kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

原発推進派の稲盛和夫が「日本未来の党」嘉田由紀子の「びわこ宣言」に賛同

稲盛和夫の名前が出た時点で、新党の糸を引いているのが小沢一郎であることは誰の目にも明らかだろう。

http://www.asahi.com/politics/update/1127/OSK201211270043.html

嘉田知事新党は「日本未来の党」 卒原発掲げ結成を表明

 滋賀県嘉田由紀子知事(62)は27日午後3時過ぎから大津市内のホテルで記者会見し、新党「日本(にっぽん)未来の党」を結成する、と表明した。原発を段階的に削減する「卒原発」など六つの主要政策を掲げ、「未来をつくる政治の結集軸」を目指すとした。

 嘉田氏は知事のまま代表に就く。任意団体としてスタートし、政党を含む幅広い層に賛同者を募る。代表代行には脱原発を訴える環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長が就任する。

 「卒原発」以外の政策の柱は、「活女性、子ども」誰もが居場所のある社会を実現▽「守暮らし」生活に対する不安を取り除く▽「脱増税」消費増税の前に、徹底してムダを削除▽「脱官僚」国民・地域の立場に立った行政・司法に改める▽「誇外交」食品の安全、医療制度を守り、品格ある外交を展開、とした。

 嘉田氏は「びわこ宣言」も発表。東日本大震災後初の国政選挙であるにもかかわらず、原発のない社会に向けての議論は不透明なままだ、と指摘。「自民党はこれまで原発安全神話をつくり、事故への備えを怠り福島事故に対する反省は一切なく、原発推進ともとれるマニフェストを発表した」と批判した。

 そのうえで「多数の原発が集中立地する若狭湾福井県)に近い滋賀県、琵琶湖をあずかる知事として、国政にメッセージを出さないことは、これまで琵琶湖を守ってきた先人に対しても、子や孫に対しても申し訳が立たない。国民の信頼を取り戻し、国民が希望を持つことができる、未来への選択肢となる新しい政治の軸を立てる」と決意を表明し、賛同を呼びかけた。

 びわこ宣言の賛同者には京セラ名誉会長の稲盛和夫、音楽家坂本龍一氏、俳優の菅原文太氏、ジャーナリストの鳥越俊太郎氏、脳科学者の茂木健一郎氏が名前を連ねた。

朝日新聞デジタル 2012年11月27日16時19分)


ところが、稲盛和夫はつい先月こんな発言をしていたのだ。

日本航空・稲盛名誉会長「原子力を使っていかなければならないと、訴えていくべき」

日本航空・稲盛名誉会長「原子力を使っていかなければならないと、訴えていくべき」

2012年10月24日 01:55


会見冒頭、「勝ち目のない会長就任だったが、皆様のご協力、社員の頑張りで9月19日に日本航空は再上場することができた。改めて御礼申し上げたい。」と、感謝の言葉を述べ、債権放棄した金融機関や、上場廃止で株券が紙切れになった株主への配慮を見せた。

業績V字回復の理由として、
1、自身は無給で頑張る姿を見せ、社員の頑張りを引き出した。
2、日本航空の再生には「大義」があることを全社員に浸透させた。
3、全社員の幸福を追求することが企業の理念だと繰り返し訴えた。
4、官僚体質を変えるため、教育を徹底した。
5、部門別採算制度を取り入れた。
の5点を挙げ、それ以上に大切だったのは、会社に誇りを持ち、自分の会社を少しでも良くしようと思わせる意識改革であったと、この2年半を総括した。

会見が「日本航空の復活・日本経済の再生」というテーマだったので、「日本政府は2030年代に原発稼動ゼロという方針を打ち出しておりますが、原発についてのお考えをお聞かせください。」と質問したところ、

「現在の日本の高度な文明社会を維持していこう、さらに発展させていこうと思えば、原子力発電というエネルギーは必要だろうと思っている。原発ゼロという希望はあっても、それは難しいのではないかと思っている。

不幸なことに日本の原子力政策は、実は「鬼子」のような育ち方をしてきたと思っております。つまり、大変危険なものであるだけではなくて、発電後に出る高濃度の核廃棄物をどう処分するのか、なんの解決がついていません。現在、青森県六ヶ所村にためたまま、(使用済み核燃料の)処理方法も未解決、それを国民に知らせないままに、原子力政策をどんどん進めてきた。

それが、大変大きな問題だった、全てのものを明らかに国民に知らして、「実はこういう危険もあり、こういう問題も未解決のままなんだけど、どうしてもエネルギーが必要なので必要悪として使って行きたい」と言っていれば、もっと正常な育ち方をしたのではと思っています。

しかし、今からでも遅くないから、赤裸々に全部国民に知らせながら、なんとか原子力を使っていかなければならないという事を訴えていくべきではなかろうと、私は思っています。」

との回答。

別の記者からもエネルギー政策について質問された際には

「なんとか原発なしで高度な文明社会を維持していければいいのですが、現在の科学技術では不可能だと思っています。実は私は太陽光発電を日本で最も先駆けてやってきた技術屋でありまして、現在日本で一番生産量も多く、設置もしているのは京セラの太陽光発電なのですが、主エネルギーにはなり得ないと思っていまして、原発は必要悪として、どうそれをコントロールして使っていくかということに力を入れなければならないと思っています。

と、政府の2030年代に原発稼動ゼロという政策に対し、否定的な考えを明らかにした。

会見終盤では、今までにあった失敗について質問され、

「失敗ではありませんが、京都サンガ(京セラがスポンサーのJ2サッカーチーム)だけは上手く行かないのが頭痛のタネ。現在2位なのであと4試合なんとか頑張ってJ1に上がって欲しい」 と、はにかむ一面も見せた。


今回の新党の結成に、稲盛と親しい小沢一郎が稲盛を動かして影響力を行使してもらったことは明らかだ。稲盛と小沢の会話において、「脱原発」はどんな扱いだったのだろうと想像したくなる。小沢一郎が「脱原発」の理念を懇々と説き、稲盛を説得したのではよもやあるまい。「政策なんて大道具、小道具」とかなんとか言ってたのではあるまいか。

それにしても、脱原発どころか、民主党政府の「2030年代の原発稼働ゼロ」さえ否定していた人間が、脱原発を掲げる政党の発足を取り持ち、なんちゃら宣言の賛同者にも名を連ねるとは、「なんちゃって脱原発政党」の面目躍如といったところだろう。

ところで、宣言でもっともいただけないのは、「徹底してムダを削除」というくだりだ。消費税はともかく(私も現時点での消費税増税には反対だが)、「反緊縮」の財政政策をとらねばならない時に「ムダの削減」とか言っているようでは、またも社民主義からはほど遠い政党ができるんだな、としか思えない。「ムダの削減」を掲げる限り、必ず必要な政府支出まで削られてしまうことは火を見るよりも明らかだからだ。