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小池氏、希望代表の辞任表明 「しかるべき形で支援」
2017年11月14日20時08分
希望の党の小池百合子代表(東京都知事)は14日、両院議員総会で「代表の座を降り、しかるべき形で、皆さんをサポートしたい」と述べ、党代表を辞任した。新代表には玉木雄一郎・共同代表が就いた。小池氏は新執行部の発足を受けて都政に専念する考えだ。総会で、小池氏は「国政については、やはり国政の皆さんにお任せしたい」と語り、代表辞任の考えを示した。そのうえで「玉木共同代表にこの後を任せたい」と提案し、承認された。総会後、記者団に対して「玉木執行部の船出を見届け、創業者としての責任を一つ終えた」「私は都知事として都政を」と述べた。
総会では、共同代表選で玉木氏陣営の選挙対策本部長を務めた古川元久・元国家戦略相を幹事長に、結党メンバーの長島昭久・元防衛副大臣を政策調査会長に起用する人事案も承認され、細野豪志・元環境相の憲法調査会長への就任も決まった。9条を含む改憲論議を進め、安全保障関連法を容認する「小池路線」を継続する新執行部の姿勢が鮮明になった。
小池氏は衆院解散が迫る9月27日に「日本をリセットする」と述べ、希望の結党を発表。民進党が前原誠司代表(当時)の主導で希望への合流方針を決めるなか、憲法改正や安保法制への賛同を得られない候補を「排除する」と表現したことが反発を招いたり、政策協定書を結ばせたことが「踏み絵」と揶揄(やゆ)されたりして、失速。衆院選で議席を57から50に減らし、「完敗」と総括した。
衆院選後も、党内では憲法や安保関連法をめぐる路線対立が尾を引き、今月10日の共同代表選でも争点になった。小池路線を踏襲した玉木氏に対し、9条改正不要論を唱え、安保法を認めない大串博志氏は党内の予想を超える票を集めたが、今回、役職には就かなかった。
(朝日新聞デジタルより)
大方の予想通りというべきか、小池百合子が希望の党代表の座を投げ出した。
都議選の直前に「都民ファ□ストの会」の代表に就任しながら、都議選が終わるとさっさと代表を辞任し、それでいてこの地方政党の独裁者として振る舞うという小池の行状を思えば、何の不思議もない。
ただ、都ファが小池の意のままに動く「小池チルドレン」というべき追従者の集団であるのに対し、希望の党は民進党の中でも特に右寄りか、さもなくば「自分の議席が第一」の連中が寄り集まった集団だという違いはある。
両者は集団の質の低さにかけてはいい勝負だが、希望の党は配下の者を国会に送り込むことに失敗したばかりか腹心だった若狭勝の議席まで失ってしまった小池にとっては利用価値の低い政党だ。既に小池が代表を務めていた時点でさえ政党支持率は3%(今月行われた朝日新聞とNHKの世論調査)しかない。小池辞任後に行われる世論調査ではさらに政党支持率を下げ、来月には1%程度になるのではないか。もちろん、このままでは次の衆院選(自分にとって都合が良くなると好き勝手に衆議院を解散する安倍晋三のことだから、早ければ再来年夏にも改憲を狙って衆参同日選挙をやりかねない)で苦戦が必至の希望の党の政治家たちは、ある者は自民党入りを狙い、他のある者は日本維新の会などの他の右翼政党入りを狙い、また別の者は現在も政治資金と地方組織を残している民進党との合流を狙い、残りの者は立憲民主党との合流を狙っているだろうから、党には文字通り四分五裂に向かう力が働いている。
ただ、小池は最後っ屁としてというべきか、希望の党執行部に自身と思想の近い右翼ばかりを送り込んでから代表を辞任した。どこまでも気に障ることをやる奴だよな、と舌打ちせずにはいられない。希望の党は、党代表の玉木雄一郎、政調会長の長島昭久、憲法調査会長の細野豪志など、「チャーターメンバー」(小池は希望の党創設時のメンバーをそう呼んでいる)を含む右翼政治家ばかりが執行部を占める。結党メンバーの党執行部起用人事は、連合の神津里季生が強い難色を示していたが、これを押し切ったのは小池の意向と考えるほかないだろう。たとえ自らにとって利用価値の低い政党であっても、それなりの影響力を残そうとする小池の執念が感じられる。また、大串一派を排除して党の融和策をとらず、「出て行きたければどうぞ」という姿勢を鮮明にしたあたりもいかにも小池らしい。小池と「排除」とは切っても切れない関係にあるということだ。もちろん大串一派の離脱は玉木にとっては痛手となるから、大串一派との融和策をとらなかったのは玉木の意向ではなく間違いなく小池の意向だろう。大串一派は年内に希望の党を離党して新党を立ち上げる可能性が強くなった。すぐには立憲民主党入りは無理だろうから、とりあえず新党を立ち上げておくことになると予想する。
希望の党代表の玉木雄一郎については、以前から小沢一郎に接近したり、元フジテレビ政治部長の鈴木哲夫という右派政治評論家に絶賛されるなど、民進党でも有数の右翼政治家として以前からこの日記で何度か批判してきた。それを知らないばかりか、ひところ鈴木哲夫の右傾政治評論を好んでブログで紹介していた某都会保守氏は「玉木が保守寄りに変身」、「あ〜、長島や細野らの保守勢力に取り込まれたな〜」などと書いているが冗談じゃない。玉木とはもともとそういう政治家なのであって、だからこそ小沢一郎や鈴木哲夫らにも気に入られたのだ。
ところで東京都政についても小池は何一つ実績を残していないが、公明党が都ファとの連立を解消したとのことで、都ファは都議会の第一党ながら少数与党に転落した。これを機に都議会自民は小池の都知事不信任案提出を狙っているとの噂もある。不信任案が可決されると、小池は都知事を辞任するか都議会を解散するかしか選択肢がなくなる。12日に行われた葛飾区議会選挙の結果から類推して、小池が都議会を解散しても都ファが7月の都議会と同様に勝つ可能性はゼロだろう。
もちろん、4か月前にやったばかりの都議選か、1年ちょっと前にやったばかりの都知事選をまたやるとなったら、不信任案を可決した側への批判も噴き出す可能性があるから、自民党もそう早急には動かないかもしれないが、小池が都知事の座を投げ出す可能性を含めて、都政の混乱は避けられないだろう。
こんなことなら、昨年の都知事選をやる必要など全然なかった。舛添のままで問題なかったじゃん。
また、都知事選での鳥越俊太郎惨敗必至の情勢を受けて、現希望の党代表の玉木雄一郎らが民進党代表選の前倒しを岡田克也に求め、党内抗争に嫌気がさした岡田克也が代表を辞任して代表選を経て蓮舫に代わったが、去年の(もちろん今年のもだが)民進党代表選なんかやる必要など全然なかった。岡田のままで問題なかったじゃん。
結局、「劇場型政治」の問題点が一気に噴出したのが昨年から今年にかけての都政選挙及び国政選挙だった。
希望の党に関しては「小選挙区制がひり出した汚物」*1という側面もあるのだが、それについては次の記事で。今朝はここまでで時間切れ。