kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「野党共闘」は1+1>2なら成功、1+1<2なら失敗

 今回の衆院選で立民と共産が敗北したことにより、専ら「右」側から「野党共闘」を見直せとする声がかまびすしいが、衆院選小選挙区制である以上野党共闘は「やらざるを得ない」戦術だ。しかし、今回の立民・共産の比例票から明らかになった通り、野党共闘には「比例票を減らす」副作用があり、いつまでもこれを続けていると政党の衰勢が止まらなくなる可能性が高い。ことここに至れば、野党第一党である立憲民主党が率先して比例代表で総枠を決める選挙制度への改変を中長期的な目標に掲げ、「野党共闘」はそれが実現するまでの時限的なものとするグランドデザインを描くべきだというのが私の変わらぬ主張である。「市民連合」は選挙制度について何も言い出さないが、それはかつて衆院選への小選挙区導入の旗を振った山口二郎が同連合の中枢にいるからではないかとの疑念を拭えない。

 中長期的な話はこれで止めておき、今回の「野党共闘」の評価に移ると、野党共闘がうまくいったかどうかの評価は、1+1が2を上回ったか下回ったかで行われるべきだろう。

 2016年参院選の前まで、私は野党共闘で1+1が2を超えるはずがないと信じていたので、一貫して野党共闘を否定する記事を弊ブログに書いてきた。しかし、2016年参院選の東北のいくつかの選挙区(1人区)で1+1が2を超える結果を出した。この結果に驚いた私は持論を変えたのだった。野党共闘市民連合共産党が主導したが、当時の民進党でそれに呼応して結果を出したのが岡田克也だった。だからそれ以来、私は岡田克也の経済政策は相変わらず全く買わないけれども、野党第一党のリーダーとしての岡田は高く買うようになった。

 1+1が2を超えるのは、政党の支持層の歩留まりが100%とはいかない(特に立民支持層が共産候補に投票せずに維新などに流れる割合は相当に高い)ことを考えると、どの政党も支持しない無党派層にアピールできた場合だ。それを考えると、選挙直前の落下傘候補の舞い降りなどは1+1が2を大きく下回る原因になる。私は今回東京15区でそれを身を持って経験した。東京8区も、吉田晴美ではなく山本太郎が「野党統一候補」になっていれば石原伸晃に負けた可能性がある。逆に、あの騒動が起きたからこそ東京8区が注目を浴びて吉田晴美が圧勝したともいえる。しかしこの東京8区のように有権者の熱い注目を浴びた選挙区は数えるほどしかなかった。他でもっとも目立った例は、自民党候補への落選運動をやる人が出てきた神奈川13区で、この選挙区が接戦になると予想したメディアは読売しかなかった。また候補者自体の魅力が落ちて敗れた岩手3区のような例もあった。この選挙区では、かつて「剛腕」を誇った立民の某一兵卒が、岩手1区に横槍を入れようとして失敗し、民心の離反を招いた。岩手1区でゼロ打ちで当選した立民議員も細野豪志から「自誓会」を継承した立民内でも有数の右翼政治家なので私は全く好まないが、彼はもともと某一兵卒一派の人間だった。山本太郎が立民の代表にしたいと言った森裕子も2001年に自由党公認で参院選に当選した頃には勇ましい右翼だったはずだが、古くからの小沢一派の人間はたいてい右翼と新自由主義者の少なくともどちらかからスタートしていると言っても過言ではない。

 小沢の悪口はこれくらいにして枝野幸男の話に移ると、枝野は岡田克也と比較すると、1+1>2にした比率は決して高くなかったのではないか。2019年参院選、今年の都議選と、立民はメディアの情勢調査でも伸び悩みが伝えられ、選挙結果はそれをさらに下回った。同じ傾向が今回の衆院選でも三たび続いた以上、枝野の引責辞任は妥当な判断だろう。いつまでも枝野の「個人商店」に頼っていては立民はジリ貧しかない。しかし問題は枝野が後継者を育ててこなかったことで、だから立民の代表選に手を挙げるのは希望の党在籍歴がある野心家ばかりという惨状を呈している。

 現在は野党第一党のリーダーの軽挙妄動があってはいけない状況だから、希望の党在籍歴のある小川淳也は自重すべきだと強く言いたい。小川が凌雲会であってもリベラルに近い(但し本質的には保守政治家)人だというのは10年以上前に凌雲会の政治家のアンケートへの回答を見た時から私は知っていたし(なぜなら私は香川1区の有権者だったから、そこから立候補する小川がどんな考えの人かということに関心があったからだ)、2008年8月に反貧困キャラバンが高松市に来た時に小川の来賓スピーチも聞いたことがある。しかしその時に感じた小川の「軽さ」は今も変わらないと言わざるを得ない。

 少なくとも今回は元希望の党の人には一回休んでいただくしかない。小川は立民内で最大のグループである「サンクチュアリ」に属しており、このグループは代表選では「派閥的な動きをする」と伝えられる。そのサンクチュアリ枝野幸男が入り、いりなり顧問に就任したと報じられた。

 サンクチュアリ及び枝野幸男が賢明な判断をされることを願う。