kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

柔道女子選手たちの決死の訴え、谷亮子よいかに聞く

とうとう朝日新聞(2/5)の1面トップ記事になった。


http://www.asahi.com/sports/update/0204/TKY201302040273.html

柔道指導陣の一新を要求 選手側会見「誇り汚された」


 【近藤幸夫】柔道女子日本代表の園田隆二前監督(39)ら指導陣が女子選手に暴力やパワーハラスメントをした問題で、日本オリンピック委員会(JOC)に告発した15人の女子選手の代理人が4日、大阪市内で記者会見し、「ひとり前監督の責任という形で問題解決が図られることは、私たちの真意ではありません」と選手たちの思いを代弁した。指導陣の一新を含め、全日本柔道連盟全柔連)の体質改善を求めており、全柔連側も新たな対応を求められそうだ。

 辻口信良、岡村英祐両弁護士が会見に出席し、声明文を配布した。選手たちは同席しなかったが、「心身ともに傷つき、人として誇りを汚された」「決死の思いで立ち上がった」「私たちの声は封殺された」「連盟役員や強化体制陣の方針にも失望」などの思いをつづった。

 辻口弁護士によると、1月20日ごろ、1人の選手から「全柔連やJOCに訴えても聞きいれられない」との連絡があった。その後、東京都内で選手12人と面会し、暴力やパワハラの実態、要望を聞き、今回の会見を開くことにした。

 一方、全柔連上村春樹会長は、会見後に東京都内で報道陣の取材に応じ、「執行部批判があったのなら、受け止めないといけない。組織のあり方そのものも考えなくてはいけないのかもしれない」と話した。JOCが行う15人への聞き取り調査に協力する方針。5日には臨時理事会を開き、15人の訴えや園田前監督の暴力などについて報告する。また、選手が声明文で批判している全柔連の前強化委員長は、6日未明に出発予定だった欧州遠征への合流を取りやめた。

朝日新聞デジタル 2013年2月4日21時23分)


http://www.asahi.com/sports/update/0204/TKY201302040293.html

「私たちの声、内部で封殺」 女子柔道選手側の訴え全文


皆様へ

 この度、私たち15名の行動により、皆様をお騒がせする結果となっておりますこと、また2020年東京オリンピック招致活動に少なからず影響を生じさせておりますこと、先ず以(もっ)て、お詫(わ)び申し上げます。

 私たちが、JOCに対して園田前監督の暴力行為やハラスメントの被害実態を告発した経過について、述べさせていただきます。

 私たちは、これまで全日本柔道連盟全柔連)の一員として、所属先の学校や企業における指導のもと、全柔連をはじめ柔道関係者の皆様の支援を頂きながら、柔道を続けてきました。このような立場にありながら、私たちが全柔連やJOCに対して訴え出ざるを得なくなったのは、憧れであったナショナルチームの状況への失望と怒りが原因でした。

 指導の名の下に、又(また)は指導とは程遠い形で、園田前監督によって行われた暴力行為やハラスメントにより、私たちは心身ともに深く傷つきました。人としての誇りを汚されたことに対し、ある者は涙し、ある者は疲れ果て、又チームメイトが苦しむ姿を見せつけられることで、監督の存在に怯(おび)えながら試合や練習をする自分の存在に気づきました。代表選手・強化選手としての責任を果たさなければという思いと、各所属先などで培ってきた柔道精神からは大きくかけ離れた現実との間で、自問自答を繰り返し、悩み続けてきました。

 ロンドン五輪の代表選手発表に象徴されるように、互いにライバルとして切磋琢磨(せっさたくま)し励まし合ってきた選手相互間の敬意と尊厳をあえて踏みにじるような連盟役員や強化体制陣の方針にも、失望し強く憤りを感じました。

 今回の行動をとるにあたっても、大きな苦悩と恐怖がありました。私たちが訴え出ることで、お世話になった所属先や恩師、その他関係の皆様方、家族にも多大な影響が出るのではないか、今後、自分たちは柔道選手としての道を奪われてしまうのではないか、私たちが愛し人生を賭けてきた柔道そのものが大きなダメージを受け、壊れてしまうのではないかと、何度も深く悩み続けてきました。

 決死の思いで、未来の代表選手・強化選手や、未来の女子柔道のために立ち上がった後、その苦しみは更に深まりました。私たちの声は全柔連の内部では聞き入れられることなく封殺されました。その後、JOCに駆け込む形で告発するに至りましたが、学校内での体罰問題が社会問題となる中、依然、私たちの声は十分には拾い上げられることはありませんでした。一連の報道で、ようやく皆様にご理解を頂き事態が動くに至ったのです。

 このような経過を経て、前監督は責任を取って辞任されました。

 前監督による暴力行為やハラスメントは、決して許されるものではありません。私たちは、柔道をはじめとする全てのスポーツにおいて、暴力やハラスメントが入り込むことに、断固として反対します。

 しかし、一連の前監督の行為を含め、なぜ指導を受ける私たち選手が傷付き、苦悩する状況が続いたのか、なぜ指導者側に選手の声が届かなかったのか、選手、監督・コーチ、役員間でのコミュニケーションや信頼関係が決定的に崩壊していた原因と責任が問われなければならないと考えています。前強化委員会委員長をはじめとする強化体制やその他連盟の組織体制の問題点が明らかにされないまま、ひとり前監督の責任という形を以て、今回の問題解決が図られることは、決して私たちの真意ではありません。

 今後行われる調査では、私たち選手のみならず、コーチ陣の先生方の苦悩の声も丁寧に聞き取って頂きたいと思います。暴力や体罰の防止は勿論(もちろん)のこと、世界の頂点を目指す競技者にとって、またスポーツを楽しみ、愛する者にとって、苦しみや悩みの声を安心して届けられる体制や仕組み作りに活(い)かして頂けることを心から強く望んでいます。

 競技者が、安心して競技に打ち込める環境が整備されてこそ、真の意味でスポーツ精神が社会に理解され、2020年のオリンピックを開くに相応(ふさわ)しいスポーツ文化が根付いた日本になるものと信じています。

2013年(平成25年)2月4日

公益財団法人全日本柔道連盟女子ナショナルチーム国際強化選手15名

朝日新聞デジタル 2013年2月4日21時45分)


ロンドン五輪の代表選手発表」について、朝日新聞の社会面掲載記事から引用する。

昨夏のロンドン五輪の女子代表決定記者会見では、当落を争った選手が一堂に集められ、発表の瞬間の表情がテレビで生中継された。

つまり、マスメディアに迎合した全柔連に見世物にされたということだろう。選手たちは「商品化」されたともいえる。


この件で苦々しく思い出されるのは、女子柔道・園田隆二監督体罰問題に見る山口香と谷亮子の落差 - kojitakenの日記 で紹介した、谷亮子の「園田監督は人間性の素晴らしい立派な監督」云々の軽薄なコメントである。最初は園田隆二の留任、次いでは園田隆二一人をスケープゴートで済ませようとする全柔連の幕引きを選手たちは拒絶しているが、谷は最初の段階で全柔連に迎合してみせた。

谷亮子よ、後輩たちの決死の告発をいかに聞く。