kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

ラフマニノフの「鐘」と浅田真央

スケートの浅田真央が用いる音楽は、ラフマニノフ作曲のピアノのための前奏曲作品3-2(嬰ハ短調)をオーケストラに編曲したものなのだが、テレビのニュースでこの音楽が聴こえてくると、原曲のピアノの鋭い響きが、オーケストラの鈍重な響きに置き換えられてしまっていることに不満を感じる。ライバルである韓国のキム・ヨナの「シェエラザード」もあまり良い選曲とは思えないが、オーケストラ版のラフマニノフ前奏曲は、明らかにそれ以下だ。

ニュースではラフマニノフの「鐘」と言っている。「鐘」というと、ラフマニノフには同名の合唱曲があり、私は題名を知っているだけで聴いたことはないのだが、作品3-2の前奏曲に「鐘」というニックネームがあるとは知らなかった。ま、いかにも「鐘」を思わせる音楽ではあるが。

ラフマニノフはロシア(ソ連)の作曲家であるせいか、スケーターは好んで彼の音楽を用いる。1992年のアルベールビル五輪で、伊藤みどりラフマニノフのピアノ協奏曲第1番が流れる中転倒したが、演技の後半では、同じラフマニノフピアノ協奏曲第2番のフィナーレが流れる中、トリプルアクセルを決めて銀メダルを確保した。しかし、悲願の金メダルは成らなかった。

2006年のトリノ五輪で、予想外の金メダルを獲得した荒川静香が用いたのは、プッチーニの「トゥーランドット」だった。イタリアの五輪だからイタリアの作曲家の音楽を用いたのかもしれないが、浅田真央もあまり縁起の良くないラフマニノフは避けた方が良かったのではないか。