kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

なかなか止まらぬ「原発推進」と簡単に止まる小沢一郎の「倒閣運動」

私は原発にはずっと否定的だったが、それは主に放射性廃棄物と被曝労働に関する問題意識が中心で、今回の東京電力原発事故のような重大事故に関しては、チェルノブイリがあったにもかかわらず深く考えてこなかったのは事実だ。つまり、私自身も「原発安全神話」を知らず知らず受け入れていたことになる。

否定派でさえそうなのだから、肯定派ないし推進派になるといまだに夢から覚めることができないのかもしれない。

昨日、菅首相が、昨年政府が定めた「エネルギー基本政策」を白紙に戻すと表明した。これは、2030年までに原発を14基以上増やし、原発が全電力に占める比率を50%、再生可能エネルギーが占める比率を20%にすることを目指したもので、定めた時には既に菅直人は首相だったから、路線の転換を明言したことになる。

菅直人は既に「エネルギー基本政策」を白紙に戻すことを考えていると前から言っていたから、全く驚くに値しないニュースなのだが、これだけでもテレビが大騒ぎしていた。惰性で動いてきた政策を変えることは、東電原発事故のような重大事故が起きてからさえ、かくも大変なのかとため息が出る。

一方、動き出してもいなかったものは簡単に止まってしまう。小沢一郎の「クーデター」はその最たるものだ。今朝の新聞に出ていた「週刊新潮」の広告を見ると、「『小沢一郎』クーデターの失速!」、「笛吹けど誰も踊らなかった『小沢一郎』の落日」などとある。「週刊文春」の見出しには、「小沢一郎」の名前はなく、完全に無視されている。

同じ右翼メディアでも、産経新聞小沢一郎を「総理大臣にしたい政治家ナンバーワン」と持ち上げているが、それだけだ。週刊誌ではむしろ「週刊現代」のほか、「週刊朝日」と「サンデー毎日」が小沢一郎寄りで、新聞本体の論調と全然違うが、「現代」は別として朝日と毎日の週刊誌は部数が少なく、ニッチといえる。

今朝の毎日新聞の社説「震災国会 大幅延長辞さぬ覚悟で」は、無難な主張をまとめただけであまり面白みはないが、社説の最後に付け足しのように

もちろん、野党側にも復興行政やエネルギー政策の責任を共有していく自覚が求められる。ましてや民主党が「菅降ろし」の内紛にかまけている状況ではないことも改めて指摘したい。

と書かれている。統一地方選後半戦の直後、小沢一郎が「倒閣」の旗を掲げて動いた結末がこれだ。

菅直人が連休明け直前の週末に「浜岡原発停止」を発表したのは、翌日の1万人デモだけではなく、小沢一郎の倒閣運動に対しても「機先を制する」狙いがあったことは明らかだと思うが、小沢一郎が自らのエネルギー政策を鮮明に打ち出さずに「小沢グループプラス自公」の「数の論理」だけで権力闘争をしようというKYぶりによって自滅しているだけのように見える。

小沢一郎には、倒閣運動にいそしんでいる暇があったら、原発推進勢力の動きを止めてみろと言いたい。もっとも、小沢自身が「トリウム原発」の推進派らしいから無理かな?