kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

橋下徹の「ほめ殺し」

http://mainichi.jp/select/news/20120710k0000e010189000c.html

橋下市長:一転して野田政権評価 政界再編も期待


 大阪市橋下徹市長は10日、消費増税法案を巡る野田佳彦首相の政権運営について「当初言っていたことを着実に進めている。民主党の支持率は急回復すると思う」と述べ、これまでの政権批判から一転、評価する姿勢を示した。「自民党民主党の中で、考え方が近い人で再編することを期待する」とも述べており、将来の政界再編を見据え、自民や民主との連携も視野に入れた発言とみられる。

 橋下市長はこれまで「民主党マニフェストで『4年間増税しない』と言って政権交代した。国民は一体何を信じて投票するのか」と野田政権を批判していた。しかし、この日は「野田首相はすごい。税を上げて、社会保障の議論もしていく。確実に『決める政治』をしている」と手放しで評価。さらに「首相の考えに近い自民党の中堅、若手がいっぱいいる。このまま進めば新しいグループができて、ものすごい支持率が上がると思う」と政界再編を期待した。一方、新党結成を進めている小沢一郎氏については「小沢先生のお考えだから、いろんな考え方で、そういう行動を取られたと思う」と評価を避けた。【原田啓之】

毎日新聞 2012年07月10日 12時10分(最終更新 07月10日 13時26分)


このニュースを聞いて、「野ダメ」(野田佳彦)は相好を崩し、小沢一郎は心配でいても立ってもいられなくなったのではないかと推測するが、「野ダメ」はぬか喜びに終わり、小沢は後日ほっと胸をなで下ろすことになるだろう。

この記事につけられた「はてなブックマーク*1のコメントの中で、正鵠を射ていると直感したのが下記だ。

myogab 民主自民の増税既得権 VS 維新改革勢力という対立構造を演出したいだけだよね。失墜した民主のイメージと自民とを同一に見せる事は、第三勢力に優位に働くからね。新聞も連立政権を問う世論調査をしたばかりだし…。 2012/07/10


このコメントを読んで、なるほど、橋下がやっているのは、1987年に高松の暴力団系右翼「皇民党」が当時次期総理大臣候補だった竹下登(のち総理大臣)に対して行った「ほめ殺し」と同じことなのかもしれないな、と思った。そして、田原総一朗だかが言ったという、「橋下が本当にやりたいのは、自民党を分裂させてその片方と組むことだ」という言葉を思い出した。

もし現状のまま、「大阪維新の怪」の国政進出も「政界再編」もないまま、解散・総選挙が行われたとしたら、自民党小泉政権時代の「郵政選挙」並みに圧勝する。そう私は考えている。小沢一郎が言うような「民主も自民も勝てない」事態は、「第三極」の強大化を前提にしない限りあり得ない。民心は既に民主党から離反しているから、橋下のような「第三勢力」が狙うのは自民党の分裂だ。そんなのは当然のことだ。

毎日新聞の記事には、

自民党民主党の中で、考え方が近い人で再編することを期待する」とも述べており、将来の政界再編を見据え、自民や民主との連携も視野に入れた発言とみられる。

と書かれているが、これを橋下の「民自大連立待望論」と読むべきではない。橋下は暗に「俺は、自民党民主党の執行部と意見の合わない人たちと組むぞ」と言っているのだ。記事が書く「自民や民主との連携も視野に入れた発言」とは、「野ダメ」や谷垣禎一との連携ではなく、小沢一郎安倍晋三との連携(=野合)を指すと考えるべきだ。

現在の衆議院選挙制度小選挙区制中心であることを忘れてはならない。「第三勢力」のままでは政治のイニシアチブは握れない。だからこそ小沢一郎も「オリーブの木」構想を提言している。小沢の構想の中には「大阪維新の怪」も含まれているが、今のところ安倍晋三一派は含まれていない。

しかし、「自民・民主大連立」なんかができたら、安倍晋三にとっては「飯の食い上げ」だ。大連立で冷や飯を食わされるくらいなら橋下と連携しよう、そう安倍晋三も考えるのではないか。

そうなると、いわゆる「増税派」対「上げ潮派兼極右」の新しい保守二大政党制が生まれるかもしれない。

多くの人が期待する「政界のガラガラポン」だが、上記のようなろくでもないものが出てくるという予想しか私にはできないのである。

「小沢新党」は、結局上記「上げ潮派兼極右」(=橋下・みんなの党安倍晋三一味の野合)の新しい「保守第二極」の露払いの役目だけを担って、小沢一郎の政治生命が尽きると同時に雲散霧消するのではないか。そんな気がする。