kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

やはり米オバマ政権に懸念を持たれている安倍晋三

やはり安倍晋三は米オバマ政権に懸念を持たれているようだ。日経のサイトに載った英エコノミスト誌の記事より。


米国が危ぶむ安倍首相の「真意」 :日本経済新聞

米国が危ぶむ安倍首相の「真意」

(2013年3月2日付 英エコノミスト誌)


 「この3年間で著しく損なわれた日米の絆と信頼を取り戻した」――。2月22日、米国の首都ワシントンでバラク・オバマ大統領との初の首脳会談を終えた安倍晋三首相は、誇らしげにこう宣言した。日本では政治家やメディアがこぞって安倍首相を褒めたたえ、経済・外交大国として「日本は戻ってきた」とする首相の大胆な主張に沸いた。

■真意をくみ取れない米政府

 しかし米国での見方はかなり異なる。ニューヨーク市にあるコロンビア大学ジェラルド・カーティス教授は、安倍政権が「この首脳会談を歴史上重要なものに見せるため」に今回の訪米を演出した、と指摘する。安倍首相が日米の同盟関係を救ったというのは断じて真実ではない。12月の総選挙で安倍氏率いる自民党民主党から政権を奪うずっと前から、日米関係は十分に安定していた。

 オバマ政権にとって信頼しきれない対象があるとすれば、それは安倍首相その人かもしれない。尖閣諸島を巡る日本と中国の対立があわや暴走しようかというこの時期に、しかも米国も巻き添えを食うかもしれない事態なのに、米国政府は安倍首相の真意をくみ取れずにいる。これまで安倍首相は右派の議員仲間と歴史認識の見直しに向けた動きを推し進めてきた。それが今、歴史認識に関してはトーンを抑えている。

(中略)

■理解しにくい歴史認識

 首相就任以来、安倍氏が書いてきたメッセージは、同氏の世間知らずぶりを露呈している。彼は、1945年の敗戦以前の帝政日本は悪事を働いたことがほとんどないと考えているらしい(この見解は隣国の怒りを買っている)。さらに不思議なのは、戦後の日本に善い行いがほとんどなかったかのように書いていることだ。また、「日本という国」を「戦後の歴史による支配」から解放したいとつづっている。

 安倍氏の意味するところが何なのか完全にはわからない。だが、主な不満は日本国憲法の平和条項に向けられているようだ。安倍氏から見れば、この条項は敗戦国の日本に米国が無理やり押しつけたものであり、国を骨抜きにした元凶だ。そして日本の骨抜き状態は1960年代に日本の社会主義者がもたらした影響によってさらに悪化したというわけである。

 だが実際には、戦後における日本の平和主義は国民から高い支持を受けている。一方で、米国が日本の安全を保障したことによって、戦後の日本は未曽有の経済成長と繁栄を経験することができた。安倍氏の祖父にあたる岸信介氏(安倍氏と同様に首相を2度務めた)は、戦後の秩序を構築する上で中心的な存在であった。安倍氏が率いる自民党とその支持母体である産業界は、戦後体制の恩恵を誰よりも享受した。

 通常なら米国も受け入れるであろう安倍氏の思想が今回は歓迎されなかった。タカ派の安倍首相が中国を刺激しかねないとの懸念からだろう。オバマ政権は、日本国憲法の解釈を見直したいという安倍氏の願望を公然とは支持しないことを明確にした。安倍氏の目指す解釈の見直しは、日本が集団的自衛権(例えば米国が攻撃を受けた場合に援助に駆けつけるための法的資格)を行使できるようにすることが目的だ。日中がいがみ合う尖閣諸島(中国名は釣魚島)を日本が治めることについて、オバマ大統領もジョン・ケリー国務長官も、ヒラリー・クリントン国務長官ほどには支援を強く約束しなかった。ケリー氏は、尖閣諸島日米安保条約の適用範囲であることを改めて確認しただけだった。

(中略)

 参議院選挙で自民党が勝利し、安倍首相が両院を掌握すれば、日本の政治が直面する行き詰まりを打開できるかもしれない。そうなれば、構造改革を進めることも可能になるだろう。だがそれで勢いづいた安倍氏が全面的な憲法改正に臨んだり、戦時中の残虐行為に関する認識を修正(ましてや転換)したりすれば、日中関係は悪化の一途をたどる。米国が何より懸念するのはまさにその点である。

日本経済新聞 2013/3/15 7:00)


イギリスの経済誌(=体制側のメディア)ですらこの程度の記事を書くし、日経ですらそれを紹介する。

オバマ政権が安倍晋三に対して懸念を持っているという程度のことさえ触れようとしない日本の「リベラル」人士っていったい何なんだろうかと訝しむ今日この頃である。