kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

コオロギ騒動が起きるまで(雨宮純氏のnote)

 前世紀の終わり頃、当時勤めていた会社の同僚が「コオロギはゴキブリに似ている」と言ったことがあった。私は1970年代に中学校の修学旅行だったかで泊まった長野県の旅館で夕食に出されたイナゴの佃煮を食べた記憶があるが、下記ツイートに貼りつけられたようなお菓子はさすがに食べる気がしない。

 

 

 しかし、このような形態で供される昆虫食は例外中の例外だ。だから上記の画像を根拠に昆虫食への拒絶反応を煽ろうとすることは間違っている。

 

sumita-m.hatenadiary.com

 

 下記は上記リンクのブログ記事の結語。

 

今回の騒動で気持悪いのは、極右陰謀理論クラスタが起原なのにも拘らずあらゆる政治的スタンスの人たちが巻き込まれてしまっているということだ。

URL:https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2023/03/08/142921

 

 そうなんだよねえ。弊ブログにも多数をバックに居丈高になって「昆虫食なんかを擁護してるとリベラルは支持層を右に持っていかれるぞ」という意味の恫喝的なコメントを寄越してきた人間がいた。ああいう数の力をバックにした横暴を忌み嫌うのが、読売や阪神ばかりをえこひいきするマスメディアの報道に長年反感を持ち続けたスワローズファンの習性だ(笑)

 そういえば報ステのスポーツキャスターがスワローズ(やバファローズ)のファンにとってはゲンの良い安藤萌々*1から大阪のABCで長年スポーツキャスターを務めてきたヒロド歩美に代わるらしいので、私は報ステのスポーツコーナーが阪神びいきになることは不可避とみて大いに警戒している。これで虎のレジェンド監督に「アレ」なんかをやられたのではたまったものではない。関西メディアはオリックスをガン無視で阪神のことばかりしか言わないらしいからバファローズファンの方々も同じ思いかもしれない。踏ん張れ、高津・中嶋!

 昆虫食の話に戻ると、雨宮純氏の下記noteがまたもバズっている。

 

note.com

 

 上記記事に「極右陰謀理論クラスタが起原なのにも拘らずあらゆる政治的スタンスの人たちが巻き込まれてしまっている」理由が指摘されている。

はじめに: コオロギへの拒否反応や批判自体は陰謀論ではない

筆者は陰謀論について執筆することが多く、取り上げたものが全て陰謀論と誤解される可能性があるため最初に記載しておきたい。この記事では、「反コオロギ」と「コオロギ(昆虫食)陰謀論」は明確に別の言葉として扱う。

  • 反コオロギ:コオロギ食への反発であり、純粋な嫌悪感も含む。
    ただし、何もないのにコオロギへの嫌悪感を表出させる人は稀であり、「良いものとして流行してしまっている」「政府が推進しているのではないか」といった感覚から反発しているのではないだろうか。これについては、事例を取り上げる割に、将来懸念されている問題やコオロギの有用性など、「どのような未来像が想定されているのか」「何故コオロギなのか」の説明が手薄な報道姿勢にも問題があったと筆者は考える。

  • コオロギ陰謀論:コオロギ食の裏に、誤情報や過剰な解釈を含む物語が接続されているもの。「何者かが意図的なタンパク質不足を引き起こすと同時に巨額の助成金によってコオロギ食を推進し、人々に強制しようとしている」といったものが典型である。

URL:https://note.com/caffelover/n/n7ce1bc68368f

 

 たとえば弊ブログが何度もリンクを張って批判した村野瀬玲奈氏のブログ記事などは上記「反コオロギ」の範疇にとどまるのだろう。但し村野瀬氏の該記事には風評被害を引き起こした画像を貼りつけたツイートが無批判にリンクされているので、あれはなんとかした方が良い。

 再び雨宮氏のnoteから引用する。

コオロギネタではないものの、「某カフェチェーンのクリームパイはタニシの卵をイメージしており、これは昆虫食を普及させるための陰謀である」というかなり濃い陰謀論を観測したのもこの時期で、食に関する陰謀論は流行りやすいことや、昆虫というインパクトがあることから、筆者は(あくまで濃いめの陰謀論を共有している人たちの間での)次の陰謀論ブームは昆虫食なのではないかと考えていた。

※ちなみに「クリームパイとタニシの卵」については元々面白がってネタにされていたものが、陰謀論インフルエンサー陰謀論として利用し、それを本気にするフォロワーが群がったという構図である。このように最初は面白半分に言われていたものが陰謀論界に取り込まれてしまう例としては、他に「某寿司チェーンKはフリーメーソンの寿司屋」がある。

URL:https://note.com/caffelover/n/n7ce1bc68368f

 

