kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

安倍晋三がリオ五輪閉会式に出しゃばる醜悪に吐き気を催した

今回のリオ五輪の生中継は終盤の一部競技(男子陸上の400mリレー決勝戦など)を除いてほとんど見なかった。前半の「山の日」(8月11日)からの4日間は夏休みをとって祝日制定の狙いに嵌って山に行っていたし、その後はお盆の時期だというのに仕事が忙しくて首が回らなかった。政治のニュースも、もともと安倍晋三が夏休みをとっているなどして少なかったし、その少ないニュースもあまり把握していないので、『きまぐれな日々』は開設以来最長の更新の空白を続けている。なんとか29日には更新したいと思っているが。

リオ五輪の話に戻ると、開会式も閉会式も見なかった。ただ、閉会式を伝えるニュースを見て、安倍晋三だの小池百合子だのといった暑苦しい面々がしゃしゃり出てきたことに心からうんざりした。小池百合子の場合は、まだ次回開催地の首長だから致し方ない点もあるが(それでも小池の目立ちたがりぶりには大いに反感を持った)、安倍晋三に至っては、なんでこんな男が出しゃばってくるのかと驚き、その醜悪な演出に吐き気を催した。

何も私が安倍晋三を死ぬほど嫌っているからこんなことを書くわけではない。ヒトラー時代はいざ知らず、次期開催国のトップの政治家が露骨に五輪閉会式の前面に出てくるのは異例のことなのだ。

下記日刊スポーツの記事もそれを指摘している。

http://www.nikkansports.com/olympic/rio2016/general/news/1699019.html

安倍晋三首相「東京で会いましょう」任期延長想定か
[2016年8月23日9時51分 紙面から]

 リオデジャネイロ五輪閉会式で21日夜(日本時間22日午前)に行われた次期開催都市のプレゼンテーションで、安倍晋三首相(61)が人気ゲームキャラ「スーパーマリオ」の姿で登場するサプライズ演出が行われた。国のトップ自ら現れるのは異例だが東京大会組織委員会森喜朗会長の発案という。18年秋に自民党総裁の任期が切れる首相は「東京で会いましょう」と20年東京五輪での“再会”まで宣言。総裁任期延長を意識した形だ。東京都の小池百合子知事(64)は着物姿で五輪旗を受け取った。

 小池知事が五輪旗を受け取った後、東京を紹介した約10分のプレゼン映像で意外な演出が飛び出した。

 アテネ北京五輪の競泳金メダリスト北島康介氏から赤いボールのリレーが始まり、キャプテン翼ハローキティなど、世界的な日本の人気キャラクターに続き、安倍首相が登場。車の中で「リオに行かねばならないが、時間がない」と述べ、マリオに変身した。

 首相マリオは渋谷のスクランブル交差点で、ドラえもんがポケットから出した土管に飛び込み、リオへワープ。競技場の中心に土管が出現し、カウントダウンがゼロになると、なじみの電子音とともにマリオの格好をした首相が現れ、服や赤い帽子を脱ぐと、スーツ姿で観衆に手を振った。政府関係者は「あの首相が『かぶり物』をするなんて」と驚きを隠せなかった。

 首相は、マリオになった理由を「日本のキャラクターの力を借り、日本のソフトパワーを示したかった」と述べた。リオで取材に応じた20年東京大会組織委員会武藤敏郎事務総長は、森氏が「マリオ役は、総理にお願いしよう」と発案したと説明。森氏が直接首相に交渉、快諾を得たという。

 次期開催国のトップがプレゼンの「顔」になるのは、極めて異例。近年はスポーツ界の大物が続いており、今回も米大リーグのイチロー、ブラジルに縁があるサッカー三浦知良らの名前が取りざたされていた。

 首相が、マリオ役を受けた意図について、与党関係者は「小池知事のハンドオーバーも、すっかりかすんだ。東京五輪の『顔』は自分という、首相のアピールだ」と指摘する。首相はプレゼンの最後に「SEE YOU IN TOKYO(東京で会いましょう)」と宣言。自身の自民党総裁の任期は18年9月までだが、首相周辺では任期延長論が拡大中だ。ただ慎重論も根強く「任期延長の既成事実化を意識したのではないか」と警戒の声もあり、今後波紋を広げそうだ。

