kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

保守の人たちの改憲反対論

まず、故田中六助氏(1923-1985)。
以下、国正武重著「権力の病室−大平総理最期の14日間」(文藝春秋、2007年)から引用する。国正氏は元朝日新聞記者。

権力の病室―大平総理最期の14日間

権力の病室―大平総理最期の14日間

田中六助氏は、第二次大戦中、特攻隊に配属された。「二〇歳の青春には『明日』がなかった。毎日が、さびついたノコギリで首を切られる思いで過ごした」と当時を振り返る。鈴木内閣の閣僚としてただ一人、終戦記念日靖国神社参拝を拒んだのも、そのせいで、平和憲法擁護の思いは、ことのほか強い。

国正武重著「権力の病室−大平総理最期の14日間」(文藝春秋、2007年)より。初出は1980年の朝日新聞掲載「人物拝見」

田中六助氏は、1983年、衆院本会議で中曽根首相に質問してこうも述べている。

『私は特攻隊員として実戦に参加しました。多くの戦友、同僚、教え子、部下を雲流るる果てに散華させました。無残なことです』

次いで森田実氏。この人も、れっきとした保守の人だと思う。
以下、「森田実の言わねばならぬ」より。
http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/

2007.5.16(その1)
森田実の言わねばならぬ[236]


平和・自立・調和の日本をつくるために【158】
重ねて、安倍首相の解釈改憲に対し反対を訴えます!
50年前の飛鳥田一雄社会党衆議院議員)の発言に学ぶ
『50年前の憲法大論争』(監修/解説・保坂正康、講談社現代新書、07年4月20日刊)は憲法論争の重要資料である


アメリカの意向が変わってまいりますとたんに、日本国内における憲法改正論が、あたかも解き放たれたように出てまいりました。こういう点から考えてまいりまして、私たちは現行憲法の改正については、うわべにおどり出ていろいろ議論なさっておる改正論者よりも、もっと奥に、日本の憲法を改正せしめようという何者かが動いていると見ざるをえないわけです」(飛鳥田一雄氏の昭和31(1956)年3月16日の発言。昭和31年当時社会党衆議院議員。のちに横浜市長社会党委員長)


 上記の飛鳥田発言の前の部分を紹介する。
《この憲法にたいする改正論は、ニクソン副大統領が日本にやってまいりまして、日本にこういう憲法をもたせたのはアメリカのまちがいだった、こういうような声明をいたしました。つづいて[アメリカ]国務省のほうから、1954(原文漢数字)年は憲法改正準備の年、1955(同前)年は憲法改正の年、このようなプログラムが出されてまいりました。》

 さらに飛鳥田一雄議員は、この発言のあとで次のように付言している。
鳩山一郎さん(当時の首相)が自由党憲法調査会にご出席になりまして、憲法改正の必要を論ぜられたなかで、こういうことを言っておられます。
 アメリカと日本はいつまでも緊密な関係を保っていかなければいけない。ところが自分の見るところでは、最近この関係は下り坂である。冷却に近づきつつある。したがって、アメリカとより親密になるために一刻も早く憲法を改正しなければならないとおっしゃっているわけです。
 これでは、まるで失われていく愛情を取り戻そうとするために厚化粧をする娼婦に似ていると思うのです。》

 当時の鳩山一郎首相は、日本国民に向かっては「日本が独立するために自主憲法を制定する」と言いながら、親米派自由党憲法調査会の場では「アメリカのために」と言っている。二枚舌を使っている。「ブルータス! おまえもか!」と言いたくなる。ここに、鳩山一郎という政治家の偽善性、欺瞞性があらわれている。

 結局のところ、日本政府は昔も今も「風にそよぐ葦」に過ぎない。風はアメリカから吹いてくる。アメリカに “憲法改正をやれ”“集団的自衛権を行使できるようにしろ”と命ぜられれば、アメリカの意に沿うように動き出す。現在の安倍内閣は、卑劣にも違法な憲法解釈の変更(事実上の憲法改正)によって、ブッシュ政権が日本に求めている集団的自衛権の行使に踏み出そうとしている。
 昔も今も、日本の政治は米国政府の言うがままに動いている。(吉田)自由党自民党そして今日の自公連立の政権は、独立国の政府としての自覚と誇りを捨て去った、アメリカのカイライ政権に成り下がっている。

 1956(昭和31)年3月16日の衆議院内閣委員会公聴会における飛鳥田一雄議員の発言は、半世紀の歳月を経ても、生き生きとわれわれの胸に響いてくる。
 いまも同じことが繰り返されている。安倍首相の解釈改憲の裏で、ブッシュ政権のアジア支配の野望が動めていている。
 安倍従米政権による憲法改正、とくに卑劣な解釈改憲の暴挙を阻止しなければならない。7月22日の参院選で自公連立政権の議席過半数以下に減らすことが、この第一歩となる。
 安倍政権は、日本を従米軍国主義国家に変えようとしている。安倍政権はきわめて危険な政権であることを国民に知らせなければならない。

森田さんの紹介された本は、私も今読んでいるところだが、まだ飛鳥田一雄氏の質問の収録されている第8章まで読み進んでいない(笑)。

50年前の憲法大論争 (講談社現代新書)

50年前の憲法大論争 (講談社現代新書)