kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

小沢一郎と「トリウム原発」

トリウム(メモ) - Living, Loving, Thinking, Again より。

それから、小沢一郎が「トリウム原発」をプッシュしていたのか。


東電原発事故発生の1週間後に、平野貞夫が威張っていたのだった。
「日本一新運動」の原点(46)── 巨大震災と原発災害に想う (平野貞夫の「永田町漂流記」)

菅首相原子力を本当に知っているのか?


 菅首相は16日(火)夕刻、官邸を訪ねた内閣府特別顧問の笹森清元連合会長に「ボクはものすごく原子力に強いんだ」と、東工大応用物理学卒の経歴を誇るように言ったという報道があった。私はこれを聞いて、よくも言えたものだと驚き、平成19年7月の参議院通常選挙のことを思い出した。当時、私は民主党高知県連代表を務めていた。東電のプルトニュウム汚染物を高知県東洋町に埋める話があり、反対運動をやっていた。民主党高知県連は、エネルギー対策の中長期構想として、「プルトニュウムという核兵器になり、有害物質を発生させる現在のウラニュウム原発政策を順次変更すべきだ。そのため、プルトニュウムを焼却でき、かつより安全性が高い"トリウム溶融塩原子炉"(ja.wikipedia参照)の研究開発を復活すべきである」ということをまとめた。この趣旨を参議院選挙のマニフェストに入れてはどうかと、私は当時の小沢代表に進言した。小沢代表は「それは良い考えだ。私から菅代表代行鳩山幹事長にいうと上から命令する感じになるので、君から二人によく説明して、是非マニフェストにいれるようにして欲しい」と応じてくれた。

 早速、菅代表代行に会って、小沢代表の意向を踏まえて説明したところ、実に素っ気なく、「文科系の君から原子力の話を聞いても仕方がない」という不遜な態度であった。驚いたのは「トリウム溶融塩炉による原子力発電なんか知らない」という言葉であった。この人は政治家として、ウラニュウムによる原子力発電の危険性について認識していない。これ以上、民主党内でこの説明をしても無駄だと思い、鳩山幹事長には説明することをやめた。

 東電出身の笹森氏は記者団に「(首相は)原子力について政府の中で一番知っていると思っているんじゃないか」と、皮肉交じりに語ったという。この菅首相の驕りが、12日(土)早朝の自衛隊ヘリによる福島第一原発事故現場に行くという暴挙につながり、爆発防止の現場で結果的に初動作業の邪魔をすることになる。

 同日の与野党党首会談で、「危機的状況にならない」と、菅首相が断言するのを待つかのように1号機で水素爆発が発生し、原子炉建屋が崩壊した。15日(火)早朝の東電本社での恫喝行動といい、官邸での「東電の馬鹿野郎」との怒鳴り散らし発言といい、福島第一原発をめぐる菅首相の判断ミスには際限がないのでこの程度にしておくが、この初動の遅れが、禍根となったことだけは明記しておきたい。


上記平野貞夫の記事に出てくる笹森清は先日亡くなったが、平野の記事にあるように東京電力の出身で、当然ながら原発推進勢力の一員だった。


なぜこんな記事を知ったかというと、小沢一郎が原発に慎重だった民主党の政策を「原発推進」に転換した - kojitakenの日記 を書いたあと、このエントリがネットで急速に拡散されたが、その際に小沢信者が最初に持ち出してきた反撃材料が、上記平野貞夫のブログ記事だったからだ。


なお、私がフリスキーさんのコメントをもとに構成した上記記事にある民主党原発政策転換についてコメントすると、記事に書いた2006年にはいったん政策転換は見送られたものの、やはり小沢一郎代表時代の2007年に「慎重に原発を推進」から「積極的に原発を推進」への政策転換がなされた。「慎重」から「積極的」への転換で、もとから民主党原発推進の立場だったといえばそれまでだが、小沢一郎原発推進をさらに後押ししたとはいえる。

ただ、2006年に政策転換がいったん見送られたことを突き止めると、小沢信者の当ブログ記事への批判はそこに焦点を当ててきた。民主党が2006年に政策を転換したというのは確かに誤りだったから、私はそれは認めたが、2007年の政策転換については、小沢信者と私の意見は平行線をたどったままだ。朝日新聞東京新聞の記事は、民主党は2007年に政策を転換したと認定しているが、小沢信者から見たらそれらは「マスゴミ」のヨタ記事であって考慮する価値がないとされているから、意見は永遠に平行線をたどる。


平野貞夫の記事に戻ると、あたかもトリウム原発放射性廃棄物を出さない無害なものであるかのように書かれており、それを見つけた小沢信者が鬼の首を取ったように騒いだわけだが、トリウム原発とて核分裂を利用しているから、放射性廃棄物の問題を抱えている。第一トリウム原発は、今小沢信者の一部がさかんに攻撃している自然エネルギーよりもずっと実用化は遠い。そんなものを、「小沢一郎民主党の政策を『原発を積極的に推進』へと転換した」という主張に対する反論として飛びついた小沢信者に対しては、本当にこいつらバカだなあとしか思えなかった。


なお、このトリウム原発推進の件は、池田香代子氏が小沢信者から少し距離を置くようになるきっかけになった。
http://twitter.com/#!/ikeda_kayoko/statuses/64519355127431168

一部に今こそ小沢との待望論がありますが、小沢一郎さんは原発容認のようです。おすすめはトリウム溶融塩原子炉というものだそうです。どうする? 脱原発にして親小沢のみなさんは?http://p.tl/Ygs5
5月1日 webから


池田氏のこの微妙な立ち位置の転換は、池田氏小沢一郎民主党の「サハッ」だと吹き込んだ森永卓郎が、東電原発事故後、自らが原発推進勢力の一員であるスタンスを明確にしたことと関係があるのかどうか。


反発覚悟で森永卓郎氏提案「日本は原発のスイッチを入れよ」│NEWSポストセブン


森永いわく、

 私は原発の設計については素人なので、防護方法は専門家に考えてもらいたいが、早急に津波対策に取り組み、新潟中越沖地震の影響でまだ3基が停止している柏崎刈羽や、今回被災した女川、さらには福島第二を再起動する準備を進めるべきである。

 そうしなければ、日本経済の失速だけでなく、夏場に大規模停電が起きてエアコンが止まり、熱中症で亡くなる高齢者が続出する事態も起きかねない。日本人はリスクを取らない民族だといわれるが、今はリスクを取る時だ。

 私は今まで原発を必要悪として認めざるをえないものと考えてきた。しかし、日本経済の失速を防ぐためには、他の選択肢はない。原発の是非を考えるのは、当面の電力不足を乗り切ってからでよい。

 問題は、果たして菅首相原発のスイッチを入れる決断ができるかどうかだ。失礼ながら、このような「大反発を受けるが、国益を考えれば絶対に必要な決断」が彼にできるとは思えない。

 もし小沢一郎氏が「原発のスイッチを入れる」と宣言するなら、私は彼を全面的に支持する。

※SAPIO2011年4月20日

とのこと。