菅改造内閣が発足したが、早い時点から野田佳彦の財務相留任が報じられていて、この時点で赤点がつく。榊原英資*1あたりを起用すれば面白いと素人考えで思ったが、菅直人がそんな人事をするはずもない。野田の留任はいかにも事なかれ主義の菅直人らしい判断だ。
前原誠司の外相就任も憂鬱で、かつて中国を刺激した発言を思い出す。あの頃、菅直人が前原誠司に不快感を示したことが、3年前の『論座』のインタビューに残っていて、前原はネオコン色が強いということかというインタビューの問いを菅は肯定していたが、その菅が前原を外相に据えたのである。
思えば代表選前に小沢一郎と組む構えを見せて菅直人を揺さぶった前原は、一連の政局で大きな果実を手にしたといえる。菅政権が失速した場合、幹事長も連帯責任を問われるから、次の総理大臣には岡田克也より前原誠司の方が近くなったのではないか。
経済財政相の海江田万里は、私の見るところ新自由主義者であり、今後失態を晒すと思うが、これは代表選で当初海江田を担ぐ動きのあった小沢一派の正体を晒すことにもつながる。もっとも、小沢一派の正体など、過激な新自由主義者である樽床伸二を担いだ時点でとっくに明らかではあるのだけれど。
話題の片山善博だが、改革派首長には「新自由主義者が多い」という印象を持っている中にあって、片山は、国から自治体に押しつけられた職員削減を批判するなど、評論家時代には新自由主義とは一線を画す姿勢を見せていた。しかし、政権入りしてどうなるかはわからない。
なんだかんだ言って仙谷由人主導の人事であることは、旧社会党系の人たちの入閣から明らかだ。ぶっ飛んだのは国家公安委員長を、中井ハマグリから岡崎トミ子に代えたことで、同じ党の内閣で同じポストでこんな極端な人事は滅多に見られるものではない。仙谷由人流の「文化大革命」なのだろうか。
評価できるのは、中井の退任の他には、全然実績を上げられなかった厚労相の長妻昭と、旧民社系で思いっきり大企業御用労組の意に沿ってきた経産相の直嶋正行を退任させたことくらいだろうか。長妻昭は、厚労相時代の1年の不首尾で、次期総理レースから大幅に後退した。私は、以前から長妻の新自由主義色を懸念していたので、馬脚を現したのかな、という程度の印象だ。