kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

電源三法の問題を鋭く突いた「ニューヨークタイムズ」の記事

http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20110603/1307112960#c1307119012

parade55 2011/06/04 01:36
電源三法については、こちらのNYTの記事がありますがご存じでしょうか?
In Japan, a Culture That Promotes Nuclear Dependency
http://www.nytimes.com/2011/05/31/world/asia/31japan.html


日本国内のメディアでこういう記事が出ないのが、情けないですね。


また、「文化」の問題? - Living, Loving, Thinking, Again も取り上げている。


このニューヨークタイムズの記事は長い。だが、さすがはネット時代、この長文を和訳したブログがあった。
http://tkpilgrim.wordpress.com/2011/05/31/%E5%8E%9F%E7%99%BA%E4%BE%9D%E5%AD%98%E7%97%87%E3%82%92%E6%8E%A8%E9%80%B2%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%86%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E6%96%87%E5%8C%96/


全文は、上記リンク先のブログをご参照いただくとして、電源三法に言及している記事の後半部分を上記ブログから引用しよう。

流入したお金の大半は、1974年に田中角栄によって創成された洗練された政府補助金のシステム、電源三法の産物である。強大な権力を誇った田中角栄は、日本の原子力業界を形成し、大規模公共工事によって強力な政治マシーンを構築した。この法律により、日本の電力消費者は電気代の一部として税金を払う必要があり、その税金の多くが原発近隣の自治体に支給された。日本の原子力業界を管轄し、補助金を管理している経産省はこれらの自治体がどれぐらい補助金に依存しているかを明らかにすることを拒絶した。「このお金は、原発を現地が受け入れることを推進するために使用されます」と、資源エネルギー庁のナカムラ・タツミは言った。東通原発を操業する東北電力の広報は、「東北電力補助金には関わっておらず、福島以来、原発の安全性に関して住民に不安を与えないことに注力している」と、答えた。政治専門家によると、補助金原発誘致だけでなく、時間の経過とともに原発の拡大を誘導しているという。その理由は補助金原発または原子炉が稼働してからすぐに最大になり、以降減少するように設計されているからだ。「多くの場合、人口が減少し税収ベースが殆どない町が突然多額の金を受け取ることになります」と、この法律を研究しているPurdue大学のDaniel P. Aldrichは言った。Aldrichによると、原子炉の稼働期間が経つに連れ補助金が減少していき、自治体は新たな原子炉建設を受け入れなければならない圧力を受けるという。「地元は最初の原子炉で、貰ったお金を使うことに慣れます。そして二台目、三台目、四台目、五台目の原子炉が彼らの出費を補ってくれるのです」と、彼は付け加えた。

これが、いわゆる「シャブ漬け」だ。

批判派はそれぞれ1978年と1979年に稼動した福島第一原発の5号機と6号機の建設を受け入れた双葉町のケースを指摘している。福島大学の清水教授によると、福島第一原発と近傍にある福島第二原発は、双葉町を含む周辺自治体から約11,000人を雇用しており、それは2世帯に一人の割合になるという。1974年以来、福島県内に発電所を持つ自治体は総計約2,600億円の補助金を受領し、その殆どが二箇所の原発を受け入れた自治体に渡されたと清水教授は言った。多くは1970年代にもたらされた莫大な補助金にも拘らず、双葉町は近年財政問題に苦しみ始めた。鹿島町の場合と同様に、補助金原発の固定資産税など他の税収とともに減少した。2007年には双葉町は日本で最も財政状況が悪い地方自治体の一つになり、殆ど財政破綻した。町職員達は、補助金がふんだんだった早期に建設された公共施設の維持費と、いつまでも補助金がたくさんもらえるという誤った認識に基づく悪政が原因と分析している。

1998年から2006年まで福島県知事を務め今では反原発派となった佐藤栄佐久は最初の原子炉が操業して三十年後に、双葉町は市長の給料が払えなくなったと言った。「原子炉一世代、約三十年で、自力で生き残れない自治体になる」と彼は更に言った。双葉町の財政危機への解決策は政府と福島第一原発を操業する東京電力に対し、原子炉二機の増設を要求することであった。それにより福島第一原発の原子炉総数は八機になり、双葉町はこの要求により直ちに補助金を得た。「麻薬が適切な表現であるかどうかは別として、一度使うと、絶対にまた使いたくなるものです」と、佐藤氏は言った。

鹿島町長選挙に落選したナカムラ・エイジは、町は政治的ならびに経済的両方の理由で途絶えること無い補助金に依存するようになったという。また、彼によると、県や町の指導者達は、雇用や公共工事を使って、町の3分の1の選挙民を構成する建設業界と漁協の支持を確保したという。「皆原発と呼ぶけど、政治発電所と呼ぶべきだよ」と、ナカムラ氏は冗談を言った。

菅首相による日本の原発推進を見直すとの発言が、本州最北にある隔離された地域である下北半島の人達を心配させるのは、そのためである。この地域の最初の原発は2005年に操業した。そして二つの原子炉が建設中で、更に二機の建設が計画されている。また大規模な使用済み核燃料の再処理施設も半島内に建設中である。原発の新規誘致自治体として、下北は失うものが最も多い。現在1台の原子炉が稼働中で、今後10年間であと3台原子炉が追加される町、東通を見てみよう。この4台の原子炉の補助金と税収をあてにして、二十年前に町は中心地を一から作り直した。減少している7,300人の住民のために、町の中心地では、東京のデザイナーによると、それぞれ男性、女性、子供を表す三角形、円形、四角形の、殆ど使われていない三つの大きな建物が目立っている。近くには、600人にも満たない高校生のために、二つの陸上トラック、二つの大きな体育館、八つのテニスコート、室内野球練習場が無秩序に並ぶ学校がある。2010年、町の約72億円の予算のうち、46%が原発関連の補助金と固定資産税で充当されている。町で原発を統括しているササタケ・シゲノリは、福島で起こっている危機にも拘らず、東通は日本政府と電力会社があと3台原子炉を建設する約束を反故にしないことを望んでいると言った。「リスクがあるので原発は東京には建設出来ない。このような過疎地だけで可能だ」と、ササタケ氏は言った。更に彼は、町はこのような巨大な建設プロジェクトを遂行するのに全く後悔をしていないと、付け加えた。

しかし、東通の建設ラッシュは、2014年稼働予定の一番目の原子炉の建設開始を、福島第一原発事故の余波で延期している人口約6,300人の同じ半島の町大間の気分を害している。大間に原発を誘致する中心的役割を果たした元町長の浅見恒吉は、将来財政問題の種となる豪華で役に立たない建物を建設することを大間は望んでいないと言った。現在のところ、大間は新町舎建設を我慢して、原発補助金で教育施設、漁業施設、養老施設を建設した。「一般住民や町会議員達は、原子炉が一台で収まっている地区はない。そのうち、二台、三台となるのでもっとお金を使おうと煩かったが、私はダメだと断った」と、浅見氏は言った。

大間でさえ、福島の惨事が原発の建設を永久に開始させないのではないかという心配がある。ここにも、日本が原発を推進するために作った補助金と依存性が、国として脱原発に方向転換することを非常に難しくしている例がある。「絶対に原発が必要だ。原発以外にお金を持ってくるものは絶対に無い。こんな辺境の町が原発を受け入れる理由が他に何がありますか?」と、大間商工会議所会頭のマツヤマ・ヨシフミは言った。


ここで合言葉を。

いる(ill)? 電源三法
きる(kill)! 電源三法