九州電力の「やらせメール」の全文が、日経のサイトに出ていた。
九州電力「やらせメール」依頼の全文
2011/7/7 1:12
九州電力原子力発電本部の課長級社員が関係会社の社員に送ったメールは以下の通り。
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【ご依頼】国主催の佐賀県民向け説明会へのネット参加について 2011年6月22日14時16分26秒
協力会社本店 各位
平素よりお世話になっております。メール投げ込みにて失礼を致します。標記については、報道等により今週末に開催される旨、既にご承知のことと存じます。
●件名:国主催による佐賀県民向け説明会(原子力発電所の安全性)
●日時:平成23年6月26日(日)午前(10時〜11時30分の予定)
●内容:説明会の方式は国が調整中。混乱を避けるため、県民、4、5人が経産省原子力安全・保安院と資源エネルギー庁の担当者から説明を受け、疑問点や不安に思う点などを質疑する予定。
●配信:(1)やり取りはケーブルテレビとインターネットで生中継され、視聴者からの質問もファクスや電子メールで同時に受付。(2)アクセス可能なwebsiteアドレスは、現時点で未公開ですが、佐賀県庁HPや経産省HPに掲載予定。あるいは、Ustreamにて“genkai”あるいは“玄海”等で検索することによりアクセス可能。(3)小職にて、継続してサーベイし、判明次第、追って追伸予定。
●その他:(アドレス略)
本件については、我々のみならず協力会社におかれましても、極めて重大な関心事であることから、万難を排してその対応に当たることが重要と考えております。
つきましては、各位他関係者に対して、説明会開催についてご周知いただくとともに、可能な範囲で、当日ネット参加へのご協力※をご依頼いただきますよう、御願い致します。
※説明会ライブ配信websiteにアクセスの上、説明会の進行に応じて、発電再開容認の一国民の立場から、真摯に、かつ県民の共感を得うるような意見や質問を発信。
なお、会社のPCでは処理能力が低いこと等から、是非、ご自宅等のPCからのアクセスを御願い致します。
また、ネット参加に当たっては、接続後アカウントの取得等操作が必要になりますので、ご承知置きください。
以上
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続報【ご依頼】国主催の佐賀県民向け説明会へのネット参加について 2011年6月24日9時26分9秒
協力会社本店 各位
平素よりお世話になっております。先にご依頼申し上げました標記については、以下URLにより詳細確認可能ですので、よろしく御願い致します。なお、ご意見はメールあるいはファクシミリでの受付されるとのことであり、接続後のアカウント取得等操作は不要なようです。
以下URLにアクセスください。
佐賀県(アドレス略)
経産省(アドレス略)
以上
もちろん、「課長級社員」が独断でこんなメールを送るはずもない。業務命令で送ったものであることは誰にでもわかる。
昨日は、共産党の笠井亮衆院議員がこの件で国会で質問したが、今朝の朝日新聞1面トップ記事を見ると、この件を「6日わかった」などと書いている。実際には、「しんぶん赤旗」が2日付で報じていたし、5年前の「安倍晋三、統一協会に祝電」の件と同様、赤旗が報じる前にネットでは知られた話だったに違いない。しんぶん赤旗の記事は下記。
九電が“やらせ”メール/玄海原発再稼働求める投稿/関係会社に依頼/国主催の説明会
2011年7月2日(土)「しんぶん赤旗」
九電が“やらせ”メール
玄海原発再稼働求める投稿
関係会社に依頼
国主催の説明会
九州電力玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)2、3号機の運転再開に向け、経済産業省が主催した佐賀県民への「説明番組」で、九電が関係会社の社員らに運転再開を支持する文言の電子メールを番組に投稿するよう組織していたことが、1日までに関係者の証言や内部文書などでわかりました。県民の原発への疑問や不安に答える番組で、九電が“やらせ”メールを組織することは県民の世論をゆがめることになり、重大な問題です。
地元ケーブルテレビやインターネットで視聴できる説明番組「しっかり聞きたい、玄海原発」は6月26日に生中継で行われました。番組は、同省原子力安全・保安院や資源エネルギー庁の職員4人と大学教授が、国側が選んだ県民代表7人に安全性の説明や疑問に回答するというもの。
関係者の証言などによると、番組前の23、24日に九電の関係会社の社内ミーティングや社内文書で、「九州電力から、このようなお願いが来ている」として、「(原発の)運転再開に賛成する電子メールを放送時間中に番組に送れ」と指示が出されました。
その際、関係会社の管理職は「自宅からインターネットに接続して、番組の流れにあわせて運転再開を容認するメールを送るように」と方法を説明。文言について「一国民の立場で意見や質問を書くように」と、求めたといいます。
26日の放送では、放送中に届いた視聴者からの11通の電子メールやファクスが読み上げられました。その中では、「福島の事故の収束見通しがつかない中で、運転再開すべきでない」とする反対意見がある一方、「原発廃止で産業が海外流出し、子どもたちがどうなるのか、次の世代のことが心配」などといった容認論も目立ちました。
資源エネルギー庁によると、同番組にはメールが473件、ファクスが116件よせられたといいます。九電の関係会社は福岡など九州各地にあります。ファクスでは、佐賀県外からの投稿が発覚してしまうため、電子メールでの投稿を呼びかけたものとみられます。
本紙の取材にたいし九州電力は「そのようなことを関係会社に依頼するようなことは一切しておりません」としています。
玄海原発2、3号機は定期検査のため現在、停止中です。
許せない誘導
日本共産党の武藤明美県議の話 県民の率直な疑問に答えるべき番組が、運転再開の容認のために、九電関係者の声で誘導しようとするのはとんでもないことです。実際に番組を見た県民から不満もあがっています。この番組が県民への説明にならなかったことは明らかだと思います。
これで玄海原発の早期再稼働は消えた。昨日、菅内閣が急に「ストレステスト」を言い出したのも、この件があったからだろう。
昨日の一連の動きは大きい。これで、原発推進勢力にとっては、原発の増設はおろか「維持」することさえハードルが高くなった。バル菅がのらりくらりと逃げている間にこんなことになったと思って、民主党や自民党の原発推進勢力は怒り心頭に発しているだろう。菅直人は決して「脱原発」派とはいえないが、その政権延命のあがきが、結果的に原発推進勢力のハードルを上げている。
それにしても、また「メール事件」か。今度は「偽メール」ならぬ「やらせメール」。やらせといえば小泉純一郎の十八番で、タウンミーティングのやらせを思い出すが、5年前の「偽メール事件」がライブドア事件の攻防の局面において転機になったように、今回の原発政局においては、5月の浜岡原発停止に続いて玄海原発再開ストップが大きな転機になりそうだ。
原発推進勢力の焦りは強まる一方だろう。