない。