kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「日本未来の党」は小沢一郎一派の「生活の党」が存続政党となるから「乗っ取り」なのだ

盗っ人猛々しい小沢一郎一派、政党交付金をネコババ。「日本未来の党」を乗っ取って「生活の党」に衣替えし、嘉田由紀子と阿部知子は離党 - kojitakenの日記 の続き。今度は朝日新聞から。


http://www.asahi.com/politics/update/1227/TKY201212270750.html

未来の党名「生活の党」に 嘉田氏ら分派へ


 日本未来の党は27日、党名を「生活の党」に改め、代表を嘉田由紀子滋賀県知事から森ゆうこ副代表(参院議員)に変更することを総務省に届け出た。一方、嘉田氏は28日、政治団体日本未来の党」を総務省に届け出る方針で、未来は結党1カ月で「分派」することになった。

 総務省への届け出に先立ち、未来は27日、国会内で両院議員総会を開き、小沢一郎氏が代表だった旧「国民の生活が第一」出身の森氏と、嘉田氏のブレーンの飯田哲也代表代行が党を分ける方針を報告。16人の出席者から異論はなく了承された。小沢氏も出席したが発言はなかったという。

 所属国会議員17人のうち15人は「生活」にとどまり、嘉田氏の「日本未来」に加わる議員は阿部知子副代表だけ。議員5人の政党要件は満たさない。一方、亀井静香氏は27日、離党届を提出した。森氏は議員総会後、記者団に「円満に合意が整った」と強調した。

朝日新聞デジタル 2012年12月27日21時25分)


続きは朝日新聞デジタルに登録していないと読めない。朝日新聞本紙(12/28)4面に「分党と分派」について解説が出ているので、以下引用する。

分党と分派

 政党が分裂するのは、二つ以上の対等の政党に分かれる「分党」と、もとの政党は存続するが一部議員が離党する「分派」がある。政党助成金などの規定では、未来は後者の分派にあたる。分党の場合、政党交付金はそれぞれの所属議員数に応じて比例配分されるが、分派の場合は離党議員に交付金は交付されない。


以下、朝日新聞記事の本文を一部引用する。上記登録なしで読める部分の直後の段落。

 党を分ける一連の協議では、嘉田氏が引き続き「日本未来」の名称を使うことになったが、存続政党となるのは「生活」になる。制度上、2013年の政党交付金8億円余り(見込み額)は生活に渡り、嘉田氏や阿部氏が国政政党を離れる形だ。

朝日新聞 2012年12月28日付4面掲載記事より)


日本未来の党に関していえば、実態は明らかに小沢一郎嘉田由紀子を担いで作った政党ではあるが、嘉田由紀子が新党結成を呼びかけ、小沢代表の「国民の生活が第一」が解党してこれに合流する形をとった。その際、小沢は「一兵卒」の扱いになり、選挙戦の論戦に出てきたのは嘉田由紀子であって、「一兵卒」の小沢はテレビの討論番組その他には出てこなかったことは誰でも知っている。

そして、選挙に惨敗したあと、小沢一派がクーデターを起こしたのである。

だから、筋論からいえば小沢一派の方が「分派」して出ていくべき話なのだ。その場合、政党交付金を受け取れるのは阿部知子側になる。

「分党」で政党交付金を比例配分する形になるかもしれないという予想は、事前になされていた。しかし、嘉田由紀子阿部知子の方が「出て行く」ことになる誰も予想しなかった。

日本未来の党の衆参議員16人(先に離党を表明した亀井静香を除く)のうち、嘉田側は阿部知子1人で、小沢側は残る15人だから、比例配分と小沢側の「総取り」を比較すれば5千万円程度の違いしかない。しかし、嘉田側が粘って年明けに決着を持ち越し、なおかつ小沢側が「分派」する形になれば、理屈の上では嘉田側が政党交付金を総取りし、小沢側の取り分はゼロになる。そういう決着を目指す行き方もあった。

「数の力」から言って負け戦必至の戦いではあったとはいえ、嘉田側は少なくとも緒戦においては嘉田・阿部の属する政党を「存続政党」にして、小沢側が出て行く形にせよと要求すべきだったと私は思うが、嘉田側がそんな主張をした形跡はない。

政治は権力闘争の積み重ねであるが、最初から戦意を持たない嘉田由紀子阿部知子は、小沢一郎にとっては赤子の手をひねるような弱っちい相手だった。これでは、環境派の政治勢力を伸張させることはできない。政治はきれいごとではないのである。

最初から戦意を持たないから、政党交付金云々以前にシンボリックな意味合いからも最悪である、嘉田由紀子阿部知子が「分派」して出て行く形で決着することになった。私はこれは嘉田由紀子阿部知子にとっては屈辱的な結果だと思うが、おそらく能天気なご両人は屈辱を屈辱とも思っていないのではないか。だから「リベラル・左派」勢力はダメなのだ。

最初に引用した、ネットで読める朝日新聞デジタルの記事に、「円満に合意が整った」という歴史修正主義者・森裕子の言葉が出ているが、「平和的な話し合い」だの「円満な合意」だのは、小沢一郎嘉田由紀子阿部知子に対して「銭ゲバをやるな」と圧力をかけ、それが成功裏に終わったという意味である。

