本記事が現時点での弊ブログ10000件目のエントリになるので*1、一連のコオロギ食・昆虫食の記事はこれで一区切りとしたい。
Qアノンの派生団体「神真都Q」から、分派がうまれた。《子ども達を守るQ会》。デモが今月、浅草で開かれる。
— Gakushi Fujiwara / 藤原学思 (@fujiwara_g1) 2023年3月6日
ビラの中心人物はトランプ。脇にプーチンとJFKジュニア、モディ、サウジ皇太子。MJやダイアナも。最近流行りのコオロギ陰謀論にも乗っかってきた。闇鍋感がしつつ、「子ども」がキーワード。 pic.twitter.com/DbmdwUe9M4
上記ツイートを見れば、リベラルや左派が「コオロギ食叩き」に加担することがいかに馬鹿げているか、村野瀬玲奈さんやカーマインスパイダーさんたちにもおわかりいただけるのではないだろうか。
コオロギ陰謀論については、その筋の専門家の雨宮さんが観察した結果を詳細にまとめています。
— Gakushi Fujiwara / 藤原学思 (@fujiwara_g1) 2023年3月7日
「小さなウソ」が「大きなウソ」になり、やがて一部の人にとって「真実」になり変わる過程がよくわかります。反ワク、反マスクと反コロオギがセットで訴えられる流れがしばらく続きそうです。 https://t.co/89VRP5R8d8
このあたりはさすがに新聞社入社以来「事実とは何か」*2ということを叩き込まれたであろう人のツイートだと思う。私を含む市井のネットの意見発信者とは一線を画していることは認めざるを得ない。
雨宮氏の他の記事に下記のブクマがついている。
コオロギ騒動が起きるまで|雨宮純|note
反ワクチンと同一視して叩いてる人が多いけど、全然違うと思うんだよなあ。「少子化」を騒ぐ一方で食糧危機って矛盾し過ぎでしょ。
2023/03/09 08:30
おそらくこの方はまだ「コオロギ食叩き」にも三分だか五分だかの理があるとの未練を持たれているのではないかと推測するが、コオロギを含む昆虫食はもともと気候変化*3への対応策として提唱された記事だ。朝日新聞の教育サイト「EduA」に掲載された「ゆきどっぐ」氏が書いた昆虫料理研究家・内山昭一氏のインタビュー記事に詳しい。
以下引用する。
学習と健康・成長
昆虫食に関心高まる 環境問題解決の糸口にも? 専門家「多様性、子どもに伝えて」
2021.09.09
ゆきどっぐ
栄養豊かで、環境にも優しいとされる昆虫食。近年では、SDGs(持続可能な開発目標)の観点から関心が高まり、教育現場での体験・研究も進んでいます。将来を担う子どもたちにとって、昆虫食はどんな存在になるのでしょうか。昆虫料理研究家の内山昭一さんに、昆虫食の面白さについて聞きました。(※文中に昆虫食の写真があります)
話を聞いた人
内山 昭一さん
昆虫料理研究家
(うちやま・しょういち)1950年長野県生まれ。NPO法人昆虫食普及ネットワーク理事長、NPO法人食用昆虫科学研究会理事。幼少から昆虫食に親しみ、1999年より本格的に研究活動に入る。主な著書に、「楽しい昆虫料理」(ビジネス社)、「昆虫食入門」(平凡社新書)など。
昆虫食が地球温暖化解決の糸口になる可能性
――昆虫食はいつから注目されるようになったのでしょうか。
きっかけは、2013年に国連食糧農業機関(FAO)が発表した論文です。この論文は昆虫食を科学的に分析したもので、昆虫食が地球温暖化などの環境問題を解決する糸口になるのではないかと、世界中で関心を高めました。
最近では、SDGs(持続可能な開発目標)でも関心が寄せられています。17ある目標のうち、貧困や気候変動などの観点から8つに関わるといわれています。
――何がそこまで注目されるのでしょう。
まずは食品として優れている点が挙げられます。昆虫はタンパク質が豊富。ほかにも、血中の中性脂肪やコレステロール値を調節する不飽和脂肪酸、ビタミンB群、地面に近いところで暮らしているから、銅や亜鉛、マグネシウムほか各種のミネラルを含んでいます。
殻も特徴的で、エビやカニと同じキチン質でできています。キチン質は人間が消化できる物質ではありませんが、食物繊維と同じ働きをしてくれます。このように、昆虫は体に良い成分を多く含む食材なのです。
次に、少ない餌でたくさんの肉が取れることが挙げられるでしょう。例えば、1キロの牛肉を得るためには約10キロの餌が必要ですが、コオロギなら約2キロの餌で同じ量の肉が取れると言われています。それに、牛の精肉部分は約4割。一方、コオロギは体の約8割が食べられますから、無駄が少ないんです。加工も、牛だと皮を剥いで、骨を取り、部位にわける必要がありますが、昆虫にはその手間がいりません。
狭い土地でも、立体的な飼育箱を作ればたくさん飼えて、水もそれほど必要ない。気温に多少変化を受けますが、成育も速く、蚕(かいこ)なら1カ月ほどで繭(まゆ)を作ります。
――飼育のコストがかからないし、生産効率がいいんですね。
そうです。ほかにも、地球温暖化の原因の一つといわれる温室効果ガスのメタンも、昆虫からはほとんど排出されません。メタンは、二酸化炭素の約25倍の温室効果があるといわれていて、牛などの反芻(はんすう)動物が餌を消化する際も放出されています。(後略)
(「朝日新聞 EduA」より)
記事を読めば昆虫食の研究や推進が食糧危機の解決策として「貧乏人は虫を食え」式に政府に押しつけられているものでもなんでもないことがおわかりいただけるだろう。
地球温暖化(気候変化)といえば、ブログを長くやっている私にとっては、2008年頃にオザシン(小沢一郎信者)たちがアメリカ共和党右派や池田信夫(ノビー)*4らと一緒になって「地球温暖化陰謀論」に熱中していたことが苦々しく思い出される。山本太郎などは未だにその呪縛から完全に解放されてはいないように見受けられる。
昆虫食についての政府の周知が不十分という批判は当然あり得るし、陰謀論の流布を招いた責任を政府に問うことは大いにあっても良いが、それは陰謀論を拡散したり風評被害を拡大する恐れの強い言論を発信した側を免責する理由にはならない。ツイッタラーであれブロガーであれブログやブックマーク等のコメンテーターであれ、責任は免れない。
そういえばこんな記事を書いている私自身も、ある件に関する検証記事をそろそろ書いて公開しなければならないのだった。それを10001番目のエントリにするのはいささか癪に障るので10002番目にするか、あるいは1001は私にとって縁起の悪い数字*5でもあるし割り切って10001番目に問題の記事を書くとするか。少し迷っている。
*1:その後記事を削除する機会などがあれば順番が繰り上がるのであまり意味のない数字だが、ブログ開設後16年8か月で1万件とはよくも書き続けたものだと自分でも思う。
*2:かつて朝日新聞のスター記者だった本多勝一にこのタイトルの著書があった。但し、本多氏は確かに優れたルポライターだったが、スター記者になってから多く書くようになったエッセーには思い込みの強さからくる欠点が少なからず見られた。たとえば本多氏の大江健三郎批判に私は与しない。1990年代にホロコースト見直し論に一時関心を示したり、今世紀に入ると小沢一郎と意気投合したりするなど、徐々に弱点が目立つようになっていった。
*3:私は「気候変動」より「気候変化」と表記すべきではないかと考えるに至ったので、今後しばらく「気候変化」と表記することにする。なおこれは三春充希氏の指摘に触発された考えだ。