kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

ロシアとアメリカと安倍晋三と

孫崎享の悪影響を多大に受けでもしたのか、「アメリ陰謀論」に影響され切ったさる「リベラル」系のブログが、こんなことを書いていた。

Dendrodium プーチン露大統領と仲良しの安倍総理(2014年2月1日)

プーチン露大統領と仲良しの安倍総理


今朝(2月1日土曜日)「週刊NHKニュース深読み」で、アメリカが嫌いそうな放送をしていた。
安倍総理は就任以来4回もロシアを訪問している。
外務省は反対したけれど、安倍総理ソチオリンピックに出席する予定である。
ロシア人は非常に親日的で、国民の75%が日本が好きと答える。(日本人のロシアが好きの割合は30%)
日本人はロシア人を怖がってばかりいないで、ロシア人をもっと理解する事によって仲良くしたら、お互いの国にとって良い事だらけなのではないだろうか。


現在原発を止めて燃料費に苦慮している日本に、ロシアは割安なガスを売り込みたがっている。
現在の日本は諸外国と較べて非常に割高な燃料(石油等)を買わされている。
大抵の国は複数の国から燃料を輸入しているが、日本は電力会社毎に買い入れ先が違い個別交渉になっている。
その上買い入れ対象国が一国だけなので、どんなに割高でも言い値で買う習慣から、何処よりも割高な燃料費を払わされる事になっている。
諸外国のように複数国から国が一括して買うことにしたら、燃料費はずっと割安になるはずである。
その為にも、ロシアから燃料(ガス)を輸入するべきなのではないだろうか。
という様な内容で、安倍総理の方針(ロシアと仲良くしようとしている事)は好い事だらけと言っている感じだった。


この放送はNHK新会長の意向が、もろに出された企画だったのではないだろうか。
確かに日本は現在諸外国と較べて非常に割高な石油を買わされているそうであるし、直ぐとなりの国から輸入した方が、輸送費も最少で済む筈だから、ロシアから燃料を輸入する方がずっと合理的である。
その上ロシアは日本に売り込みたがっているのだから。


私にはこの放送が言っている事はとても正論であると思われた。
これが出来なかったら独立国とは言えないだろうと思われるし・・・・・
しかし、「日本にこういう事を始められたら既得権益が損なわれる」と、宗主国アメリカは烈火のごとく怒るだろうなとも思った。


安倍総理は中国と遣り合いたいだけだとしても、安倍総理を操っている知恵者達は暴走する安倍総理を使って、アメリカからもう少し自由になろうとしているのかも知れないとも思われる。


しかし、安倍総理の暴走を止められない宗主国ではないだろうから、安倍総理の命運はソチオリンピック頃で終わるのかも知れない。
だが、いっそ日本が中国と戦端を開くまで暴走させて後一挙に叩こうと、アメリカに安倍政権の暴走を傍観するという恐ろしい選択をされたら、日本人は再び悲惨な敗戦に会わされることになるかもしれない。


アメリカとの関係を壊さないまま、ロシアと国交を回復して安い燃料を買う道は創れないものなのだろうか?

(『Dendrodium』2014年2月1日)


開いた口が塞がらないとはこのことであって、孫崎享に騙された「リベラル」たちは、佐村河内守に騙された「クラヲタ」よりずっと始末に負えないと思ってしまう。

そもそも日本とロシアとの国交など、鳩山一郎政権時代(ソ連時代)の1956年に回復されている*1。安倍政権はロシアとの領土問題の交渉を水面下でずいぶん進めているようだが、おそらく四島を面積で半分に割るとか、そういった類のことをやろうとしているのではないか。

安倍晋三がしきりにロシアに接近したがるのは、ブログ主の書く通り「中国と遣り合いたい」からであって、その部分だけは合っているが、NHKの当該番組(私は見ていない)で、「ロシアとの関係改善は良いことずくめ」と言っていたというのが本当であるなら、安倍晋三があからさまに持っている「中国封じ込め」構想の問題を指摘しなかったのであろう。もしその通りなら、この点においてこそ「NHK新会長の意向が、もろに出された企画だった」といえるのではないか。

