kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

梅原猛氏の小泉純一郎批判

安倍ではなく小泉の頃の話だが、最近、梅原猛氏の著書「神殺しの日本」を読んだ頃探していた、1月頃に中日新聞に載った氏の文章を探していて、どうしても見つからなかったのだが、ようやく見つかった。Yahoo!掲示板経由。
「小泉政治への危惧、 哲学者、梅原 猛氏」

小泉政治への危惧と諦観 (哲学者、梅原 猛氏)
 現在の日本を代表する哲学者、宗教学者でもある梅原猛氏が、日本の良識として、次のように、述べておられます。
 「 ・・私の少年時代は日中戦争から太平洋戦争へと戦局が発展したころであったが、当時、ヒトラーという今は国を滅ぼした独裁者として悪評の高い政治家が日本でも大変人気があった。私は、チャップリンが映画『チャップリンの独裁者』で描いたように、ヒトラーの所業にある種の子どもじみた危うさと滑稽さを感じ、ヒトラーが好きになれなかった。軍人をはじめとする日本の政治指導者はヒトラーを崇拝して三国同盟を結び、ついに大東亜戦争といわれた太平洋戦争に突入した。当時の首相、東条首相もやはり格好よく英米撃滅を叫ぶとともに庶民のゴミ箱をのぞいたりして、甚だ人気が高かった。しかし、私は東条首相の中にヒトラーよりいまひとつ知能の劣る喜劇役者をみる思いで、このような男に国を任せる日本に大きな不安を覚えたのである。私の不安通りヒトラー総統はドイツを、東条首相は日本を壊したが、私の予想と違ったのは、彼らによって壊された世界の中で私が生き永らえることができたことである。
 ・・このごろ私は世界に関して、六十年前のような不安を覚えるのである。九・一一の同時多発テロ以後の世界の状況を見ると、私はまた子どもが世界を壊す時代がきたという感を免れ得なくなってきた。ここで政治の主役はヒトラー総統ではなくブッシュ大統領であるが、私はブッシュの行為にやはり一種の子どもじみた危うさと滑稽さを感じるのである。イラク戦争も、ヒトラーポーランド侵攻のようにあまり深い見通しもなく始められたことにちがいない。・・この戦争はブッシュの意に反してベトナム戦争のような泥沼に陥りつつあると私は思う。
 このブッシュ大統領を誰よりも尊敬するのが日本の首相であろうが、この首相も東条首相のように甚だ格好よく人気が高い。 ・・チルドレンとよばれる新人議員がたくさん誕生したようであるが、私にはそのチルドレンの主人そのものも『チルドレン』の一人であるように思われる。
 このように子どもたちに支配された日本はどこへ行くのか。私は、彼らがせめて何もせずに日本を壊さないことを祈るのみである。どうやら私は、このような子どもたちに何をいっても仕方がないと諦観し、子どもたちによって壊された後の世界において人々がどのように末永く生きていくことができるかという哲学を考え始めているようである。」(2006年1月16日、中日新聞記事、「思うままに」より抜粋)