東京株式市場で、東京電力の株が暴落している。世界の原発史上に汚点を残したあれだけの大事故を起こし、枝野官房長官に「免責の可能性はない」と切り捨てられては、東電がこのまま存続できるかどうかも疑わしい。
私は、東電が原発事故を起こした当初から、「これで東電は国有化に追い込まれるのではないか」と予想していたが、ついに政府から東電国有化に関するコメントが出てきた。
http://jp.ibtimes.com/articles/16777/20110329/17940.htm
東京電力、国有化案も浮上-巨額損失の見通しで
福島第一原子力発電所を保有する東京電力を、国有化する案が浮上しているという。玄葉光一郎国家戦略担当相は29日、「東電の在り方はさまざまな議論が当然あり得るだろう」と述べ、国有化も選択肢の一つになりうるとの考えを示した。
ロイター通信などによると、東京電力は原子力発電所の事態収拾や近隣住民・企業などへの補償金支払いによって巨額の損失を被る見通し。金額は現時点では定かではないが、賠償金だけで1兆円を超えるとの見方がある。また、原発を廃炉するために数千億円かかるとも報じられている。
東京電力だけでは支払いの限界を超える可能性が高く、政府が一部を負担する方針だ。
ただ枝野幸男官房長官は同日、東電の国有化については現時点で検討していないと否定していた。
東京電力の株価は2日連続のストップ安となった。東京株式市場での29日の取引で、東電株価は前日比130円安の一株566円となり、1964年4月以来、約47年ぶりの低水準で引けた。また時価総額は1兆円を割り込み、約9095億円となった。
私は、東電の国有化は当然あり得る話だし、それどころか他の9つの電力会社も現在のまま存続することは難しく、戦時体制がなぜか戦後65年経った現在までずっと温存されていた電力会社のあり方に、ついにメスが入るというかメスを入れざるを得ない時期が来たのではないかと思っている。
話は飛ぶが、それにしても各電力会社の原発の立地はひどいなあと改めて思う。東電は今回事故を起こした津波の巣の福島と、4年前に直下型の大地震に見舞われた活断層の真上に立てられた新潟の柏崎刈羽原発。いずれも関東地方の圏外にある。東電だけではない。関西電力は、やはり1948年に大きな直下型地震に見舞われ、それ以外にも何度も大地震が起きた歴史を持つ福井に多くの原発を建て、中部電力は、よりにもよって東海地震で甚大な被害を受けると予想されている浜岡原発を持つ。中国電力は、災害の少ない広島や岡山になぜか原発を作ろうとせず、災害の多い日本海側の島根に原発を建て、やはり広島県や岡山県ではなく山口県の上関に原発を建設しようとしていた*1。四国電力も松山や高松にではなく、2001年の芸予地震の震源に近いことからもわかるように危険な愛媛県伊方に原発を建てた。
今回の福島原発事故を受けて、それぞれの原発のある地元の人は声を大にして叫ぶべきだろう。現在運転中の原発はすべて直ちに運転を停止し、東京電力の原発は東京に、関西電力の原発は大阪に、中部電力の原発は名古屋に、中国電力の原発は広島か岡山に、四国電力の原発は松山か高松に建てろと。