総裁選の演説でも問題発言、失言癖のある麻生は、首相として不適格では?+森田あゆみ : 日本がアブナイ! によると、
昨日は、自民党の総裁選の討論会では、候補者たちが自分で選んだテーマ音楽に乗って、壇上に登場していた。
とのことらしい。全然知らなかった。麻生圧勝が間違いないものとされ、もはや国民の関心の埒外に去ってしまった猿芝居を、自民党は懸命に続けているらしい。
ところで、いただけなかったのは与謝野馨の緊張感を欠く言い草だ。
リーマン破綻の影響、与謝野氏「ハチが刺した程度」
自民党総裁選に立候補している5人の候補者は17日午前、島根県出雲市で街頭演説した。与謝野馨経済財政担当相は米証券大手リーマン・ブラザーズの経営破綻に関して「日本にももちろん影響はあるが、ハチが刺した程度。これで日本の金融機関が痛むことは絶対にない。沈着冷静な行動が求められる」と述べ、日本経済への影響は限定的との見方を示した。(以下略)
(日本経済新聞 2008年9月17日 12:55)
本当に「ハチが刺した程度」なのか。今朝の読売新聞社説の見立てとは全く異なる。
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20080916-OYT1T00665.htm
(前略)
◆日本にとっても大津波◆
金融不安が、米国の実体経済を冷え込ませ、景気後退を招く悪循環が現実になりつつある。それが日本を含む世界経済を減速させる恐れも高まっている。
リーマン・ショックは、日本にとって対岸の火事どころか、最大級の津波といえよう。ただでさえ悪化しつつある景気が底割れしないよう、政策運営に細心の注意を払わねばならない。
4〜6月期の実質国内総生産(GDP)は、年率換算の成長率が速報のマイナス2・4%からマイナス3・0%に下方修正された。金融市場の混乱で米国をはじめ海外経済が一段と冷え込めば、日本経済への逆風はさらに強まることになる。
こうした状態で、最優先で取り組むべきは、金融市場の不安の沈静化である。
一部の金融機関が資金調達を急いだことで、東京市場で短期金利が上昇した。それに対応して日銀が追加の資金供給に踏み切った。企業経営にとって大敵の金融収縮を防ぐため、日銀は機動的に資金供給を続ける必要があろう。
国内の金融機関が保有するリーマン向け債権は計4000億円に達する。これら債権がどうなるのか、関連損失も含めた影響の把握を急がねばならない。
世界経済の先行き不安から、原油は大幅に値下がりしたが、円高・ドル安の進行で、日本の輸出産業への打撃が懸念される。
中小企業に対する貸し渋りの防止や、雇用確保のための支援など、ショックの痛みを和らげる施策を早急に検討すべきだ。
(2008年9月17日01時51分 読売新聞)
朝毎読の三大紙と日経・産経の5紙社説を読み比べたが、一番説得力があったのがこの読売の社説だった。朝日・毎日は、いつものことだが、経済問題の社説になると途端に精彩を欠く。
朝日は、
日本の金融機関のリーマンに対する融資額はさほどではなく、影響は限定的だとされるが、当局は十二分の態勢で臨んでもらいたい。
と書き、毎日は、朝日ほど能天気ではないが、
邦銀もリーマンに計約1700億円を融資しており、今後、日本への直接、間接の影響が心配される。複雑な金融商品を介して、多数の金融機関や投資家、複数の市場が関連し合っているため、予想もしなかったところに大きな打撃が及ぶ恐れもある。
という書き方だ。
産経は、面白いことに朝日に近い楽観派で(笑)、
日本の金融機関は計16億7000万ドル(約1700億円)をリーマンに融資しているが、すでに引当金を積んでいる分もあって、破綻の影響はそれほど大きくない。
と書いている。
その中で、「最大級の津波」と表現した読売の危機感の強さが目立つが、「失われた10年」を経験してきた日本人の平均的感覚に近いのは、読売の社説ではないか。
4000億円という数字は、読売の社説にのみ出てくるが、日経の記事にあるように、日本の銀行や証券会社、生損保会社などが公表した数字に基づいているのだろう。もちろん、今後さらにこの数字が膨れ上がる可能性が高い。
「ハチに刺された程度」で済むとはとても思えないのである。