kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

原発事故の影響は今後じわじわ出てくる

テレビの解説で、1時間あたりの放射線量と人間が1年で浴びる放射線量を意図的に混同していることには本当に閉口する。今晩も、NHKの見栄えの良い女性アナウンサーがこの手の解説をしゃべらされていたが、視聴者を騙す宣伝に利用されている女性アナウンサーが気の毒だった。いうまでもなく、もし同じ放射線量を1年間を通して浴びるとしたら、1時間あたりの線量を365×24倍、すなわち8760倍して計算しなければならない。8760だと計算が面倒なので、ざっと見積もるには1万倍すればよい。

とはいえ、ふだんの数倍に過ぎない東京なんかの放射線量などたかが知れているのは当然だ。東京で外出を控える必要などない。スーパーでわれ先にと食料品を買い込む都民を見ると呆れる。買い込んだ食料品を被災地に送るのなら見直すが、間違ってもそうではあるまい。

現在の東電の作業も心配だけれど、確実に問題になるのはこれから、すなわち事故がおさまってからだ。今後事故がどの程度で食い止められるかはまだわからないが、現時点で既にスリーマイルより悪い事故になっている。アメリカの民間研究機関である科学国際安全保障研究所(ISIS)は、現時点で福島原発事故は「レベル6」の大事故(スリーマイルは「レベル5」)であり、今後の推移によってはチェルノブイリと同じ「レベル7(深刻な事故)」になる可能性もあるとしている。朝日新聞の竹内敬二編集委員も、15日付夕刊(東京本社発行最終版)1面に掲載された記事「最悪の事態に備えを」で、

今後、1986年の旧ソ連チェルノブイリ原発事故と比較して語られることになる。

と書いている。


今後、福島原発の近辺に人が住めなくなる*1ばかりか、福島県や近県の農業や漁業に大ダメージを与える。今日明日の寒波で強い西風が吹き、大気中の放射性物質の濃度は下がるだろうが、海水には影響を与えるだろう。今後福島県産や近県の農産物や海産物は決定的なダメージを受ける。漁業に従事する人自体が激減するだろうが、農業へのダメージも大きい。東日本産の農産物や海産物は、今後常に含まれる放射性物質の濃度が問われることになる。セシウムヨウ素などの放射性物質食物連鎖によって濃縮されていくからである。

今後は、「東日本産」の農産物や海産物は市場で売れなくなり、産地が西であればあるほど珍重されるようになるはずだ*2。長い間東京一極集中が進んできた日本経済も、今回の震災と原発事故で劇的に流れが変わる。今後は東日本が衰退して西日本が勃興する。この変化は絶対に避けられない。

大震災は天災だし、西日本も東南海地震や南海地震の脅威を抱えるが、原発事故は人災だ。私は何も現場で大きなリスクを背負いながら必死に作業をされている方々の責任を問うているのではない。主に自民党に大きな責任があるこれまでの国策や、国の方針に抗しきれなかったであろうとは思うけれども、本当の意味で万全な安全対策をとったとは到底言えない電力会社の責任を問うている。

与謝野馨のごとき大馬鹿者は、この期に及んで今後も原発建設を推進したいかのような発言をしていたが、日本国民がそれを許さないだろう。なにしろ、チェルノブイリに次ぐ世界ワースト2位の原発事故である。今後その悪影響はどんどん出てくる。東北の民、そして東日本の民がこれ以上の原発建設を許すはずがない。そして西日本はといえば、広島、長崎で原子爆弾を被弾した歴史がある。

今後、日本政府の政策は「脱原発」へと舵を切らざるを得ない。

*1:つまり、事故を起こした福島第一原発のみならず、福島第二原発も運転が再開される可能性はない。

*2:さらに言うと、国産品より輸入品の方がありがたがられるようになる。