政治勢力を拡張するためには、権力闘争は欠かせない。ところが、最初からそれをやる意志を持たない嘉田由紀子阿部知子政治団体「日本未来」には「未来」はないといえる。おそらく「みどりの風」の参院議員4人と連携したり、参院選に参入を計画している「緑の党」(今年7月結党)との合流を目指すものと思われるが、今後には全く楽観を許さない。

一方、権力闘争に勝利した「生活の党」だが、衆院7人、参院8人の計15人の政党となり、衆院では亀井静香阿部知子の離党によって、共産党に抜かれて第7党に転落した。これで、名実ともに「衆院選共産党に負けた」という枕詞を「生活の党」に使えることになった。

なお、一足お先に離党した亀井静香小沢一郎の手下たちの動きをどう見たか。小沢の提案で、未来が分党することに+安倍執行部、2人の女性起用の効果は? : 日本がアブナイ! 経由で知った産経新聞記事を紹介する。


http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121226/stt12122611350008-n1.htm

亀井静香氏、未来離党へ 対立に嫌気 嘉田、小沢両氏に解党促す


 日本未来の党亀井静香元金融相は26日、離党する意向を決め、嘉田由紀子代表に電話で伝えた。嘉田氏と、国民の生活が第一に所属していた小沢一郎氏系が人事や党運営をめぐり対立している状況に嫌気がさしたのを理由とし、事実上の解党も促したという。

 亀井氏はまた、都内で小沢氏とも会談した。関係者によると、亀井氏は小沢氏系議員らの行動を批判、「早く別れた方がよい」と促したが、小沢氏は明言を避けた。

MSN産経ニュース 2012.12.26 11:35)


この産経の記事は、亀井静香小沢一郎に対して「あんなチンピラかゴロツキみたいな手下たちとは縁を切れ」と忠告したように読める。少なくとも私はそう読んだ。亀井静香の主義主張には、特に「思想右翼」としての側面には賛成できない部分も多々あるが、信念を持って今では「一匹狼」として行動している亀井らしい発言だと思った。一方、小沢一郎は手勢が十数人になっても、それよりも少ない2人ないし飯田哲也を加えても3人を相手に「権力闘争」を展開して「勝った、勝った」と浮かれている。そのようにしか私には見えない。これが「剛腕」で鳴らした政治家の末路である。


なお、リンク先のブログ記事については、同ブログにコメント*1を寄せられた赤塚男さんの意見に、私は全面的に同感である。以下引用する。

Commented by 赤塚男 at 2012-12-27 19:07
離婚も仕方ない・・・とおっしゃるけど、ひたすら未来に(小沢に?)甘いですね。誰かも言ってる通り、今回のは「成田離婚」などではなく、祝儀目的の偽装結婚でしょう。この場合、祝儀とはもちろん票・議席交付金などであり、要するに未来の党は、まるごと詐欺目的の政党だったということですよ。せめて比例で通った議員は辞職しろ、と言うべきでは?同じ事を維新がやったら、あなたどれだけ批判しますか。マニフェスト詐欺やらアベアベ詐欺(?)どころの話じゃないわけですよ。こんなのふざけた話は見たことありません。

そして、少なくとも小沢にとって、反原発を含む一連の左派的政策など方便にすぎないということが、これであなたもお分かりになったのではないでしょうか。菅下ろしの時点で気がついて頂きたかったですが。


最近よく思うのだが、田中角栄が「数の力」を頼って「闇将軍」として君臨していた頃、配下には竹下登を筆頭に力のある政治家たちが大勢いた。その中には小沢一郎も含まれる。竹下を警戒していた田中にとって最大の痛恨事は、1985年に田中に対してクーデターを起こした中に、5歳で夭折した長男と同い年ということもあって特に目をかけていた小沢一郎がいたことだった。角栄は大酒をあおり、その結果間もなく脳梗塞で倒れて障害者となり、政治生命を失った。

2000年、時の総理大臣・小渕恵三の命を最終的に奪ったのも、自由党党首・小沢一郎との確執だった。

自らと対立した大物政治家が次々と倒れていったのを見た小沢は、自らを追い落とす可能性がある政治家たちを次々と遠ざけていった。

しかし、その最後は田中角栄と同じだったのではないか。つまり、歴史修正主義者・森裕子を筆頭とする、チンピラのような二流政治屋たちしか周囲に残らなかった。それは、小泉チルドレンの2009年総選挙でのなすすべない敗北を見て、同じ道を歩むのを恐れて民主党離党・新党結成に走った小沢派の政治屋たちが、結局小泉チルドレンと同じ結果に終わったこととも響き合う。

ここで思い出されるのは、マルクスが語ったという言葉「歴史は繰り返す。1度目は悲劇として、2度目は喜劇として」である。

さらにこの連想は、第2次内閣を発足させた安倍晋三をも思い起こさせる。今後、安倍はいかなる「喜劇」を展開するのだろうか。