kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

平均所得:地域間格差くっきり 安倍政権下で拡大(4/17・毎日)

今日から5月。メーデーの今日が平日で、私もそうだが、明日から5連休という方が多いだろうし、昨日と今日、あるいは7日と8日に休んで大型連休にされる方も多いかもしれない。

だが気分は鬱々として晴れない。私は例年5月があまり得意でないのだ。もっとも去年は6月があまり良くなかったし、今年は3月中旬からずっと良くない。身体は動くが心が不調だ。

そんなわけで、新聞記事を見ても「はてなブックマーク」を見ても、取り上げたくなる記事が少ない。そんなわけで、記事が出てからだいぶ時間が経ってしまっているが、4月17日に毎日新聞のサイトに載った記事を取り上げる。

http://mainichi.jp/select/news/20150417k0000m040124000c.html

平均所得:地域間格差くっきり 安倍政権下で拡大

 毎日新聞調査 トップの港区と熊本県球磨村、格差6.5倍

 全国1741市区町村の納税者1人当たりの年間平均所得について格差の度合いを示す「ジニ係数」を年ごとに求めたところ、2013年に係数が上昇し、格差が広がったことが毎日新聞の調べで分かった。安倍政権の経済政策「アベノミクス」による株価上昇で大都市部の一部自治体で住民が所得を伸ばしていることが背景にあり、アベノミクス地域間格差を拡大させていることが数値で裏付けられた。

 毎日新聞は、総務省が毎年公表する「市町村税課税状況等の調(しらべ)」で、市区町村別の課税対象所得の総額を納税者数で割った額を平均所得と算定。04〜13年の10年間でジニ係数を求めた。その結果、構造改革を進めた小泉純一郎政権後半の04〜06年に係数は大きく上昇したが、08年秋のリーマン・ショックを経て09年に下降。その後民主党政権下は横ばいだったが、12年末に自民、公明両党が政権を奪還し、安倍晋三首相が政権を運営した13年は7年ぶりに大きく上昇した。この間、アベノミクスによる大規模な金融緩和で13年末の日経平均株価は12年末比で1.6倍に上昇した。



 13年の課税対象所得の内訳をみると、勤労者の給与や自営業者の所得などは前年比0.8%増とほぼ横ばいだった。これに対し、短期の不動産売買による所得は1.4倍、株式譲渡や上場株式の配当による所得は3.1倍に膨張。これらを合わせた13年の資産所得の合計は7兆3953億円で、前年比3兆683億円(70.9%)増となった。

 平均所得が最も高かったのは東京都港区。13年は、12年比40.5%増で1200万円の大台を突破し、7年連続でトップを維持する。一方、平均所得が最も低いのは熊本県球磨村(人口4207人)で193万9000円。12年比2万5000円増で、港区との所得差は4.7倍から6.5倍に拡大した。平均所得トップ10の大半は、ホタテ漁が好調な北海道猿払村などを除き東京都区部が占めた。【小田中大】

 ◇富の滴り届かず

 神野直彦・東京大名誉教授(財政学)の話 結果を見れば、安倍政権下で地域間格差が拡大していると判断してよい。賃上げや地域経済活性化への地道な努力より、資産所得、特に株の保有や売買が所得の伸びを決め、アベノミクス当然の帰結だ。株式保有者がいる地域がより豊かになり、トリクルダウン(富の滴り)が働いていないことを示している。資産所得への課税強化など手を打たないと格差は拡大する一方だ。

 ジニ係数

 所得の不平等感を0〜1の間で示す数値。「0」は完全な横並びで、数値が高いほど格差が開き、「1」は1人だけに所得が集中する状態となる。

毎日新聞 2015年04月17日 06時00分(最終更新 04月17日 11時23分)


昔、似たような記事を読んだことがあるな、と思って、「ジニ係数」で日記内検索をかけてみたら簡単に見つかった。

「ジニ係数」が小泉政権下で急上昇したことを示す毎日新聞記事 - kojitakenの日記(2007年2月11日)
少し古い2月4日の記事だが、リンクが消えないうちにコピペしておく。
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070204k0000m010116000c.html
以下引用。

