kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

舩後靖彦(山本党)は右翼民族主義者だった

 8月14日に荻上チキがTBSラジオでやっているラジオ番組で、参院選で初当選した山本太郎元号政党(以下「山本党」)から特定枠で立候補して当選した2人の参議院議員(木村英子、舩後靖彦)へのインタビューが放送されたが、うち舩後議員が右翼なのではないかと話題になっている。

 既に同議員が右翼思想の持ち主であるらしいとの噂は聞いていたが、それがラジオで報道され、TBSのサイトで文字起こしされたことではっきり示された。当該箇所を以下に引用する。

 

www.tbsradio.jp

 

(前略)

荻上:現在の安倍政権について、舩後さんはどういう風にご覧になってますか?

舩後:消費税増税はデフレを20年以上長引かせることになっているので全くいただけません。現在 、自民党ホームページにも改革などの左傾化した言葉があるそうですがご存知ですか?総理の祖父の岸元総理は、上司にアカと言われ激怒したそうです。それを知っているはずの安倍総理があえて左傾化した言葉を使うのは勇気あることだと思いますし、その根底には安倍政権が野党に対して柔軟な態度で接するという思いがあるような気がします。もしそうならその点については評価致します。

(中略)

荻上:最後にこの6年間の議員生活に向けての抱負や課題について教えてください。

舩後:全ては教育にありと考えています。日本の30年前を考えれば、時代も変容し、国際障害者年や障害者自立支援法が生まれ、そして重度障害者が国会議員になった。その時代背景によって変化する事象や慣例もあると思います。全ては教育にあり。私は、10年20年後に未来を創造して、代わる障害者に対する偏見を教育で変えたいと思います。さらに子供の頃から、潜在意識の領域、さらに深く無意識の領域にまで存在する「差別意識」を除外する倫理・道徳教育は必要と考えています。重度訪問介護の不備も喪失した人々の潜在意識の領域ならびに無意識の領域に重度障害者には生産性がないという確定した思いがあるからです。かと言ってその方々を責めているわけでは全くありません。大東亜戦争の日本が弱体化するために GHQ が導入した教育や文化が要因と考えていますが、具体的には掴みきれていません。ところで明らかに研究不足の感があることは否めませんが、今現在インクルーシブ教育を礎土台とするモンテッソーリ教育の2段階以上の教育を、小学校、中学校、高校そして大学に導入すれば良いのではと考えています。モンテッソーリ教育は知的・発達障害の治療教育、弱者とも言える貧困家庭の子供達への教育から発展させてきた教育法であることから、土台とするインクルーシブ教育に好影響をもたらすものと考えています。この事を6年間でやり遂げたいと思っています。(終)

 

出典:https://www.tbsradio.jp/399025

 

 なるほど、これはひどい。舩後靖彦は明らかな右翼民族主義者だ。

 山本党は党名に元号を冠しているが、まさに「名は体を表す」。同党は経済政策においては左派的だが(「上」か「下」かでは「下」の立場に立つ)、国際政治においては右派的である(「内」か「外」かでは「内」を志向する)性格を持つ政党だと位置づけられる。いってみれば「右の共産党」だ*1

 山本党の右翼民族主義的なあり方は、今後党内外から厳しく批判される必要があるだろう。もっとも、現在のこの党の支持者のあり方からは、党内からの批判はほとんど期待できない。

 舩後靖彦の主義主張にみられる通り、山本党を左派政党またはリベラル政党とみなすことはできない。穏当な言い方をすれば保守政党だが、意地の悪い言い方をすれば「ネオ皇道派」的な右翼政党だといえるかもしれない。

 なお、同党がこのような性格の政党であることについては意外性は全くない。私は2000年代後半の政権交代ブームの頃にネットの一部で盛り上がっていた「『右』も『左』もない」という反自民側のスローガンを、リアルタイムで目の敵にしていて、批判をのこの日記にもずっと書いてきたが、このスローガンを支持していたのは主に「小沢信者」の人々だった。そして、かなり歳をとってから政治に関心を持つようになったと思われる山本太郎は、明らかにこの思想に強く影響されている。私にもブログを始めた初期の頃には、反新自由主義の一点で保守と連携することを志向した時期があるが*2、政治についての考えが深まっていない人たちが陥りやすい罠に違いない。自分の過去を振り返ってもそう確信できる。有名人でも市井の人でも、遅く政治に関心を持つようになった人に小沢一郎になびく傾向が顕著なのも、同じ心理機構によるものだろう。小沢一郎自身は「自分の権力闘争が第一」の人で、確固たる政治思想も経済政策も持っていないノンポリの人間だが、人をたらし込む才能にかけては誰にもひけをとらない。なにしろ、あれほど新自由主義の旗を振っていた人間が臆面もなく「国民の生活が第一」などと言い出したのだから。

 なお、舩後靖彦については下記のTwitter情報もある。

 

 

*1:もっとも、日本共産党も結構ナショナリズムの強い政党であって、日本では経済政策で「下」の立場に立って国際的には「外に開かれた」あり方を志向する主要政党は存在しないといえる。

*2:2007年の参院選の頃あたりまで。その後は、「『右』も『左』もない」を唱える人たちが推す城内実平沼赳夫がどうしても受け入れられなかったたことをきっかけに、彼らと袂を分かった。