現在、「リベラル・左派」*1のネットでの発信において、非常に controversial な(物議を醸す)様相を呈しているのが、伊藤詩織氏(以後「伊藤監督」と表記する)の映画をめぐる一件だ。
この件に関して過去に一度だけ下記記事を公開した。
タイトルにした通り、東京新聞の望月衣塑子記者が書いた記事が「事実と異なる」として伊藤監督が望月記者を提訴した件について、東京新聞自体が記事を一部訂正とお詫びもしているのに、望月記者が「誤りはない」と強弁したために、伊藤監督が望月記者を提訴したのだろうと考えて、望月記者を批判する意図を込めてこの記事を公開した。
しかし、東京新聞は記事の全部を訂正したわけではなかった。記事にいただいた下記コメントも、記事の全体にわたる訂正ではないことを指摘している。
yumeto
私もこのことには気づいていたが、記事の主眼が望月記者に対する批判だったのであえて書かなかった。
しかし、現実には東京新聞編集者の認識通り、つまり望月記者の記事の一部には確かに誤りがあったが、伊藤監督が全関係者の許諾をとったわけではなかったことを認める形で、伊藤監督が謝罪と映画を修正することを表明した。しかし伊藤監督にドクターストップがかかったために記者会見は行われなかった。
そして、伊藤監督の記者会見が行われるはずだったその日に、伊藤監督の元弁護団の記者会見が行われた。
この経緯から議論が沸騰した。たとえば宮武嶺さんが下記ブログ記事を公開した。
伊藤監督の記者会見が行われず、声明が発表されただけだったことが議論になった。宮武さんは下記のように書いている。
今日、2025年2月20日に日本外国特派員協会で午前中に伊藤詩織さんの元弁護団、午後に詩織さん自身が記者会見をすることになっていました。
その両方が終わってから、元弁護団が告発した、伊藤詩織さんが監督を務めたドキュメンタリー映画「Black Box Diaries」での映像や録音の無断使用問題について書こうと思っていたのですが、詩織さんは
「体調不良によるドクターストップで出席できなくなってしまいました。申し訳ございません」
と自ら設定した記者会見を土壇場でキャンセル。
この事実が、伊藤さんが記者会見から「逃げた」という行動が、今回の騒動のすべてを象徴的に言い表しているというしかありません。
宮武さんは下記の言葉で記事本文を締めくくっている。
編集後記
この問題がなければ3月にはぜひオスカーを獲ってもらいたかったのですが、今はあまりにも複雑な思いで、どっちがいいんだろうと思ってます。
この件でアベトモやネトウヨがそれみたことかと狂喜し、伊藤さんが望月さんを提訴するに至ってはそれ見たことかと舞い上がっているだろうことを想像するだにため息しか出ません。
それどころか、リベラル・左派然とした男性たちがここぞとばかりにミソジニー丸出しで伊藤さんを叩いている姿は私の目にも入ってきており、日本のジェンダーフリーの夜明けは遠いと慨嘆せざるを得ません。
今年早くも一番気が重い記事でした。
弊ブログにも伊藤監督批判のコメントをいくつかいただいた。
匿名意見
望月記者の能力は別として、本日おこなわれた伊藤氏の元代理人の記者会見を見て、そして伊藤氏が会見をドタキャンした経緯も踏まえると、伊藤氏は相当に問題を抱えた人物のように思います。裁判の証拠として以外には使用しないと言って入手したホテルの防犯カメラ映像が映画に使われていること、記事で指摘されている以外にもカメラに映った人の映像を許可なく使用していること、性加害事件の情報提供者の身元を明かすことにつながりうる映像が含まれていることなど、映画自体に関わるものだけでも深刻な問題が多々あると感じました。元代理人との間でも伊藤氏が背信的な行いをしたようです。伊藤氏を支えてきた人々が女性の権利問題に対してあらぬバックラッシュが起きぬよう、問題の指摘に際しても様々な配慮をしていることが窺われるのが痛ましいです。
管見人
朝日のメールによると、防犯カメラの映像や弁護士との会話を約束を破って無断使用したりしたのが真相のようです。
(ネット読者になってないので、それ以上は分かりません)
匿名意見さんの言われる通り、伊藤氏には色々問題がありそうだけど、それで彼女の被害の訴えを過小評価する気にはなりません。
「性犯罪被害者の気持ちがわかる」人間であるとは間違ってもいえない私は、ちょっと軽率な記事を書いてしまったかなあ、でも議論が伊藤氏批判にばかり傾く流れも好ましくないなあと思って、下記のコメントを書いた。
匿名意見さん>
管見人さん>コメントどうもありがとうございます。
私の見るところ、伊藤詩織氏をめぐる言説は、相当程度深刻に controversial な様相を呈しているように思われます。
たとえば片岡正美氏などは強い伊藤氏擁護の論陣を張っていて、下記のポストを発信しています。
https://x.com/masami_a_shiba/status/1892511036387082638そして私が日々Xをウォッチしている範囲にも、片岡氏のXをリポストして「伊藤さんが謝罪する必要などなかった」と強く主張したりもしています。
