kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「小沢新党」はやはり「新自由主義政党」だ

「小沢新党」は今日発足とのこと。午後には党名も発表されるらしいが、記事を書いている時点ではまだわからないので、「小沢新党」と表記する。その新党の重点政策が報じられている。


http://www.47news.jp/CN/201207/CN2012070901002133.html

小沢新党、増税より財政出動 重点政策、脱原発・TPP反対 


 小沢一郎民主党代表が旗揚げする新党の重点政策が9日、判明した。消費税増税前に徹底した行財政改革を実施、財政出動による公共事業投資を積極的に進め5年以内のデフレ脱却を実現するのが柱だ。将来的な「原発ゼロ」も明記し、環太平洋連携協定(TPP)反対を打ち出す。11日の設立総会で公表する。

 重点政策は冒頭で「統治機構の大改革」を掲げ、官僚主導から政治主導への転換を訴えている。消費税増税を進める野田政権の経済政策を「デフレ政策を推進している」と批判。民間投資が進んでいないとして、国債発行による公共事業投資の必要性を強調している。

2012/07/10 02:08 共同通信


これまで原発政策に関して旗幟を鮮明にしてこなかったばかりか、昨年の民主党代表選で原発推進派の海江田万里を担ぐなどの愚行に走った小沢一郎だが、ようやく正式に「脱原発」派に転向するようだ。「地下原発推進議連」の顧問を務める鳩山由紀夫が新党に加わらないので「脱原発」を打ち出す障害が少ないのかもしれないが、小沢が「イチ押し」だったと平野貞夫がうれしそうに宣伝していた「トリウム原発」推進の方針は結局取り下げるのだろうか。それを知った池田香代子氏が「小沢離れ」を起こしたみたいだけれど。「トリウム原発」の件の他にも、1991年の青森県知事選で「核燃サイクル」推進の現職当選のために剛腕をふるったことなど、小沢に釈明してもらいたいことは山ほどあるけれど、とりあえず「脱原発」の姿勢を鮮明にするらしいことだけは評価しておこう。

しかし、「消費税増税前に徹底した行財政改革を実施」というのは全くいただけない。これは典型的な新自由主義の政策だ。結局「官僚ガー」が「小沢新党」の合言葉になるのだろうが、官僚叩きは典型的な新自由主義のドグマであることを指摘しておきたい。小沢一郎は "Occupy Wall Street" を「霞が関を包囲せよ」と言い換える人間だ。経団連責任追及に向けられるべき批判を「官僚批判」にすり替えるのが小沢の常套手段だ。「小沢新党」は、「『行財政改革』を実施したあとに『消費税を増税する』」ということだろうが、分離課税だらけの所得税制の見直しや、そこまで行かずとも証券優遇税制の延長打ち切り、あるいは所得税の累進制の強化など、再分配につながる政策に触れる気配は毛ほどもない。これらの政策を「小沢新党」が唱える可能性はほとんどあるまい。「脱原発」といい、「みんなの党」と共通する政策といえるだろう。

ただ一点「みんなの党」と異なるのが「TPP反対」だが、これも従来小沢一郎が旗幟を鮮明にしてこなかった政策だ。

もっとも、小沢一郎は「政策はしょせん大道具、小道具。権力を持たないと何の意味がない」と放言したらしいから*1、「小沢新党」の政策についてあれこれ言うのは野暮な話かもしれないけれど。

*1:朝日新聞」2011年8月25日付