kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「長期政権」への道を捨てた福田康夫

諫早湾干拓訴訟で国が控訴を決めた。

私は、もし福田康夫が長期政権を目指すなら、この裁判で控訴はしないのではないかと考えていた。
2001年5月にハンセン病訴訟で国が敗訴した時、コイズミが控訴を断念したことを思い出していたのだ。

あれは、見え透いたコイズミの人気とりだった。あの時、コイズミだったら控訴しないだろうな、と思っていたらその通りになったので、冷ややかに見ていたのだが、国民の大部分はそんなコイズミに熱狂した。大怪我を負った貴乃花の優勝にコイズミが「感動した」のも同じ頃だったと思う。国民は貴乃花に感動したコイズミに拍手喝采を送ったが、私は貴乃花の怪我のほうが心配だった。そして、総理大臣に「感動」されたからって、貴乃花には一文の得にもならないのではないかと思っていた。私の心配が杞憂ではなかったことは、のちに証明された。

福田首相は、もし長期政権を目指すなら、諫早湾干拓訴訟で控訴を断念すべきだった。いや、そうでなくとも国は控訴すべきではないと私は思うが、ここでもし福田首相が控訴を断念して支持率を回復したとしたら、自民党が息を吹き返す悪影響のほうが大きかったのではないか。

ハンセン病訴訟の時がそうだった。あのコイズミの判断は良いことだったとは思うが、コイズミは一つの善行と引き換えに、数え切れないほどの悪行をなした。福田首相が控訴を断念した場合も同じことになったと思う。

うがった見方をすれば、福田康夫は一つの悪行と引き換えに、数え切れないほどの悪行をなすことを拒否したのではないか。

そして、今回の控訴は、福田首相が総理大臣の座に恋々としていないことを示すのではないか。

福田康夫は、長期政権への道は選ばなかった。9月末に安倍晋三の任期を抜けば、おそらく福田に思い残すことはないだろう。そして、「ポスト福田」をめぐって政局が一気に流動化する予感がする。