kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「消費税が最善の税金で税は消費税だけでいいということにはならない」どころか、逆進性を持つ消費税だけが税であっては絶対にならない

 このところマストドン等を好意的に取り上げてきたシゲ氏の発信だが、下記マストドンは全くダメダメであり、論外だ。

 

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 なぜ全くダメダメかを以下に説明する。

 それは課税前と課税後の金持ちと貧乏人との比較だ。消費税課税のあとには、課税前よりも両者の格差が拡大してしまうのだ。

 上記マストドンに挙げられた例だと、課税前には貧乏人は年に200万円、金持ちは2000万円使えたから貧富の比率は1対10だったが、消費税分を引き算すると貧乏人の182万円に対して金持ちは1900万円で、貧富の比率は1対10.4に拡大する。だから消費税には「逆進性」があるという。

 だから「消費税が最善の税金で税は消費税だけでいいということにはならない」どころか、このような逆進性を有する消費税だけが税であっては絶対にならないのだ。そんな税ばかりだと本当に「税金イコール罰金」になってしまう。

 これが所得を問わず税率が一定であれば、課税前と課税後で貧富の比率は変わらない。だがそんな定率税に対しては「再分配効果がない」という。

 税金の基本はやはり累進性を有する直接税でなければならない。これは財政学の基本中の基本だ。だが、ここからが一種不思議なところなのだが、アメリカのような「小さな政府」の国においては、税金は累進性のある直接税が中心だ。一方、西欧や北欧、特に北欧では消費税の税率が高い。とはいえそんな北欧の方がアメリカ同様の「小さな政府」の国である日本などよりも課税後の格差が課税前よりも小さくなっている。特に日本は、課税後のジニ係数が拡大するなどのデータが示されたことが過去にあるなど、本当の「逆再分配」が起きているのではないかとしばしば指摘される国だ。

 なお高齢化社会が進むにつれて必要性を増すのは間違いなく資産課税だろう。

 それから論外なのは金融所得が分離課税になっていることに起因する富裕層への逆再分配だ。これは所得が1億円を超える超富裕層で税金の負担率が下がる問題を引き起こしており、ずっと前から指摘され続けているが今に至るも解決されていない。

 最近のネットでは、一方にむき出しの資本主義を事実上あと押しする「減税真理教」、他方に消費税のメリットばかりを力説して消費税の逆進性を指摘することさえ忌避する「消費税真理教」の両極端ならぬ同じ穴の狢の二つの論陣による不毛の論戦ばかりが目立つように思われる。前者は弱肉強食を肯定していることによって論外だし、後者は消費税の逆進性(課税後に貧富の差が拡大する問題)を考慮していない観点から論外だ。私から見ればどちらも同じくらいひどい。

 企業や金持ちが海外に逃げる云々については、グローバル課税を目指して他国と協力関係を築くなどの政策を少なくとも将来的な課題として高く掲げる必要があるだろう。

 IT技術の進歩に伴い、グローバル課税の現実性がますます増すはずだ。それまでの過渡期にはある程度の税率の消費税も止むを得ないだろうとは私も思うけれども、少なくとの課税後に格差が拡大するような税制は論外だとの認識くらいは持っておかなければならない。

 リンクしたマストドンの文章に則していえば、「複数の種類の税金をできるだけそれぞれの欠点を相殺できるように組み合わせ」は良いと思うが、「経済活動のどこか一側面だけに税負担が偏らないように全体最適を目指す必要がある」という文章からは、格差の縮小を目指す観点が欠落しているように私には思われる。公正な再分配を実現するためには富裕層など税を納める余裕が大きい層にはそれに応じた負担をしてもらわなければならない。それを「応能負担」の原則という。「応能負担」こそ正しく「応益負担」は間違っているというのが私の変わらぬ確信だ。