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古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

古賀茂明が古舘伊知郎と安倍政権・テレ朝上層部との妥協を告発

例によって2日後の遅い反応だが、金曜日(27日)の報棄て(テレビ朝日報道ステーション」)における古賀茂明の発言は、私も見ていた。

『報道ステーション』で古賀茂明が「官邸の圧力で降板」の内情暴露! 古舘が大慌て|LITERA/リテラ

報道ステーション』で古賀茂明が「官邸の圧力で降板」の内情暴露! 古舘が大慌て
【この記事のキーワード】テレビ朝日, マスコミ, 圧力, 田部祥太
2015.03.28

 元経産官僚・古賀茂明氏が『報道ステーション』(テレビ朝日系)に最後の一刺しを放った。

 本サイトでは、1ヵ月以上前に、古賀氏が定期的に出演していた同番組から、3月いっぱいで降板させられることを報じていた。

 直接のきっかけは1月23日の放送だった。「イスラム国」による人質事件の最中でほとんどのメディアが政権批判を控えているなか、同番組に出演した古賀氏は安倍晋三首相の外交姿勢を敢然と批判。「I am not ABE”(私は安倍じゃない)というプラカードを掲げて、『日本人は違いますよ』ということを、しっかり言っていく必要がある」と発言したのだが、これに対して、官邸が激怒したのだという。

「番組放映中に官邸からテレビ朝日に直接電話で抗議が入るなど、凄まじい圧力がかかった。それで、最近、安倍首相と急接近しているテレビ朝日の早河(洋)会長が乗り出してきて、降板が決まったんです。ただ、もともと不定期出演だったこともあり、番組サイドはおおっぴらにせずにフェードアウトという感じにもっていこうとしていた」(テレビ朝日関係者)

 その古賀氏の最後の出演が昨日だったのだが、古賀氏は番組でその内情の一端を暴露したのだ。スタジオで古舘が古賀氏にイエメンの空爆についてコメントをもとめたところ、古賀氏がいきなり「そのお話をする前に」とこう切り出した。

「私、今日が最後ということで。テレビ朝日の早河会長と、古舘プロジェクトの佐藤会長のご意向で今日が最後ということで。これまで本当に多くの方に激励していただいた。一方で菅官房長官をはじめとして官邸のみなさんからものすごいバッシングを受けてきましたけれども、それを上回るみなさんの応援のおかげで楽しくやらせていただいたということで、心からお礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。」

 これに古舘は大慌て。「古賀さん、ちょっと、ちょっと待ってください。今の話は私としては承服できません」と話をさえぎり、こう反論したのだ。

「古賀さんは金曜日に時折出てくださって、私も勉強させていただいている中で、4月から番組の様相が変わっていく中でも、古賀さんに機会があれば、企画があうなら、出ていただきたいと相変わらず思っていますし、古賀さんがこれですべて何かテレビ側からおろされるということはちょっと古賀さん、それはちがうと思いますよ」

 しかし、古賀氏はひるまない。「いや、でも古舘さんおっしゃいましたよね、私がこういうふうになるということについて、『自分は何もできなかった。本当に申し訳ない』と」とさらに内情を暴露したのだ。

 これに対して、古舘が「この前、楽屋でお話しさせていただいたのは、古賀さんの思うような意向に添って流れができていないとしたら、大変申し訳ないというと。今でも私はそう思っている。でもさっきのはちょっと極端すぎる」と弁明にならない弁明をすると、古賀氏はなんと、「私は全部、録音させていただきましたんで、そこまで言われるならすべて出させていただきますけども」と断言したのだった。

 古舘は「そしたら、こちらも出させていただくことになっちゃいますよ」と言いつつ、「それはおいて」と話をイエメン問題に戻したが、終盤になって、再び話が蒸し返された。

 古賀氏は安倍政権と安倍首相の政策についての批判を5分以上滔々と述べ、最後に「これは古舘さんにお送りしたいんですけど」と前置きしてマハトマ・ガンジーの「あなたがすることのほとんどは無意味であるが、それでもしなくてはならない。 そうしたことをするのは、世界を変えるためではなく、世界によって自分が変えられないようにするためである」という言葉を紹介。そのうえで、こう述べたのだ。

