放送中の『サンデーモーニング』(TBS)は、金子勝教授は出演していないものの、寺島実郎も出ていないので、大飯原発再稼働の意向を明言した「野ダメ」(野田佳彦)に対して、岸井成格(この男の場合本音はどうだか怪しいと思うが)も含めて非難の大合唱だった。
番組では、保安院(通称不安院)が関西電力の美浜原発2号機の40年超え運転を認めた件も批判されていた。そこで、関電の原発11基の運転開始日と出力を下表に示す。
運転開始日 | 出力(万kW) | |
美浜1 | 1970.11.28 | 34.0 |
美浜2 | 1972.7.25 | 50.0 |
美浜3 | 1976.12.1 | 82.6 |
大飯1 | 1979.3.27 | 117.5 |
大飯2 | 1979.12.5 | 117.5 |
大飯3 | 1991.12.8 | 118.0 |
大飯4 | 1993.2.2 | 118.0 |
高浜1 | 1974.3.29 | 82.6 |
高浜2 | 1975.11.24 | 82.6 |
高浜3 | 1985.1.17 | 87.0 |
高浜4 | 1985.6.5 | 87.0 |
周知のように、美浜原発1号機は既に「40年超」の運転を行っているが(現在はもちろん停止中)、それだけではなく、2020年までには関電の原発は4基を除いてすべて「運転開始後40年」に到達し、現在議論されている「2030年の原発依存度」に関して言えば、2025年には高浜原発の3,4号機も運転開始40年を迎えるので、2030年になっても「40年」に到達しない原発は、関電と「野ダメ」が再稼働に異様な執念を燃やす大飯3,4号機だけになる。これらにしても、大飯3号機は2031年、大飯4号機は2033年には運転開始40年を迎えるのである。
仮に、全発電量が2010年(関電の原発依存度は51%とされている)と同じ(つまり、原発が減った分を他の電源で補う)で、かつ「40年廃炉」の原則を守り、原発の新設は行わないと仮定すると、2030年の関電の原発依存度は12%程度になる。もちろん、2033年2月にはゼロになる。原発を減らした分、他の電源で補わず、全発電量を減らすと仮定しても、2030年には17%程度、2033年2月にはゼロになるのである。
これを考えると、現在いかにも「脱原発依存」の選択肢であるかのように喧伝されている「2030年の原発依存度15%」は、実は「脱原発依存」でもなんでもなく、原発の「40年超」稼働か原発の新設のいずれかを容認する、電力会社(特に関電、四電、九電など原発依存度の高い会社)の延命の企み以外のなにものでもないことを示している。後者は事実上不可能だろうから、政府と電力会社は「原発の40年超え運転」を当然の前提にしているのである。原発依存度が日本の電力会社の中でももっとも高い関電でさえ上記のような数字になることに留意されたい。
2030年の原発依存度目標は「ゼロ」以外にはあり得ない。ましてや、40年超を含むほとんどすべての原発の再稼働をもくろむ「野ダメ」政権のごときは、一刻も早く打倒しなければならない。