衆院選が終わって間もなく2か月。
「選挙ブースト」が終わって各党の支持率が下がっているが、例外がある。それが国民民主党(民民)だ。多くのメディアの世論調査を総合している三春充希氏のグラフでも、民民の政党支持率はついに立憲民主党(立民)を抜いた。三春氏のXを2件示す。
12月23日現在の政党支持率の平均
— 三春充希(はる)⭐未来社会プロジェクト (@miraisyakai) 2024年12月22日
無党派 33.4 %
自民 26.6 %
国民 10.6 %
立憲 9.9 %
維新 4.3 %
公明 3.1 %
れいわ 2.8 %
共産 2.6 %
参政 0.9 %
保守 0.7 %
社民 0.6 %
みんな 0.1 %… pic.twitter.com/geIO3vloaG
12月23日現在の政党支持率の平均(10%未満拡大)
— 三春充希(はる)⭐未来社会プロジェクト (@miraisyakai) 2024年12月22日
無党派 33.4 %
自民 26.6 %
国民 10.6 %
立憲 9.9 %
維新 4.3 %
公明 3.1 %
れいわ 2.8 %
共産 2.6 %
参政 0.9 %
保守 0.7 %
社民 0.6 %
みんな 0.1 %… pic.twitter.com/aydPkFv3VK
私は今の民民の勢いは、一昨年の今頃、当時立民代表だった泉健太が「『維新八策』に大部分協調できる」と言って、その後ひどい無能ぶりが証明された当時の維新代表・馬場伸幸にすり寄った頃に似ていると思っていたが、もしかしたらそれ以上かもしれない。それは、下記日経の有料記事についたはてなブックマークのコメント(ブコメ)を見て思った。
記事の有料部分はごく短い。以下に引用する。
日経世論調査
2024年12月23日 2:00 [会員限定記事]
日本経済新聞社とテレビ東京の20〜22日の世論調査で、国民民主党の支持率が自民党に次いで2位の14%となった。前回11月調査と比べて3ポイント上がった。2020年9月に現在の国民民主が結成されて以来、2位となるのは初めて。
18〜39歳の若い世代に限ると、国民民主は全政党のなかで最も支持を得て3割になった。60歳以上からは...
URL: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA2111A0R21C24A2000000/
この短い引用文中で注目されるのは、「18〜39歳の若い世代に限ると、国民民主は全政党のなかで最も支持を得て3割になった」という箇所だ。
2021年衆院選で躍進した維新はその層には切り込めなかった。当時は安倍菅時代が終わって岸田内閣が発足した直後で、この21年の衆院選は最近の国政選挙の中ではもっとも自民党が多くの票を獲得した選挙だったが、若年層の支持は主に自民党に集まった。
2024年衆院選ではその層が民民に雪崩を打った。
小選挙区制の壁に阻まれて民民の獲得議席は28議席にとどまったため(それでも議席は4倍増になったが)、衆院選の直後にはむしろ民民の勢いを過小評価する向きが多かったが、グラフが示す通り民民が自民から奪った票は自民へと戻ってはいない。
上記日経の記事についた人気ブコメを以下にリンクする。
筆頭に位置しているのは、勝ち誇ったかのような下記のブコメ。
国民民主党、政党支持率14%で2位 立憲民主党抜く 日経世論調査 - 日本経済新聞
- [日本]
- [政治]
- [政党]
「全面的に支持できなくても野党を育てることが大事」って言ってきた皆さんの夢が今実現しつつあるのになんか不服そうなんよね。前回政権交代を成し遂げた民主党の仲間よ?
