kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

政治家の質の低下は小選挙区制の弊害だ

http://www.asahi.com/politics/update/1201/TKY201012010377.html

「ヤジ」中井氏と「携帯音」逢沢氏に懲罰動議応酬

2010年12月1日21時22分


 自民党みんなの党たちあがれ日本は1日、参院本会議場で11月29日に開かれた議会開設120年記念式典に臨席した秋篠宮ご夫妻にヤジを飛ばしたとして、民主党中井洽衆院予算委員長への懲罰動議衆院に提出した。これに対し、民主党は同式典で携帯電話の着信音を鳴らしたとして、自民党逢沢一郎国会対策委員長への懲罰動議衆院に提出した。

 中井氏は1日、川端達夫衆院議運委員長に「お騒がせして申し訳なかった」と伝え、自らの発言だったと認めた。記者団には「隣の人としゃべっただけ。(立っている秋篠宮ご夫妻を見て)『どうしたんだろう。座らないと大変だよね。宮様に伝えてないのかね』と申し上げた。(ヤジだと)書かれたり言われたりするいわれはない」と釈明した。

 逢沢氏は「携帯の着信を切り替えるのを怠った。式典の最中に着信音が鳴ってただちに消した。率直におわびを申し上げる」と記者団に語った。


報道を知って呆れ果てたのは私だけではないだろう。まるで「不敬罪」だと言わんばかりに中井洽懲罰動議を出した自民・みんな・たちあがれの右翼三政党は論外だし、携帯電話の着信音を理由に報復する民主党も同レベルだ。

それにしても思うのは、2005年の郵政総選挙における自民党圧勝と、2009年の政権交代選挙における民主党圧勝で、質の低い議員が大量に当選して、それ以前から低かった国会議員のレベルがますます低くなったことだ。実力のない政治家だからこそ、大ボスの顔色をうかがう「忖度政治」しかできず、それが前内閣の政治を歪めた。現内閣はその大ボスへの敵意をバネに発足し、当初は国民の支持を得たが、しょせんはアンチ○○政権でしかなかったため、やはり何もできず、早くも支持率を暴落させている。そして、前内閣、現内閣とも実績を上げられないため、民主党自体が支持を失った。つまり、親小沢だろうが反小沢だろうが民主党ではダメだ、と多くの国民が思い始めている。


だが、それなら自民党はどうか。

例の、朝日新聞の伊藤裕香子が今朝の紙面に書いているところによると、自民党税制調査会は法人減税について、政府税調が法人税減税と引き替えに企業向けの優遇税制見直しを検討しているのに反対して、無駄の削減による財源確保を主張し、環境税にも慎重な対応を求めるのだという。

当然、これでは大きな税収減になる。自民党は、財政赤字の増大を全く顧慮していない。自民党案の行き着く先が社会保障の削減になることはいうまでもない。

民主党新自由主義色を強めてきたが、やはり本家本元の自民党新自由主義は、民主党よりさらに過激だ。

要するに、民主党もダメだが、自民党はもっとダメなのである。

小選挙区制を導入した結果、日本の政治は本当にダメになった。


ところで、民主党参議院選挙制度改正案を朝日新聞が報じている。
http://www.asahi.com/politics/update/1202/TKY201012010520.html

参院選11ブロック案 民主検討、一票の格差1.19倍

2010年12月2日5時30分


 7月の参院選で最大5倍の「一票の格差」を違憲とした先月の東京高裁判決を受け、民主党が格差を1.2倍以内に抑える参院の抜本改革案の検討を始めたことがわかった。比例代表を廃止し、選挙区も都道府県ごとに代表を選出する制度を改め、衆院比例と同じ全国11ブロックに分ける内容だ。民主党は2013年参院選での新制度導入を目指し、来春にも各党と協議に入りたい考えだ。

 抜本改革案は1日の民主党参院議員総会で示された。民主党参院選で掲げた「定数40程度の削減」を反映させて総定数を現行の242から200に設定。「一票の格差」ができるだけ生じないように11ブロック別に定数を6〜32で割り振り、得票が多い候補者から当選する仕組みだ。7月の参院選の当日有権者数をもとに、議員1人あたりの有権者数が最も少ない東北ブロックを1倍として試算すると、一票の格差は1.038〜1.191倍に収まり、一票の格差が格段に是正される。党内外に異論もあり、実現は簡単ではないが、今後の議論のたたき台となりそうだ。

 この改革案は比例代表制と同様に「死票」が少なく、民主党内には、比例代表廃止に反対する公明、共産、社民各党などの理解を得やすいとの見方がある。選挙制度改革に前向きな西岡武夫参院議長もブロック制導入に言及している。

 一方、少数政党には有利とされ、与党が単独過半数を得ることは難しく、衆参で多数派が異なり合意形成が困難な「ねじれ国会」が常態化する可能性が高い。選挙区が大幅に広がるため、選挙や日常の政治活動の経費が増えることも避けられない。

 さらに、一人も参院議員を送り出せない県が出てくる可能性もある。定数6の四国は3年ごとの参院選の改選数は3にとどまるため、少なくとも一つの県は一人も当選させることができない。有権者の少ない県の選出議員から異論が出るのは必至で、今後の調整課題となりそうだ。

(以下略)


「ふーん」と思ったのは、これまで民主党選挙制度改革というと、小選挙区志向ばかりだったのが、地方の県で実質的に小選挙区の多い参院選をブロック制に改める案を出してきたことだ。

最大の問題点は、定数を大幅に削減することであって、朝日の記事にある、

定数6の四国は3年ごとの参院選の改選数は3にとどまるため、少なくとも一つの県は一人も当選させることができない。

という問題点は、総定数をそのままにして四国の定数を8にすれば良いのではないかと思う。それでも多少四国の一票が重くなるが、四国のみならず中国、九州、東北など地方の票は都市部より少し重い程度でも良いのではないか。東京一極集中も現在の日本では大きな問題になっているからだ。

それにしても、小沢一郎菅直人をはじめとして、過激な小選挙区制論者が多かった民主党からこんな案が出てきたのは、今年の参院選において、1人区で大敗したからではないかと勘繰るのは私だけか。自民党にせよ、3年前の参院選で同じ目に遭っているから、存外ブロック制に強い反対は出ないかもしれない。

私としては、日本全国を一区とした大選挙区制にすべきだと思うけれども。