「つまり圧力とか自粛に慣れていって、何もしない、ひとりでやったってしょうがない、ただ叩かれるだけだ、ということでやらないと、知らないうちに自分が変わってしまって、本当に大きな問題が起きているのに気がつかないということがあるんですよ。(中略)
 私が言いたかったのは、言いたいことはそのまま自然に言いましょうということ。もちろん、ちがう意見があれば、古舘さんだってどんどん言っていただいて、全くなんの問題もない。何か言ったことについて、裏で圧力をかけたり、官邸から電話をかけてなんだかんだ言ったりするのは、そういうことは止めていただきたい。そういうふうに思うわけです」

 この二人のやりとりを見れば、本サイトが指摘したように、明らかに官邸からの圧力によって古賀氏が降板に追い込まれたのは間違いないだろう。実際、番組終了後、古賀氏は、ジャーナリスト・岩上安身氏の直撃にもっと詳細な証言をしている。以下はその概要だ。

「今日の放送は官邸に抗議するというのが僕の目的だった。僕がなぜ『I am not Abe』を出したかと言うと、官邸が僕のことを個人的に攻撃しているんですよ。官房長官は名前は出さないけど明らかに私を攻撃してくる。「俺だったら放送法違反だと言ってやったのに」と言ってるという話も聞いている。官房長官という政府の要人が、放送免許取り消しもあるよという脅しですよ。私は脅されているからと言って黙るということはできない。だから自分を無理矢理追いつめていました。  
 番組終わってから、報道局長がきてあんなのおかしい、裏切りだとガンガン言われて、こっちもやり返してやりましたよ。いま、マスコミには黙ってほしくないんですよと言ったら、世の中の人にはわからないと言うんです。僕は一石投じることをしたかった。それ言ったら番組を私物化してると言われたけど。
 でも官邸、政府はお金も大量にあるし組織的にマスコミを抑えることをガンガンやってる。あいつはキチガイだと言う人もいると思います。みんながどんどん転向していっている。官邸の偉い人とご飯を食べて、審議会にどうこう言われれば、みんな変わるそうです。官邸に攻撃されたら民主党のブレーンだって官邸の味方だからと言ってるらしいんですよ。僕も官僚だったからわかりますよ。でも、テレビキャスターで官邸側に転向しないのが僕以外にたった一人だけいると言ってたらしいです。
 電通の人も言ってましたよ。官邸だけじゃなく自民党にはお金が余ってるからそれを取りに行くんだと、だから優秀な営業マンを付けるんだとね。みんな官邸になびいていくんですよ。これで当分僕の東京のキー局での出演はありえないですね」(『岩上安身チャンネル』)


 しかも、気になるのは、古賀氏の降板だけではない。古舘は古賀氏との口論の中で「4月から番組の様相が変わっていく中でも」という台詞をはいていたが、『報道ステーション』では、番組統括の女性チーフプロデューサーが、古賀氏と同時に4月から“粛清”されることが決まっている。

 これについても、古賀氏が昨夜の『報ステ』で「プロデューサーが今度、更迭されるというのも事実です」と暴露、古舘を慌てさせていたが、この女性プロデューサーは『ニュースステーション』時代からディレクターを務めてきた人で、安倍政権やテレ朝上層部からの圧力に盾になって今の『報ステ』路線を守ってきた。その番組の柱ともいえる存在に突如、更迭が言い渡されたのだ。

「昨年9月10日の川内原発再稼働をめぐる報道で、原子力規制委員会の田中俊一委員長の会見での受け答えに関する報道が原子力規制委員会から「恣意的な編集だ」と抗議を受け、BPOの審議対象になった。そのことの責任を取らされた形です」(前出・テレ朝関係者)

 しかし、この報道は「恣意的」でもなんでもなく、途中のやり取りを省いただけ。明らかに官邸と連動した原子力規制委員会からのイチャモンにすぎなかった。だが、テレ朝側はその抗議を積極的に受け入れ、謝罪。自らBPOの審議入りを申し出たのだ。

「上層部が官邸サイドから『あの女プロデューサーをなんとかしろ』と言われているという噂はずっとあった。そこに、都合よくこの問題が起きたため、早河会長と、安倍首相に近く、テレビ朝日番組審議会委員長を務めている見城徹幻冬舎社長が組んで、問題を大きくし、プロデューサーの更迭に持ち込んだといわれています」(前出・テレ朝関係者)

 チーフプロデューサーの交代によって4月以降、番組の政権批判の方針がガラリと変わると言われていたが、昨日の番組のやり取りでそれが裏付けされたというわけだ。

 しかも、昨日の放映では、一時は降板覚悟で徹底抗戦をするといわれていた古舘もこのテレ朝上層部の意向に恭順の意を示していることもわかった。政権批判ができる唯一の番組も風前の灯火ということらしい。

 なお、この間、『報道ステーション』の裏側で起きていたこと、古賀氏や女性チーフプロデューサー更迭の真相などについては、本サイトの以下の記事を読み返してほしい。

●朝日新聞の次は『報道ステーション』がやられる!? 古舘降板、番組終了も
●官邸の圧力!?『報道ステーション』で安倍批判をした古賀茂明が番組を降ろされた!