 首相は先月13日、都内の広告代理店・電通本社で「海外広報戦略の説明会」に出席したが、準備は極秘に進めた。「東京五輪を首相として迎えたいか」。報道陣の質問に、首相は「どんな立場でも五輪の成功に汗を流したい」とけむに巻き、帰国の途についた。

 ◆マリオ 任天堂のゲームキャラクター。京都生まれという設定。1981年のアーケードゲームドンキーコング」で初登場した。赤い帽子に赤いシャツ、青いオーバーオール姿に口ひげがトレードマーク。アメリカ法人の「ニンテンドー・オブ・アメリカ」の倉庫係の職員にそっくりだったためマリオと名前が付いた。1985年、ファミリーコンピュータの「スーパーマリオブラザーズ」が世界的ヒット。以来シリーズ累計販売本数3億2000万本以上に達している。日本国内での職業は大工。米国では配管工。

(日刊スポーツより)

この件に関して、玉木正之という、80年代に一時期影響を受けたスポーツライターがいるが*1、彼は安倍晋三の東条、もとい登場に苦言を呈している。

安倍首相登場に違和感「主役は選手。首相は出てくるべきではなかった」― スポニチ Sponichi Annex 五輪 より

安倍首相登場に違和感「主役は選手。首相は出てくるべきではなかった」

リオデジャネイロ五輪閉会式 (8月21日)

 ▼スポーツ評論家の玉木正之さんの話 閉会式で安倍晋三首相が登場したことには大いに違和感があった。スポーツは政治から独立したもので、主役は選手。政治家はあくまで応援する存在であり、首相は出てくるべきではなかった。東京五輪パラリンピックを、政治色を排して開催できるのかは今後の課題だ。(後略)

スポーツニッポン 2016年8月22日)

当然の正論である。まとまった記事として、引用はしないがリテラの記事も下記に挙げておく。


しかしNHKの「報道」は違う。下記は私の嫌ってやまない日刊ゲンダイの記事だが、ゲンダイには珍しくまともなことを書いているので引用する。

五輪メリットは「国威発揚」 NHKが憲章と真逆の仰天解説|日刊ゲンダイDIGITAL

五輪メリットは「国威発揚NHKが憲章と真逆の仰天解説
2016年8月22日

 ビックリ仰天した視聴者も多かっただろう。21日のNHKの番組「おはよう日本」。オリンピックを扱ったコーナーで、「五輪開催5つのメリット」としてナント! 「国威発揚」を挙げていたからだ。

リオ五輪 成果と課題」と題し、刈谷富士雄解説委員が登場。刈谷解説委員は、まず、過去最多の41個のメダルを獲得したリオ五輪の日本勢の活躍について「目標を達成した」と評価。そして、2020年の東京五輪に向け、競技人口の底上げやスポーツ環境を整える必要性を訴えた。驚いたのは次の場面だ。

「何のためにオリンピックを開くのか。その国、都市にとって何のメリットがあるのか」と投げ掛けると、五輪のメリットとして真っ先に「国威発揚」を示したのだ。

 オリンピックを国威発揚の場にしたのがナチス・ドイツだ。聖火リレーの導入やサーチライトを使った光の演出など、ヒトラーは権力を世界に見せつけるため、徹底的に政治利用した。その反省から生まれたのが、オリンピック精神の根本原則を示した「オリンピック憲章」だ。JOC(日本オリンピック委員会)ホームページの「オリンピズムってなんだろう」と題したコーナーで、同憲章は〈オリンピック競技大会は、個人種目または団体種目での選手間の競争であり、国家間の競争ではない〉とある。

 JOCもわざわざ、〈みんなはメダルの数を国別で数えたりして、ついついオリンピックを国同士の競争のように見てしまいがちだろう? でも、オリンピックで勝利をおさめた栄誉は、あくまでも選手たちのものだとオリンピック憲章では定めていて、国別のメダルランキング表の作成を禁じているんだよ〉と説明。「人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会を奨励する」というオリンピック憲章の精神は、戦争や独裁政治、国威発揚とは相いれない。つまり、NHKの解説はオリンピック憲章の理念とは真逆なのだ。