地域間格差:所得格差「小泉政権下で拡大」実証 本社集計

 99〜04年の全国の市区町村の納税者1人あたりの平均所得に関し、格差の度合いを示す「ジニ係数」を年ごとに割り出したところ、02年を境に上昇したことが3日分かった。ジニ係数毎日新聞が東京大大学院の神野直彦教授(財政学)の協力を得て割り出した。平均所得の最高値と最低値の差は3.40倍から4.49倍に拡大、小泉純一郎前政権の間に地域間格差が開いたことを示した。神野教授は「感覚的に論じられてきたものを初めて定量的に示せた」と指摘しており、地域間格差は4月の統一地方選の主要争点になりそうだ。

 ジニ係数は所得の不平等度を0〜1の間で表す数値。「0」は完全な横並びで、数値が高いほど格差が開き、「1」は1人(1カ所)だけに所得が集中する状態となる。

 毎日新聞は、総務省が毎年まとめる「市町村税課税状況等の調(しらべ)」に基づき、年ごとに市区町村別の総所得金額をその自治体内の納税者数で割って平均所得を確定。これをジニ係数を求める公式に当てはめた。

 その結果、99〜01年はほぼ横ばいだった数値が02年の0.070を境に上昇に転じ、04年には0.079になった。国内の個人所得のジニ係数が99〜04年で0.007ポイント上昇というデータがあることが「格差論争」の根拠の一つとされており、市区町村別が2年間で0.009ポイント上昇したことは大きな数字だという。

 平均所得の上位はほとんどが大都市部。04年には東京23特別区のうち9区が上位20自治体に入った。これに対し、下位は軒並み高齢化の著しい町村部。最高値と最低値はそれぞれ、99年は東京都港区の751万円、秋田県東成瀬村の221万円で、04年が港区の947万円、北海道上砂川町の211万円だった。

 神野教授とともに作業にあたった慶応大大学院経済学研究科の宮崎雅人氏は「小さい所を大きな所が吸収するケースを考えれば、平成の大合併ジニ係数を下げる方向に働いたはずだ。実際の格差拡大は今回の結果より大きいのではないか」と分析している。【統一地方選取材班】

 ◇ ジニ係数 所得の不平等感を0〜1の間で示す数値。「0」は完全な横並びで、数値が高いほど格差が開き、「1」は1人だけに所得が集中する状態となる。イタリアの統計学者、C・ジニが考案した。日本の個人所得のジニ係数は80年前後から上昇。どの統計を使うかで数字は異なり、0.2台〜0.4台と幅広い結果が出ている。今回は各自治体の平均所得を使ったが、個人所得の差よりも平均所得の差の開きは少ないため、0.07台という低い水準で推移することになった。

毎日新聞 2007年2月4日 3時00分


8年前にも私は記事に気づくのが遅れ、記事が出た1週間後に記録したのだった。今回は2週間遅れた。そして、面白いことに、今年の記事は7年前の記事の続編になっている。つまり、今年の記事には2004年から2013年までのジニ係数の変化を示すグラフが載っているが、8年前の記事には1999年から2004年までのジニ係数の変化が示されている。

8年前の記事で気づくのは、小泉政権下でのジニ係数の上昇が、2002年を底として2003年から始まっていることだ。2003年といえば、年の早い時期に株価が底値をつけ、以後2007年にかけて株価は上がっていった。今回も、政権再交代で安倍政権になってからジニ係数が上昇している。つまり、小泉政権以降、株価とジニ係数の間に相関があると思われる。

昔からずっとそうだったかといえば、そんなことはない。たとえば2000年の「ITバブル」期に、日経平均は一時2万円を超えたが、ジニ係数は少し上がっているだけだ。

何が言いたいかというと、2000年頃までの株価上昇は、それなりに実体経済を反映したものだったと思われるが、小泉政権以降は、株価上昇は実体経済を反映しておらず、金持ちにしか恩恵が行き渡っていないということだ。神野直彦が「資産所得への課税強化など手を打たないと格差は拡大する一方だ」と言うのは、その通りであろう。