下記の毎日新聞記事は、なんとも読後感が悪い。
http://mainichi.jp/select/news/20130718k0000e030135000c.html
【上海・隅俊之】中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」の朝日新聞のアカウント「朝日新聞中文網」が、16日から17日にかけて相次いで閉鎖された。閉鎖の理由は不明だが、海外メディアの締め付けを強める中国当局の指示で運営会社が強制的に閉鎖した可能性がある。
閉鎖されたのは、中国のインターネットサービス大手「新浪」が運営する「新浪微博」や、「騰訊(テンセント)」が運営する「騰訊微博」などに朝日新聞が開設していた四つのアカウント。朝日新聞社によると全てのアカウントで発信やフォロワーによる閲覧ができなくなっている。同社は運営会社に問い合わせているが、17日夜までに回答はないという。
朝日新聞の中国語サイトは以前から規制の対象になっており、中国国内からアクセスできないが、微博ではこの中国語サイトで配信するニュースを紹介。主要な「新浪微博」と「騰訊微博」のフォロワーは計約130万人で、中国国内で人気を集めていた。
同社の古山順一・国際本部長は「多数のフォロワーがいるにもかかわらず、意図的に閉鎖されたとすれば誠に遺憾。早急に再開されるよう、各社に強く求める」とコメントした。
毎日新聞 2013年07月18日 08時02分(最終更新 07月18日 09時59分)
一言で言って、これは「中国国民の『知る権利』を侵害する中国政府」の問題だ。この件で中国政府は強く批判されてしかるべきである。毎日は「海外メディアの締め付けを強める中国当局の指示で運営会社が強制的に閉鎖した可能性がある」とぼかして書くが、中国政府当局の指示であろうことに疑う余地はない。
しかるに、この毎日新聞記事はそんな中国政府に対する批判精神などみじんも感じられない「客観報道」の記事だ。それどころか、商売敵(朝日新聞)のアカウントが停止されたことを囃し立てているかのようにも勘繰られる。「知る権利」の侵害について、日本国内の他のどの媒体よりも敏感であってしかるべき毎日新聞がこんな報道姿勢で良いのか。強い疑問を感じる。こういう件で競合他社がやられた場合、他社以上に強く批判してしかるべきではないか。
なお、当局の規制がなくても自己規制してしまう日本人や日本のメディアの問題があることはもちろんだけれども、この件はそれとは別の問題である。日本人の自己規制とからめて論じるべきではなく*1、あくまで正面から中国政府を批判すべきだと考える。