 NHKを含む大メディアが「メダル41個で過去最高」と大ハシャギしているのも、本来であればオリンピック精神に反する行為なのだ。スポーツジャーナリストの谷口源太郎氏はこう言う。

「NHKがオリンピック憲章を理解していないことがハッキリした。そもそも国威発揚で国家間競争を煽るような勝利至上主義が、五輪のドーピングの問題を生み、スポーツ競技そのものを壊している。メディアならば、それをきちんと認識する必要があります。影響力があるテレビ、それもNHKが先頭に立って国威発揚をメリットに挙げてどうするのか。許されません」

 リオ五輪で、柔道の日本選手が「銅メダル」を獲得したにもかかわらず、「すみません」と謝罪していた姿に違和感を覚えた人は少なくなかったはず。これも勝利至上主義が招いた悪しき慣習だ。メディアがその片棒を担いでどうするのか。

日刊ゲンダイより)

この記事に限っては、ゲンダイ得意の針小棒大などでは全くない。ゲンダイの記事を疑ってかかる習性のある私は、記事の裏を取ろうとネット検索をかけたところ、件のNHKニュース「おはよう日本」の画面の画像を取り込んだ記事を見てぶっ飛んでしまった。下記Twitterに画像が掲載されているのでご参照いただきたい(下記引用では画像は省略した)。

https://twitter.com/manauwf/status/767140631944630272

小張 學
@manauwf

NHKおはよう日本が今朝解説した「五輪開催5つのメリット」。「(1)国威発揚」「(2)国際的存在感」…。五輪憲章の説く「オリンピズムの根本原則」平和、人権、差別撤廃は…もはや眼中にない「民族の祭典」。

16:25 - 2016年8月20日

いやはや、「アベさまのNHK」はここまできた。私はこの「おはよう日本」を見なくなって久しい。現在は和久田なんとかという東大を出た女性がキャスターの1人をやっているらしいが、おそらく安倍晋三の「喜び組」さながらに、翼賛ニュースの読み上げでもやっているのだろう。朝っぱらからそんな不快なものは見たくないこともあって、現在のキャスターに代わるよりもかなり前から見なくなっている。思い出せば、東電原発事故が起きた2011年、原発を守りたがるNHKに反発したのがきっかけだったかもしれない。

もっとも変わったのはNHKばかりではない。「リベラル」も同じだ。「民族の祭典」という言葉から、私は反射的にある音楽家Twitterを思い出した。

https://twitter.com/miyake_yohei/status/408980134746546176

三宅洋平
@MIYAKE_YOHEI

さぁて、民族がひとつになるための新しい時代の始まりや。
盛大なファンファーレを、明日の渋谷から鳴らすっぺよ。

7:23 - 2013年12月6日

最近になってこの男が安倍昭恵にすり寄ったことによって、ようやくこの男の正体に気づいて支持を止めた「リベラル」たちも少なからずいるようだが、3年前のつぶやきでこの男の正体は既に割れていたのに、今頃やっと気づくとは何やってたんだ、というのが私の正直な感想だ。

先の参院選でこの男を応援した野党国会議員も音楽家の同類だ。音楽家が前記のつぶやきを公開した少し前、当該の国会議員は天皇に何やら「直訴」したことが話題になったが、この時国会議員氏は皇居に向かって90度の角度でお辞儀をしたとのことだ。こんな人間はもはや括弧付きの「リベラル」とさえ言えず、どんなに良くても「保守」であって、下手をしたら「反動」がつくというのが私の意見である。

こんな野党国会議員や「音楽家」を支持する「リベラル」が蔓延するていたらくだから、安倍晋三は大手を振って露骨に4年後にもまだ総理大臣でいたいと事実上の意思表示をするのだし、NHKも何はばかることなく「五輪のメリットで第一に挙げられるのは国威発揚だ」などと画面に大々的に表示して訴えることができるのである。

もはや今の日本は、中国や北朝鮮どころか戦前の日本かナチスドイツとほとんど変わらない国になりつつあることを改めて認識させられる今日この頃なのであった。

*1:玉木正之長嶋茂雄星野仙一という私の大嫌いな2人を信奉しており、それでいて(読売でも中日でもなく)阪神ファンという、私とは相容れないところだらけの男だが、玉木の主張には一定の説得力があった。しかしのちには彼の主張に疑問を感じることが増えたので離れていった。