kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

衆院議員・日吉雄太が立憲民主党から自由党に移籍へ

先日、ちょっと不思議なニュースが流れた。毎日新聞の記事から引用しようと思ったが、有料記事で途中で切れている上、不快なデジタル版入会勧誘の画面が現れて腹が立ったので、代わりに産経の記事を引用する。こういう点にかけては、毎日は朝日よりもっと悪質だ。

https://www.sankei.com/politics/news/180921/plt1809210033-n1.html

日吉雄太衆院議員が立民に離党届 「野党結集のため」 自由党への入党意向

 立憲民主党日吉雄太衆院議員=比例東海=は21日、静岡県庁で記者会見を開き、20日夕に党本部に離党届を提出したと報告した。離党届は現在、党本部預かりになっている。今後は、立民党発足前に所属していた自由党小沢一郎代表)への入党を申請する意向という。

 離党理由として日吉氏は、玉城デニー氏の沖縄県知事選出馬で同党衆院議員が小沢代表1人となり、衆院会派が消滅したことを挙げた。今後日吉氏が入党すれば会派が復活することから「野党再編・再結集で政権を獲得する上で、自由党衆院での旗を降ろすことは後退になる。小沢代表の力が必要だ」と会派復活を目指しての離党だと説明した。

 比例当選者の離党は有権者への背信ではないかとの指摘には「有権者を裏切るのは選挙で約束した理念や政策を曲げること。今後も選挙で訴えたことを粛々と行う」と述べ、「野党が一つになることを祈りながら、国民のための政治ができる政権をつくるために全力を尽くしたい」と今後の政治活動への意欲を語った。

(産経ニュース 2018.9.21 17:06更新)


この日吉雄太の名前は全然知らなかったが、もともと「小沢一派」の政治家だったようだ。昨年秋の衆院選自由党が候補者を立てず、小沢一郎が候補予定者を希望の党立憲民主党に割り振った時に、運良くだか本人の思想信条のせいだか知らないが立民に割り振られた人らしい。そのおかげで、レイシストとの悪評も高い極右政治家・城内実が無敵を誇る静岡7区で惨敗したにもかかわらず、比例復活で当選することができた。そんな議員だ。なんでも、立民の全当選者の中でも惜敗率は下から数えて3番目だったそうだ。なにしろあの選挙で東海ブロックの立民は、全員当選してなお候補者が不足し、むざむざ自民党に1議席を明け渡したほどの大躍進だった。だから、普通の選挙なら絶対に当選不可能だった日吉雄太のような泡沫候補が当選できたのだった。

その「立民から立候補したおかげで」濡れ手に粟で衆院議員の座をつかんだ日吉が自由党入りすれば、次の衆院選自由党から出馬しても当選可能性が皆無であることは誰にだってわかる。それなのに、なぜ日吉は自由党への移籍を決断したのだろうか。

ネットでは、小沢一郎は日吉の立民離党を思いとどまるように説得したが日吉の意志が堅かったなどという説が流れている。だがこれは大いに眉唾ものだ。なぜなら、人間誰しも損得勘定で動くものであり、このような「特攻隊志願」的な行動をとるとはまず考えられないからだ。

これには間違いなく、何者かによる働きかけがある。おそらくその人物は小沢本人ではなく、小沢の意を受けた側近であって、小沢は形の上だけ日吉を「慰留」したというのがもっともありそうな線だ。そう私は推測する。

さらにいえば、この件では小沢一郎枝野幸男とが「握っている」疑いが強い。それは、もしかしたら沖縄3区の補選と関係があるのではないか。沖縄県知事選に転出した玉城デニー自由党だから、これを受けて行われる沖縄3区補選は、普通なら自由党から候補が立てられる。しかし、もともと民主党に属していた玉城とは違って、自由党の後継候補にはろくな玉がいないのではないかと思われるし、仮にいたとしても自由党から立つより立民から立つ方が当選可能性が高い。

この場合、小沢側からすれば沖縄3区を立民に譲る代わりに、去年の衆院選で立民から当選した自らの配下の議員を誰か返して欲しい、そう小沢が枝野に交渉し、枝野がそれならと、立民の衆院議員の中でももっとも選挙に弱いため、放出してもダメージの少ない日吉雄太を、「人的補償」の形で差し出したのではないか。そう私は直感した。

この想像は、プロ野球のFA移籍時の「人的補償」から連想した。先週、横浜スタジアムで行われたDeNA対読売戦で、読売にFA移籍した山口俊の代わりに読売から「人的補償」で譲渡された平良拳太郎が、読売の大エース・菅野智之に投げ勝ってDeNAに貴重な1勝をもたらしたが、あの試合に「ざまあ」と思った印象が非常に強かった。だが平良拳太郎が読売に勝つ可能性はあっても、日吉が自由党から立候補して当選する可能性は皆無だ。

ただ、いつになるかわからない次の衆院選で、日吉が立候補するのが自由党かどうかはわからない。小沢一郎ももう76歳だから、自由党の幕引きを考えていることは絶対に間違いなく、その場合、「野党を一つにする」という小沢の信念に基づいて、小沢は自由党立憲民主党への合流を考えている可能性が高いと私は推測している。小沢はおそらく枝野幸男とその話し合いを重ねているのではないか。さりとて当面「衆院会派を復活させる」必要もあるから、まずは日吉を自由党に返して欲しい。小沢はそう枝野に掛け合い、枝野がそれを了承したものと思われる。日吉には、どうせいずれ立民に合流するのだからと次も立民から立候補できるんだよとかなんとか因果を含めて自由党に移籍してもらった。そんなところではないか。

そうとでも考えない限り、日吉雄太が損をする一方の選択をするはずがない。そう思ったのだった。