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古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「立憲、安全保障強調の公約発表 衆院選敗北受け路線転換図る」(朝日)/これはとんでもない悪手だ

 これはものすごい悪手だと思う。

 朝日新聞デジタルより。

 

www.asahi.com

 

立憲、安全保障強調の公約発表 衆院選敗北受け路線転換図る

2022年6月3日 19時52分

 

 立憲民主党は3日、参院選の公約を発表した。公約の柱で「着実な安全保障」を掲げ、ウクライナ情勢で関心が高まる防衛力の整備を強調。これまで主張してきた安全保障法制の「違憲部分の廃止」は公約の末尾に触れるにとどまった。立憲は昨年の衆院選で敗北。従来路線からの転換を図る泉健太代表の意向が反映された形だ。

 公約では、与党との対立軸を示そうと、アベノミクスからの脱却をうたう物価高対策、教育無償化、着実な安全保障を3本柱に据えた。泉氏はこの日の会見で「経済、産業、安全保障を正面から語り、国民に信頼していただける政党でありたい」と述べた。

 安全保障分野は党内で立ち位置が幅広く、防衛力強化に慎重な議員も多い。こうした中、「弾道ミサイル等の脅威への抑止力と対処能力強化を重視」するほか、宇宙やサイバー、電磁波などでの能力強化、情報戦を含む相手戦力の無力化に向けた研究開発の加速を明記。防衛費についても、泉氏は会見で「真に必要な防衛力を整備する結果、当然増えることもある」と踏み込んだ。

 一方、「野党共闘」の原点だった安保法制の「違憲部分の廃止」は、公約末尾の「主な政策項目」に小さく盛り込むだけとなった。小川淳也政調会長は「国防の充実、強化に矛盾するととられかねず、わざわざ重点政策に掲げることは控えた」と明かす。

 「鬼門」(党関係者)とされてきた安全保障で、これまでの姿勢からの転換を図る背景には、参院選を控え「保守層の票を取らないと勝てない」(中堅)との思いがある。ただ、公約決定にあたっては全所属議員を集めた政策懇談会を2回開いたうえ、項目を「着実な安全保障(対話による平和)」とするなど、慎重派への配慮も見せた。

 また、公約に泉氏肝いりの「生活者目線」を反映しようと、公募した政策も加わった。法律の制定と改廃や問題のある国の支出の検査を国民が求めることができる制度の創設で、泉氏は「有効に機能させられれば新たな市民参加になる」と意気込んだ。(藤崎麻里

 

朝日新聞デジタルより)

 

出典:https://www.asahi.com/articles/ASQ636718Q63UTFK012.html

 

 引用文中の赤字ボールド部分が党内右派(元希望の党)の代表・泉健太の政策の核心部だ。

 しかし泉立民が掲げる防衛力強化に必要な防衛費(軍事費)の大幅増額に、弊ブログは反対である。その理由は下記リンクの記事に書いた。

 

kojitaken.hatenablog.com

 

 弊ブログは昨年秋の立民代表選で4人の候補に対する評価を、西村智奈美逢坂誠二小川淳也泉健太の順番として、泉だけは許容範囲外だと書いた。しかし結果は泉の当選だった。現在の立民を弊ブログは支持しない。参院選東京選挙区で落選させる3大ターゲットとしている海老沢由紀山本太郎、荒木千陽の当選を阻止するために立民の松尾明弘に投票する可能性はあるが、比例では間違っても立民には投票しない。

 今回の路線転換で、立民はかつて前原誠司(現民民)や長島昭久細野豪志(いずれも現自民)らが目指した右派による党支配をなしとげたとみなされる。

 泉は、性急に事を運ぼうとして自滅した前原・長島・細野、それに玉木雄一郎らとは異なり、まずは用意周到に党内に味方を増やしていき、昨秋の衆院選での「僅差の敗北」を機に、固めた土台にものを言わせて代表選に「勝つべくして勝った」。

 しかし、かつて二度も民主党民進党の代表になりながら、就任早々性急な路線転換を果たして自滅した前原誠司とは大いに異なり、また衆院選敗北直後に維新にすり寄る発言をした小川淳也とも異なり、自民や維新にすり寄る仕草も見せなかった。小川の軽挙妄動に示された維新へのすり寄りは、まずは野党第一党の座を奪い、次いで自民党から政権を奪う野望を持っているに違いない維新を利するだけである。おそらく泉はそのあたりを十分わきまえているのであろう。自民党にすり寄って党勢大幅縮小から解党への道が見え始めた国民民主党玉木雄一郎(この人の軽佻浮薄さは前原誠司よりもっと極端かもしれない)とも泉は明らかに「器が違う」。泉は真に警戒すべき政治家だといえる。

 泉の路線転換がどう評価されるかは参院選で試される。

 参院選で立民が「予想を超える惨敗」を喫した場合、泉の代表就任から1年も経っていないとはいえ、泉は引責辞任すべきであろう。政治は結果責任である。過去の例をみても、自民党の情勢調査は決して悪くなかったのに蓋を開けたら予想外の惨敗だった1998年参院選で時の総理大臣だった橋本龍太郎引責辞任し、小渕恵三が後任の総理大臣になった。

 最近、立民支持層の間で三春充希氏の評判が非常に悪いようだが、保守層から票を得るためにやることは政策を自民党に合わせることではないとの主旨の三春氏のツイートを立民前代表の枝野幸男リツイートしていたとのことだ。どこかのツイートで見かけたが、ツイートはネット検索で引っ掛かりにくいという困った特性があるので、ネット検索で引っかけることはできなかった。Twitterは便利なツールのようだが、あまりにも刹那的なので利用したいという気がますます失せていく。ブログには衰退期にはあるが、ネット検索との相性が非常に良いという代え難い利点がある。

 上記の事実から思うのは、リアリズムでは枝野幸男の方が泉健太より一枚上だということだ。その意味でも、昨年の衆院選で立民と共産を中心とした「野党共闘」が惜敗したことは痛恨だった。結果は僅差でも、それをテコにして働かせた力が、衆院選後7か月以上経った現在は大きな惰性力となっている。この現状に対して、2017年の衆院選で旧立民を大きく後押しした人たちの多くには危機感が欠如しているのではないか。

 私はその時々の党の執行部に忠実なだけの立民支持層のあり方に疑問を感じる。もっと大局的に物事を考えて、必要な場合には執行部批判をも辞さないくらいの考え方をしてもらいたいものだ。かつてのリベラルはそれが当たり前の姿勢だったが、今では党の権力者に従順な人たちが圧倒的多数なのではないか。それは×××新選組支持者たちのあり方の一歩手前でしかないように私には思われるのである。