 「某カフェチェーン」は私も行きつけだがクリームパイは食べたことがない。もちろん昆虫食とは無関係だ。ところでスタバと昆虫食というと、見に行っていた宮武嶺氏のブログで11年前の2012年4月2日に公開された下記記事が同ブログ内人気記事の3位(この記事を書いている時点では5位)に挙がっていたのにびっくりした。

 

blog.goo.ne.jp

 

 自社商品に含まれる人工着色料を減らす取り組みを進めているスターバックス。その一環で「ストロベリー・フラペチーノ」の淡いピンク色を出す染料として新たに採用したのは、虫を原料とするコチニール色素だということです。

 

URL:https://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/38dcb99013cbe2213c346af9c09293ca

 

 この件で批判を受けたスタバはトマト由来の染料に切り替えたらしい。上記記事の20日後、2012年4月22日に同じ宮武氏のブログに公開された記事より。

 

blog.goo.ne.jp

 

このことをイギリス紙が書いたことで、議論が起きたようで、スターバックスは4月19日、昆虫から抽出した着色料の使用を段階的に取りやめると発表しました。

スターバックスのクリフ・バロウズ社長は同日のブログで、コチニールと呼ばれる昆虫の使用を段階的に中止すると発表し

「米国で販売している食品と飲料に天然のコチニール抽出物を使っているのは、消費者の期待に反していた」

と述べました。6月末までに、トマトの抽出物を使ったリコピンという着色料に切り替える予定だということです。

このコチニールという着色料は、15世紀から染物などに使われてきた「自然素材」で、コチニールを使用しているのはスタバだけではなく、カンパリソーダ、ハム、魚肉ソーセージ、かまぼこの赤、ガム、イチゴジャム・・・など、今では肉やアルコール飲料、菓子やチーズなどの食品や化粧品の赤系着色に広く使われているのだそうです。

(中略)

ですから、今回の消費者の期待というのは、風の谷のナウシカを初めて観て卒倒しかけた私のような虫嫌いの人よりも、完全菜食主義者の方々を念頭に置いているようです。

完全菜食主義だと、着色料に虫からの抽出エキスが使われていても、主義に反するようですね。

同社広報によれば、昆虫の抽出物使用に不安を持つ消費者から多数の要望が寄せられたため、その声に応えることにしたということです。

インターネットの署名集めサイトでは6000人の署名を集め、「完全菜食主義者に優しい」抽出物への切り替えをスターバックスに要望したと話しています。

 

URL:https://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/159d00cc8ef8ac6f202ba5d7be33db69

 

 そんなわけで、スタバが本当に昆虫食の食材を使っていた件は洋の東西を問わない昆虫食嫌いたちにというよりは、ベジタリアンたちによってストップをかけられたもののようだ。

 そんな昔の経緯があったから、10年後の2022年に雨宮氏のnoteに書かれたような陰謀論が出てきたものかもしれない。

 雨宮氏のnoteについたはてブコメントより。

 

コオロギ騒動が起きるまで|雨宮純|note

「貧乏人は麦を食え」の直系の政府がコオロギ食を推進となれば、勘ぐりたくなるのが当然というもの。/もっとうまい虫はいくらでもあるようだが、養殖技術の蓄積からコオロギになっちゃったのだろうねえ。

2023/03/08 14:27

b.hatena.ne.jp

 

 一瞬、地下猫氏までこんな陳腐なブコメを書くのかと失望しかかったが、よくよく思い返すと弊ブログの新規常連客となったさる陰謀論者氏の執拗なリクエストに応えるべくネット検索をかけ始めた時点で持っていた私自身が持っていたのも、まさしく地下猫氏が書いたような「貧乏人は麦ならぬ虫を食えという話なのかな」という先入観だった。そういうありがちな感覚につけ込んだ「極右陰謀理論クラスタ」はまことに狡猾だったというほかない。

 しかし彼らの悪だくみを知ってしまった以上、上記地下猫氏のブコメにスターをつけるわけにはいかない。私がスターをつけたのは例によって下記Gl17氏のブコメだった。

 

コオロギ騒動が起きるまで|雨宮純|note

「政府に押し付けられたくない」と叫ぶ陰謀論の護持するアイコンが、トランプ、プーチン、サウジ皇太子等といずれ劣らぬ強権抑圧者で、拡散する連中も極右の権威主義が多数。加害者連合が虚言で被害者を装う毎度の。

2023/03/08 16:23

b.hatena.ne.jp

 

 そうなのだ。素朴な昆虫食への忌避感や反権力の感情が結果として極右の権威主義者どもを利してしまう落とし穴が、この件にはある。

*1:安藤氏は2021年春からスポーツコーナー担当。つまりヤクルトとオリックスの両球団にとってはともにリーグ優勝確率100%、日本シリーズ優勝及び交流戦優勝確率50%という「勝利の女神」だった。その安藤氏は4月から報ステのメインキャスターに昇格するらしい。