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古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

軍ヲタの論客・清谷信一氏の方が、物分かりの良いリベラル諸氏(笑)よりよほど冷静

id:Gl17さんにコメント欄*1で教えていただいたのが下記記事。Gl17さんによると、石破茂との共著のある清谷氏は、「かなりの右派として軍オタの間では有名」な人とのこと。


「暴力装置」は「差別用語」か? - 清谷信一|WEBRONZA - 朝日新聞社の言論サイト

暴力装置」は「差別用語」か? 
清谷信一
2010年11月19日


 最近、国会答弁で与党の失言がたびたび問題になっているが、仙谷官房長官自衛隊を「暴力装置」と表現した。これを野党が追及し、後に仙谷官房長官は陳謝し、「実力組織」と言い換えた。また菅首相も同様に謝罪した。

 しかし、「暴力装置」という言葉自体に問題はない。むしろこの言葉に脊髄反射して問題視する野党の偏狭さの方が問題である。

(中略)

 「暴力装置」という言葉が不適切だったとは思わない。こんなことを国会で問題にするほうが異常である。

 市民が武装を禁じられている国家においては軍隊(我が国では自衛隊)、警察、海上保安庁など武装した公的な組織が、暴力を独占し、いざという時は実力を行使するからこそ、治安と体制が保たれている。好き嫌いは別として、これは厳然たる事実である。

 これが暴力装置でなくて何なのだろうか。ボーイスカウト的組織とでも言い換えれば野党は満足するだろうか。

 極めて強大な暴力を行使できるこれらの組織を、慎重に制御・管理するのは政治の務めである。それを「これらの組織に危険は全くないのだ、彼らの忠誠を疑うのか」と、煽るのは無政府主義者によるアジテーターのたぐいでしかない。その方がよほど危険だ。少なくともそのようなポピュリズムに走る人間は国会にいるべきではない。

 恐らく野党が攻撃した理由は「暴力装置」という言葉は学生運動華やかなりし頃、左翼がよく使っていたから気にくわない、仙谷氏もかつては左翼だったから、自衛隊は嫌悪すべき暴力集団であるとの本音が出たのだ、ケシカラン、というものだろう。だがそれは感情論に過ぎない。感情論を国会に持ち込むべきではない。それではかつての社会党だ。

 「暴力装置」とは社会学者のマックス・ウェーバーが使い始めた言葉で、左翼に限らず政治学社会学を囓った人間なら今でもよく使う言葉だし、「差別用語」ではない。左翼から見れば「右派」「保守派」である筆者も「暴力装置」という言葉はよく使っている。

 また自民党政調会長石破茂氏も、筆者との共著「軍事を知らずして平和を語るな」(KKベストセラーズ)において次のように述べている。

 「国家という存在は、国の独立や社会の秩序を守るために、暴力装置を合法的に独占・所有しています。それが国家のひとつの定義だろうと。暴力装置というのは、すなわち軍隊と警察です。日本では自衛隊と警察、それに海上保安庁も含まれます」


 この件で与党を攻撃していた野党、特に自民党の諸氏は仙谷氏の「暴力装置」は許せないが、石破政調会長の「暴力装置」はOKとでも言うのだろうか。


(以下略、というより有料会員でなければ読めないようだ)


ま、世耕弘成丸川珠代山本一太佐藤正久あたりの人間には何を言ったってムダだろうね。

それにしても、軍ヲタの論客・清谷信一氏の方が、物分かりの良いリベラル諸氏(笑)よりよほど冷静だと感心した。こんな状況でも、「言い出したのが変な先入観を持たれている仙谷だからいけなかった」とか、「暴力という訳語は不適切だ」などと、妙に自民党にすり寄る「物分かりの良い」リベラル諸氏というのは、本当にサイテーだ。

むしろ、仙谷(と菅直人)が犯した最大の誤りは、簡単に発言を撤回し、謝罪したことである。