伊藤氏をめぐる「加害/被害」の連鎖は非常に重いものなので、私なんかが伊藤氏の望月衣塑子記者(この人こそ映画のモデルになったりしたせいかいささか自意識過剰気味で、問題含みの人なのではないかと私は思っていますが)への告訴をブログで取り上げるべきではなかったかとも思っていますが、公開した記事を非公開にするのも筋が通らないと思うので公開したままにしています。しかし当面はこれ以上の意見発信は控えたいと思います。
宮武嶺さんのブログ記事に、氏の記事にはまことに珍しく、今のところ1件のコメントもついていないことも、この問題の深刻さをよく示しているのではないでしょうか。
宮武さんの当該ブログ記事にはその後コメントがついた(この記事を書いている時点では1件)。
ついでに、余計なことを書きたくなる性癖があるもので、下記のコメントも書いた。
ああ、あとこういうXを見ると、元朝日新聞で現アークタイムズ編集長の尾形聡彦氏に対する疑問も強く感じます。
https://x.com/michiyohonda/status/1892539866803478612
ドクターストップで中止となった会見をドタキャンと書くのは悪意があると思います。 https://t.co/Usi98PrZ2N
— 池内みちよ(本田みちよ) (@michiyohonda) 2025年2月20日
📣ライブ配信のお知らせ📣
— Arc Times アークタイムズ 公式 (@ArcTimes1) 2025年2月20日
本日 2/20(木)19:00〜
【伊藤詩織氏、会見ドタキャンのなぜ/
伊藤氏謝罪、映画は修正へ/
問題点を全整理、取材源の秘匿は?】
Arc Times編集長・尾形聡彦が解説します。
ぜひライブでご視聴ください。… pic.twitter.com/1xqo5xzRtS
そして何より、絶対に看過できず、「これ以上の意見発信を控えたい」という言葉を撤回せざるを得ない人物の発信を知ってしまった。それを教えてくれたのは、今朝のサンデーモーニングには出演していなかった同番組のコメンテーターである安田菜津紀さんだった。
私(安田菜津紀)と伊藤さんとの関係性をお伝えすると、私にとって大切な友人であり、私の「ルーツの旅」のドキュメンタリーを作ってもらったこともありました。そのため、ここに記すことは、「第三者」としての発信とは言えないと思いますが、現時点で共有しておきたい最低限のことをお伝えします。
『Black Box Diaries』は伊藤さんが性被害を受け、その後をどう生きてきたのかを記録した映画です。現在、様々な問題提起がなされ、懸念を持ったり、心配したり、戸惑ったりしている人たちが大勢いることでしょう。きりきりとした気持ち、もやもやを抱えたりもしているかもしれません。
先述の通り、2月20日に開かれる予定だった詩織さんの会見と、会見場での映画上映は、ご本人の体調の問題、ドクターストップによって中止になりました。そもそも映画自体が日本では公開されておらず、今の時点ではまだ見えていない点もあるかもしれません。
伊藤さんが声明でも触れているように、映画には彼女が自ら命を絶とうとし、病院で朦朧と目をさますシーンがあります。サバイバーとしての伊藤さんの「被害救済」には程遠い状態であり、裁判が終わった今もその地続きの地平に立たざるをえないのだと思います。
「SNS上は元気に見える」という投稿が散見されましたが、SNSで可視化されるものだけがその人の「全て」ではないことを、つい忘れてしまうことはないでしょうか。
もちろん、「詩織さんは被害者なんだから批判すべきではない」「この映画は100点満点非の打ち所がない」といった極端な言説で思考停止するのは不健全です。ただ今、非常に気がかりなのは、問題提起するために、「毛虫の次に嫌い」「モンスター」などといった、非人間化するような言葉が用いられている点です。
「その人のふるまいの問題を問う」という目的のために、その人の人権を侵害していいわけではありません。「普通の日本人としては…」という文言を引き合いに出すことも暴力的と感じます。またときに、「恩」「感謝」という言葉を相手に押し付けてしまう態度が、支配構造を生みだす恐れがあることも、慎重に見ていく必要があります。
「倫理」「人権」の問題が、この間、投げかけられてきたことの根幹なのであれば、伊藤さん、元代理人、関係者、その誰もにその人権があるのだということを、議論や発信する皆がいま一度、軸足としていく必要があるのではないでしょうか。
赤字ボールドにしたような文言を使って伊藤監督を誹謗中傷した人物がいる。それだけでも沈黙を守るわけにはいかないと思い直した。
それと、私がコメント欄に意見を投稿したことで、もしかしたら引っ掛かるかもしれないと少しは思った(もちろんそれを狙ってコメント欄に自ら書いたわけではない)獲物が案の定引っかかった。
下記はコメント欄には表示されない未承認コメントである。以下に晒す。

出た!