(田部祥太)

(LITERAより)


何度も書くけれども、私は古賀茂明も古舘伊知郎も、「報道ステーション」という番組も基本的に買っていない。古賀はすさまじい新自由主義者だ。「脱原発派の脱官僚」として飯田哲也が大々的に古賀を持ち上げていた2011年、私は古賀が書いた本に、2006〜07年の第1次安倍内閣安倍晋三がやろうとした「公務員改革」をヨイショした文章が書かれているのを立ち読みで知った瞬間に本を閉じ、「古賀茂明とはやはりその程度の人間か」と見切ったのだった。

また、古舘伊知郎にいたっては、2005年の郵政総選挙であからさまに小泉純一郎を応援した。あの時には、コメンテーターだった当時朝日新聞編集委員加藤千洋までもが「小泉さんの夢を叶えてあげたいですね」とほざくなど、当時の異様な流れに流されるにとどまらず積極的に竿を差していた。古舘も加藤千洋もダメな奴らだと思ったものだ。

古賀茂明には、かつて安倍晋三を肯定的に評価した責任を問い質したいところではあるが、それでも昨今の "I am not ABE." の発言には共感も評価もできる。番組に対する批判と古舘との口論のために詳しくは古賀の口から語られなかったフリップに書いてあった論点も的確だった。安倍政権の政策の柱である原発輸出や再稼働、軍需産業への傾斜による景気回復と明治政府張りの「富国強兵」などは、もっと論じられなければならない問題だ。特に後者に関して、仕事で工業技術とのかかわりを持つ人間である私が日々気になっているのは、安倍政権の経済政策によって景気が回復してきたとは世間では言うけれど、2008〜09年のリーマンショックを皮切りにした世界金融危機や2011年の東日本大震災・東電原発事故などの時期を経て弱体化した日本の弱電業界は勢いを落としたままいっこうに復活しておらず、以前から好調の自動車業界はともかく、重厚長大産業の復権ばかりが目につくことだ。日本の第2次産業は、ずいぶん危険な方向へとその構造を変えつつあることを日々痛感している。

そんな状況下で、安倍晋三とその政権は、古賀茂明や民主党の右派政治家など、かつて安倍のシンパだった人たちまで敵に回して暴走を続けているが、安倍政権はこうして支配層内部では敵を増やしているのに、民心が安倍晋三とその政権から離れる兆しはいっこうに見えないのだ*1。それは人々が民主党に絶望した結果の消極的な支持かもしれないが、「民主党はやっぱりダメだったから安倍さんを支持しておくか」などと安易な気持ちで安倍政権を容認し続けていると、安全保障も人権も(=日本国憲法も)、いやそれどころか日本の産業もめちゃくちゃになってしまうぞ、こんな政権は一刻も早く止めなければならない、そう私は絶叫したいのである。最近は躁状態の時には絶叫するし、鬱になると絶望的な記事を書くという繰り返しになっていて、われながら全く不健康な状態だと思う。

で、古舘伊知郎についてだが、古舘がやはり安倍政権やテレビ朝日の上層部と妥協していたことを古賀茂明が暴露した形だ。古賀外しには「古舘プロダクションの佐藤会長」とかいう人間が一枚噛んでいることを古賀は暴露した。古賀の暴露ぶりは、テレビで見ていてみっともなさを感じるパフォーマンスではあったが、それでも古舘が予想通り基本的に「裏切りの体質」を持つ信用できない人間であることを視聴者に示した意義は大きい。但し古賀の暴露に私は全く驚かなかった。古舘ならさもありなんの生態だな、としか思わなかったのである。

前々からの私の持論だが、古舘伊知郎日刊ゲンダイにだけは絶対に気を許してはならない。彼らは最後の最後には必ず裏切ることを肝に銘じておくべきだ。

*1:むしろ、安倍晋三は自分の政権が支持されているから安心して古賀茂明や民主党右派議員を敵に回しているようにも感じられる。