2024/12/23 13:15
2番手の人も民民に本気で期待しているようだ。
国民民主党、政党支持率14%で2位 立憲民主党抜く 日経世論調査 - 日本経済新聞
国民民主党は、ほんとに危なっかしいので、このトレンドに浮かれず、強引な党勢拡大を試みたりせずに、実直・誠実に政策立案・提言に取り組み、着実で継続的な支持の広がりを果たして欲しい。他野党も頑張って欲しい
2024/12/23 02:41
国民民主党、政党支持率14%で2位 立憲民主党抜く 日経世論調査 - 日本経済新聞
世界的に分断が加速してる時代に中道政党が台頭するのは大変喜ばしい。
2024/12/23 09:54
下記のブコメには目を疑った。
国民民主党、政党支持率14%で2位 立憲民主党抜く 日経世論調査 - 日本経済新聞
前々からはてなでは「労働者目線の政党、労働党がほしい」という声が一定数いて自分もその一人だったので、まさにその労働党に最も近い国民民主党が躍進してくれたのは嬉しい限り。
2024/12/23 11:21
なんとブコメ主は民民を英国労働党になぞらえている。私には玉木雄一郎は一昨年に49日しか政権を維持できず、今年の英国総選挙で落選した保守党の減税真理教の教祖リズ・トラスの同類にしか見えないのだが。
国民民主党、政党支持率14%で2位 立憲民主党抜く 日経世論調査 - 日本経済新聞
国民民主は、支持層や地方議員・職員(吉川蓮民など)見てると、ポピュリズムに突っ込みそうな気配あるので、微妙に歓迎しつつ、警戒心持ってる。つか反自民に命賭けてた立憲や左派は、今頃何か違うと気がついただろか
2024/12/23 10:27
この人気上位5件が特に象徴的だが、「なんか変なんじゃない?」と私などには強い違和感を感じさせるトレンドが確実にあるようだ。
玉木はコメントでは否定しているが、日本版MMTの思想を取り入れていることはほぼ間違いないだろう。だがそれは「日本のバルファキス」と呼ばれているらしい松尾匡が夢想した元号新選組ではなく、新選組よりももっとずっと「右派ポピュリズム」ぶりを前面に押し出した民民に乗っ取られる形になった。
このあたりについてずっと前からヲチを続けてXで意見の発信を続けているのが、愛知の「レバ子」氏だ。
現代貨幣理論最大の弱点は、好む好まざるを別として景気の動向は海外の状況から左右されるという事に対し、無視をしている点です。アメリカがくしゃみをしたら日本経済は風邪を引くと言われましたが、今はどこがクシャミをしても日本経済は大病のリスクがある。結局モノの行き来はグローバル。 pic.twitter.com/H5tIPQIZrs
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2024年12月24日
好む好まざるを別として、一国だけで完結する経済体制は一国社会主義論の破綻でほとんど論を成さないです。株式や不動産価格だけが上がっても、労働者の生活においては家賃という形で支払う事になる。現代貨幣理論家は精鋭や掃き溜め含めて複数いますが、この点に関しては皆説得力がある理論家が皆無。 pic.twitter.com/HfwjFkPb11
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2024年12月24日
特に下記Xに注目した。
だから現代貨幣理論において、グローバルに逃税する富裕層や多国籍企業の課税強化はセットであるか、労働分配率をさらに高めるための施策が必要ですが、そうしたものが曖昧になりやすく問題点が膨れ上がり、結局経済音痴の自称積極財政としか見做されなくなるのが、理論としての欠点です。 pic.twitter.com/QO04a3WJAr
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2024年12月24日
グローバルな課税といえばピケティだが、ピケティはバルファキスを批判した。そのあたりが書かれた記事を探していて少し前にみつけたのが、5年前、まだ癌に罹患する前の松尾匡が東洋経済オンラインに書いた下記記事だった。
バルファキスとピケティの論争は記事の終わりの方に出てくる。
中途半端だが時間になった。上記に続くレバ子氏の下記Xで締める。
財源を全て国債で調達しようとしたイギリスのリズ・トラス政権は株安、債券安、ポンド安のトリプルスリーで自国経済を破滅させようとしました。財源を公債で全て賭けるという事はそういう事を容易に招くのです。そもそも現代貨幣理論の初期はあくまで雇用対策のみ公債でカバーをするというものでした pic.twitter.com/hi8mmp7KMZ
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2024年12月24日
そのトラス政権ができた時に新選組支持層の一部がXで大喜びし、長谷川羽衣子もそれに少なくとも水は差さなかった(迎合しているようにしか私には見えなかった)。
だからそれ以来私は日本版MMTにさらに近寄らないようにしたのだが、新選組よりももっと露骨にいかがわしい民民が、今度は本格的ブームになりかねない勢いだ。来年に向けての最大の不確定要因として注視せざるを得ない。