kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「金融安定化法案可決でもNYダウ続落」の報を知って

NYダウ大幅続落、157ドル安 3年ぶり安値、法案可決も不透明感(Nikkei Net)

15年前、アメリカ西海岸の某都市に滞在していた。西海岸は聞きしに勝る人種のるつぼで、ともに仕事をした人たちには、韓国系、ベトナム系、フィリピン系、イラン系、それに黒人などがいた。中には、国境警備隊に撃たれた経験を持つヒスパニックの人までいた。しかし、会社のディレクターは白人が占めていた。

その会社に勤めていた人の一人、若い白人男性は、「これからは投資で稼ぐ時代だ」と言っていた。翌年、彼は会社を去っていた。

その頃が、日本経済栄華の時代が終わろうとしており、アメリカの金融資本主義が栄え始めた時期だ。この頃以降、NY株式市場の株価がぐんぐん上がっていくのを見ながら、これはバブルに違いないからいつかはきっと弾けるぞ、ずっとそう思っていた。

しかし、2000年のITバブル崩壊後の安値も長くは続かなかった。2001年の「9・11テロ」ではさすがに大きく株価を下げたが、その後値を戻し、2002年のエンロン破綻も乗り切った。

アメリカで住宅バブルが始まったのはいつ頃からだろうか。ネット検索すると、2005年頃以降に書かれたアメリカの住宅バブルを懸念する記事が大量に見つかる。いつかはバブルが弾けると、誰もが思っていた。そして今回、ついにバブルが弾けるとともに、レバレッジ効果を持つデリバティブに支えられた金融システム自体が揺らいでいる。

「虚」のマネーが一国の経済を危機に陥らせる恐ろしさは、既にアジア通貨危機の時に見せつけられているが、今回、そのおそるべきパワーがついにアメリカ社会に跳ね返った。

アジア通貨危機の時、アメリカのクリントン政権は、通貨危機の責任は日本にあり、日本がアジアに資金をつぎ込んだからバブルの発生が起きたのだと日本を非難した。

今度は、アメリカのバブルは、日本がアメリカに大量に資金を流入させたせいだと非難されるのではないか。実際コイズミは円安政策をとり、トヨタなどの輸出産業を最大限優遇した。アメリカ人は、エクイティ・ローンの借り換えを行って、気が大きくなってトヨタの車を買い漁った。そのあげく、アメリカの住宅バブルが弾け、彼らは浪費どころか自己破産に追い込まれ、トヨタの業績は急落した。内需でなく外需で儲けていた企業だから当然だ。日本人や中国人が額に汗して作った工業製品は、浪費を好むアメリカ人によって消費されていたワケだ。これを収奪と呼ばずしてなんと呼ぼう。

今後の日本にとって最大の脅威は、中国や北朝鮮ではなくアメリカである。最悪アメリカに戦争を仕掛けられてはたまったものではないが、アメリカのいいなりだとアメリカの日本に対する借金をチャラにされてしまう。つまり、ジャイアンの横暴がそのまま通ってしまうことになる。今、反中反韓を唱えている右翼政治家たちが反米の度を強めることも危険だが、コイズミ以来の対米隷属路線を走るネオリベ政治家たちも国賊以外の何者でもない。

アメリカと渡り合えるしたたかな外交が、今後の日本には求められるのである。親米ウヨクも反米ウヨクも、両方要らない。無能な世襲政治家も、もちろん要らない。