これぞ「×さ」や某カスどころではない本当の極悪コメンテーター。ここ数年は上記のように、某カスのブログの読者だと言って嫌がらせのコメントをたまに寄越してくる(以前はもっと激しく粘着していた)。こいつの悪行を晒したのはもう4年前の下記記事だが、こいつはその頃私への自殺勧告や、他の常連コメンテーターの「なりすまし」をやった、骨の髄から腐り切った本当の極悪人である。よく恥ずかしげもなくコメント欄にやってこられるものだと、その厚かましさには空いた口が塞がらない。こいつは確か、最初はオザシン(小沢一郎信者)だったはずだ。
こいつの使うリモホIDは「77.111」で始まるから実に覚えやすい。こんなやつを読者に抱えているだけでも某カスのブログの程度は知れようというものだが、そんなことを言ったら、こんな奴にヲチされるお前のブログも同じだろと言われてしまうかもしれない(笑)。それに実際にこいつが某カスのブログにコメントしているかどうかも私には知りようがない。
それはともかく、こいつは極悪人とはいえども無名の人物だろう。
しかし、伊藤監督を「毛虫の次に嫌い」「モンスター」と言い放ったのはそれなりの文化人だ。
その名を三上智恵(みかみ・ちえ)という。1960年生まれ、64歳の映画監督だ。
下記は石田昌隆氏のX。
三上智恵氏が、伊藤詩織さんのことを
— 石田昌隆 (@masataka_ishida) 2025年2月21日
「炎上は最大の営業」
「モンスター」
「女友達を利用する女
女友達を裏切る女、が
毛虫の次に嫌いだ」
「得意の英語で
海外からの賞賛をバックに」
と誹謗中傷したFBに1000以上のいいねがついていて地獄だ。
残念ながら当該の三上のXは既に削除されている。
直接は関係ないが、三上は伊勢崎賢治の支持者らしい。さもありなん。
伊勢崎賢治さんの講演「緩衝国家とは何か」。たったの4分で多くの人の視点を変えられる動画です。目からウロコ。みんなで見て,拡散しましょう😊 pic.twitter.com/y71l5VKjsr
— 三上智恵 (@chiemikami) 2023年2月7日
下記は鈴木エイト氏のX。
安田菜津紀氏@NatsukiYasudaのコメント
— 鈴木エイト ジャーナリスト/作家 (@cult_and_fraud) 2025年2月21日
>ただ今、非常に気がかりなのは、問題提起するために、「毛虫の次に嫌い」「モンスター」などといった、非人間化するような言葉が用いられている点です
>「その人のふるまいの問題を問う」という目的のために、その人の人権を侵害していいわけではありません…
上記Xから安田菜津紀氏のコメントを知り、ネット検索をかけて三上の暴言を知った。
既に削除したとはいえ三上の言説は「加害/被害」の連鎖の構造において加害側に加担した悪質極まりないものだ。ここに強く非難する次第。
【追記】
記事に事実誤認があるとのご指摘をいただきましたので当該箇所を訂正しました。訂正の経緯につきましてはコメント欄をご覧ください。
*1:この括りの言葉を私は好まないが、便宜的に用いている。
東京新聞の修正内容を見ると、女性のシーン以外にまだ許諾無しに使ってる映像があるという事なのでしょうか。