kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

アメリカ女子サッカー、日本戦25戦21勝4引き分け0敗、無敗記録は途切れず

嫌味なタイトルをつけたが、女子サッカーW杯決勝戦の日本対アメリカは、昨年の男子W杯決勝トーナメントの日本対パラグアイや、今年の同アジア杯準決勝の日本対韓国と同様、公式記録では「引き分け」扱いのはずだ。PK戦はあくまで「時の運」である。


驚いたのは、女子サッカーではアメリカはそんなに強いのか、ということ。


1993年、私が2か月間アメリカに滞在した頃には、アメリカのメディアはサッカーなどほぼ完全に無視していた。アメリカのスポーツ報道といえば、バスケットボールの人気がもっとも高く、次いで野球で、これらにアメフトとアイスホッケーを合わせて「4大スポーツ」と呼ばれていたが、サッカーは全くの不人気だった。翌1994年にはアメリカでワールドカップが開催されるにもかかわらず、その予選はほとんど報じられなかった。私が「ドーハの悲劇」の顛末を知ったのは、日本との国際電話によってだった。


だが、アメリカでテレビを見ていて、スペイン語放送にはサッカーの番組があったことには気づいていた。アメリカのサッカーチームといえば、選手もファンもスペイン語圏の人たちが中心という印象を持っていた。


しかし、今回の女子サッカーアメリカチームのメンバーは白人ばかり。『報道ステーション』のコメンテーターを務めている朝日新聞の五十嵐浩司によると、アメリカでは一時期中間層の「サッカーママ」が娘をサッカーチームに入れることが流行ったのだそうだ。それは、1996年のアトランタ五輪アメリカの女子サッカーチームが優勝したことと現在のチーム構成は関係があるらしい。つまり、当時サッカーチームに入った少女たちが、今回決勝戦で日本と引き分けた(PK戦では敗れたが)チームの主力であり、ヨーロッパなどでは庶民のスポーツであるサッカーは、アメリカでは中間層のスポーツなのだという。


なるほど、そういう事情があったのかと今にして知った。1994年の男子W杯決勝トーナメント進出と1996年アトランタ五輪の女子チーム優勝が時代を変えたのだ。1993年当時は、(男子の)ワールドカップで初めて予選リーグで敗退するのはアメリカだろうと言われていたが、番狂わせで決勝トーナメントに進出した。コロンビア戦で相手ディフェンダーオウンゴールに助けられて勝ったのだが、オウンゴールを犯したDFが帰国後射殺される悲劇が起きた。サッカー賭博で大損をこいた輩の恨みを買ったものだったと記憶する。その時知ったのは、ワールドカップの試合をきっかけに戦争が起きたという中米の例だった。1969年に起きた、エルサルバドルホンジュラスの「サッカー戦争」である。


サッカーには、見る人の心を熱くさせるものがあるようだ。そして、しばしばそれは行き過ぎをもたらす。


PK戦アメリカに勝った「なでしこジャパン」の優勝は賞賛されて当然だとは思うけれども、あの試合はあくまで「引き分け」だと認識する冷静さもあってしかるべきではないかと思った。アメリカ女子チームの日本戦通算成績は、W杯決勝戦を入れても「21勝4引き分け0敗」であり、「無敗記録」は今なお続いているのである。