kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

遅ればせながら『もしドラ』を読んだ(笑)

たまに、批判する、あるいは馬鹿にする目的で本を買うことがあるが*1、そんな本に限って全く読む気にならず放置する羽目になることが多い。下記の本もその典型例だった。



リンクを張ってプレビューを見て知ったが、この本を取り上げたブログ記事が1017件もあり、「購入: 264人 クリック: 12,900回」となっている。昨年の今頃、テレビドラマと絡めて当ダイアリーがしきりにリンクを張った下記の本とついつい比較してしまった(著者の澤地久枝さんには岩崎夏海なんかと比べるなと怒られるかもしれないが)。


密約―外務省機密漏洩事件 (岩波現代文庫)

密約―外務省機密漏洩事件 (岩波現代文庫)


放置していた『もしドラ』(と略称されるらしい)をなぜ突然読もうと思ったかというと、作者の岩崎夏海が、この小説のヒロインのモデルはAKB48峯岸みなみだと言っていたのを知ったからだ。私が峯岸みなみなる人間を初めて知ったのは、先日の「丸刈り事件」によってだった。この事件について、某所で一度つぶやいたことがあるけれども、日記で取り上げたことはなかった。同じ頃日記でしばしば取り上げたのは女子柔道・園田隆二一派のパワハラ告発問題だったが、ネットでも多く指摘されていたように、峯岸みなみ丸刈り事件も園田隆二一派と同じ「体罰」であり、厳しく批判されてしかるべきであるというのが私の意見だ。ところが、岩崎夏海体罰を肯定する発言をしていたらしいことを知ったこともあって、本を読んでみる気になったのだった。あっという間に読めてしまった。

本の内容については詳述しない。よくある野球漫画を小説化した程度のものだ。そういえば、ヒロインの「みなみ」という名前は、あだち充のかつての人気漫画『タッチ』のヒロイン、浅倉南からとったものとばかり思っていたのだった。

体罰との絡みでいえば、作中に出てくる野球部の監督は、前任者が体罰事件を起こした後任として就任した設定になっている。小説の終わりの方で野球部員がヒロインを平手打ちし、それをきっかけに野球部員同士が取っ組み合いをする場面が出てくるが、後者は暴力行為ではあっても「体罰」とはいえないだろう。「体罰」とは、園田隆二の例に典型的に見られるような権力の行使を伴うものであって、だから自民党橋下徹と親和性が高いのだ。その橋下は、運動部の体罰自殺事件の前までは大の体罰肯定論者だったはずだが、プロ野球・元読売の桑田真澄体罰批判をブチ上げて称賛されるや、桑田と握手していきなり「反体罰の旗手」に豹変した。で、転向したその立場でまたしても強権を発動しようとしたわけだが、橋下の行動原理は、こと「強権の発動を指向する」という観点からは、体罰問題に関する転向の前後で全くブレていないことに留意したい。

笑ってしまったのは、詳述しないが作中の粗雑な野球理論に基づく野球部の勝ち進み方だった。もっともこれには明らかな原型があって、それは梶原一騎川崎のぼるの劇画『巨人の星』だろう。漫画本に相当するお手軽な「小説」としてはその程度でもかまわないのだろうけれど。

小説のネタ元であるドラッカーの『マネジメント』については触れない。読んだことがないからだ。ただ、この小説をもじったタイトルをつけたノビー(池田信夫)原作の漫画を、今度はネタ元の原作であるフリードマンの『資本主義と自由』から先に読んでみようという気になって、昨夜遅くに読み始めた。このフリードマンとノビー原作漫画本も、買い込んで長らく読んでいなかったものだ。ノビー原作の漫画の方は、ずっと前に3分の1ほど読んだところで続きを読む気が失せ、中断してそのままになっている。


資本主義と自由 (日経BPクラシックス)

資本主義と自由 (日経BPクラシックス)


もし小泉進次郎がフリードマンの資本主義と自由を読んだら

もし小泉進次郎がフリードマンの資本主義と自由を読んだら


最後に、『もしドラ』が最初はてなで大人気を博していたらしいことを私は全く知らなかった。最盛期には日に1万件を超えるアクセスがあったそうだが、現在では作者の日記はプライベートモードになっている。

*1:孫崎享の『戦後史の正体』もそんな一冊である。