明治の元勲・山県有朋よろしく、中国と対抗するための対露接近を図る安倍晋三がやろうとしていることは、「危険な火遊び」そのものであって、それに対する批判的視座を持たないようでは、公共放送のあるべき姿から著しく逸脱しているというほかない。

アメリカについて言えば、日本と中国に戦争を起こされた日には、アメリカ経済の受ける打撃の大きさは計り知れない。だからオバマは中国(や韓国)を挑発する安倍晋三に苛立ちを隠せないのである。

安倍総理の暴走を止められない宗主国ではない」などと言うに至っては、孫崎の「トンデモ本」の読み過ぎ以外の何物でもない。

アメリカに安倍政権を打倒する力などない。そのことが今後はっきり示されるだろう。今日投開票の東京都知事選は舛添の圧勝で決まりだし、安倍晋三と思想がほぼ同じ田母神俊雄は、供託金没収点を超えるかどうかが注目されるくらいではあるが、それにもかかわらず安倍内閣の支持率は3月末まで高止まりで推移するだろう。第1次安倍内閣時代にも、東京都知事選で石原慎太郎が圧勝すると、その後1か月半ほどは、内閣支持率は高止まりしていた。

そして図に乗った安倍晋三の暴走に、オバマ政権が苛立ちを見せる事態は、今後も再三繰り返されるだろう。しかしそれにもかかわらず、NHKの「アベさま礼賛放送」などに助けられて、安倍内閣がピンチを迎えることは当面ない。波乱があるとすれば消費税率が上がる4月以降だろうが、波乱が起きたとしてもそれは安倍政権の経済政策とその結果によるものであって、アメリカとは関係ない。

日本に中国と戦端を開かせる云々は、共和党系のネオコン政権ならあるいはそう考える可能性がゼロではないかもしれないが、再来年の大統領選挙で共和党候補が勝つことなどあり得るのだろうか。安倍晋三は次期米大統領選の有力候補とも言われる共和党上院議員、マルコ・ルビオの表敬を官邸で受けたと聞くが。

来年の話をすると鬼が笑うと言うくらいだから、再来年の話をしても仕方ないかもしれないが、2016年の大統領選は、普通に考えればヒラリー・クリントンが最有力だろう。年齢がネックだが、2016年のクリントン(ヒラリー)は1980年のレーガンと同じ年齢である。つまり、決して2期の大統領が務まらない年齢ではない。共和党は「ティーパーティー」に足を引っ張られている。素人考えだが、アメリカは当分の間民主党政権が続くのではないか。つまり、アメリカの「中国寄り」の政策は今後もしばらく続くと考えられる。クリントンオバマよりもっと「中国寄り」だから、そう遠くない将来日米関係が険悪になることさえあり得る。

しかし、だからといってアメリカが安倍政権を倒す(倒してくれる)などと考えるのは、全くの妄想である。

安倍晋三はこれからも思うに任せない国際情勢にストレスを感じながら、政権を担い続けるのである。その間、集団的自衛権の政府解釈変更に始まって、憲法「改正」(最初は96条、そのあと全文「改正」)が行われる可能性が高いが、それにもかかわらず安倍政権が続く限り日本はどんどん国際的に孤立して行くだろう。安倍晋三が日本及び国際社会に与える悪影響というか害毒は、生半可なものではなかろうと私は思うが、われわれ日本に住む人間が、この危険極まりない政権を倒さなければならない。日本の有権者が安倍を拒絶しなければ、安倍政権は延々と続く。アメリカが助けてくれるはずがない。

そんな時代なのだから、いい加減日本の(というよりネットの)「リベラル」は、「小沢一郎アメリカの『虎の尾』を踏んだから民主党代表の座を追われて総理大臣になれなかった」とかいう神話(虚構)から解き放たれねばなるまい。

今日は、アメリカに愛されてきたに違いない小泉純一郎の「化けの皮」が剥がれる日でもある。陰謀論者が言うほどアメリカが日本の政局に与える影響が大きいのであれば、都知事選は細川護煕が勝つはずだ。しかし、選挙結果は絶対にそうはならない。

*1:但し、平和条約はまだ締結されていない