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古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「『歯切れの悪くなった』小池知事、敵をつくり攻撃する手法が限界」(片田珠美)

今日(6/23)、東京都議選が告示されるので、最後っ屁をかましておこう。下記は、精神科医による皮肉たっぷりの小池百合子評である。

【築地移転・折衷案】「歯切れの悪くなった」小池知事、敵をつくり攻撃する手法が限界 | ビジネスジャーナル

片田珠美「精神科女医の悪口」
【築地移転・折衷案】「歯切れの悪くなった」小池知事、敵をつくり攻撃する手法が限界
文=片田珠美/精神科医
【この記事のキーワード】小池百合子都知事, 東京・築地市場, 豊洲市場

 東京・築地市場の移転問題をめぐり小池百合子都知事は6月20日、市場を豊洲に移したうえで築地を再開発し、5年後をめどに一部業者を戻す方針を表明した。いわば、豊洲市場築地市場の両立を打ち出したわけである。

 昨年8月、「安全性への懸念」などを理由に小池知事が豊洲市場への移転延期を表明してから、「安全・安心」が最大のテーマになったが、現時点では豊洲市場の「無害化」は達成できていない。そのため、約束を守れていないとして、小池知事は6月17日に市場業者に謝罪した。 

 こうした姿勢は評価すべきだが、「安全・安心が確保できない。今の状況では豊洲に移転できない」「毒のあるところには行けない」という市場業者の声にどう答えるのか。また、豊洲への移転に向けてどのように不安を払拭するのか。さらに、築地と豊洲を併存させて採算が取れるのか、5年後に一部業者を円滑に築地に戻せるのかという疑問も残る。

 そのうえ、これは移転推進派と反対派の双方にいい顔をする案で、二者択一の決断を下すことによる批判を避けるための折衷案ではないかという指摘もある。たしかに、「決められない知事」と非難され、「東京都議選前に、移転可否を早く決めて」というアンケート結果を突きつけられた小池知事が、できるだけ批判を受けないようにするために折衷案を選んだ可能性は大いにある。

 もしそうだとすれば、都議選を見すえた「選挙目当て」の戦術ともいえるが、このような折衷案を選ぶと、とたんに小池知事の歯切れは悪くなる。これは、当然である。わかりやすい敵を見つけて攻撃し、共感を集めることによって、小池知事は政治家として成功してきたのだから。 

 このように敵をつくって攻撃する手法のお手本を示したのは、小泉純一郎元首相だろう。郵政民営化に反対した議員に「抵抗勢力」というレッテルを貼り、公認せず、刺客を送った。小池知事自身が、小泉元首相の送り込んだ刺客として、衆院東京10区で分裂選挙を戦ったのだから、その手法を間近で学んだはずだ。

 都議会自民党を「抵抗勢力」と位置づけ、敵と戦う姿勢を明確に示してきたにもかかわらず、小池知事は、敵が主張していた豊洲移転を盛り込んだ折衷案を選ばざるを得なかったのだから、歯切れが悪くなるのは当然だ。

 わかりやすい敵をつくって攻撃する手法は、他の政治家も用いている。アメリカのトランプ大統領は、「メキシコからの不法移民」「アメリカをテロ攻撃するイスラム国」「嘘ばかりつくメディア」などを、敵と名指しして罵倒した。橋下徹大阪市長も、公務員や教師という敵をつくり、それに立ち向かう「改革者」として自分自身を演出した。

3つのメリット

 こうして敵をつくると、少なくとも3つのメリットがある。まず、うまくいかなくても、自分のせいではなく、「抵抗勢力」をはじめとする敵のせいなのだと言い訳できる。また、どんな集団でも、共通の敵に立ち向かうことで一体感が生まれ、団結できる。さらに、公開の場で敵を叩きのめすことによって、大衆が復讐願望を満たし、カタルシスを得られるので、ガス抜きになる。

 だからこそ、これは非常に巧妙な手法であり、ドイツの政治学者、カール・シュミットが政治の本質を「友と敵」という関係でとらえたのは、当然かもしれない。実際、大衆の支持を集めることに成功した政治家の多くは、わかりやすい敵をつくって攻撃する手法を用いている。シュミットは「ナチスの御用理論家」として有名だが、ナチスが敵として攻撃したのはユダヤ人だった。

 歯切れのいい「小池節」を鳴らすためには、敵をつくって攻撃することが不可欠だろう。これから小池知事が誰を敵とみなして攻撃するのか、興味津々である。
(文=片田珠美/精神科医

【参考文献】
カール・シュミット『政治的なものの概念』田中浩・原田武雄訳、未來社

(『Business Journal』より)


小池百合子の歯切れが悪いのは、何も築地市場移転問題だけに限らない。安倍晋三に対しても歯切れが悪い。小池は、自民党東京都連に対しては歯切れの良い攻撃文句を発射するが、安倍晋三に対しては加計学園問題を口にしても安倍の固有名詞を口にしない。それは、小池が次期総理大臣の座を狙っているため、現総理大臣の心証をあまり悪くするのは小池にとって都合が悪いからだ。

そして、「都民ファ□ストの会」はそんな小池のイエスマンだけが立候補する。安倍晋三も、「都民ファ□ストは保守政党だから議席が増えるのは良いことだ」などと言って、都ファへの闘志をむき出しにする自民党都連とは明らかに一線を画して小池に対して融和的な姿勢を示しているらしい。

それでも、「都市リベラル」(または都会保守)の都民は、「都民ファ□ストの会」の候補に投票するのだろうか。