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古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

米国家安全保障会議職員「安倍晋三は危険なナショナリスト」(週刊ポスト)

昨日(3/10)公開の 米NSCも安倍を危険なナショナリストと評価+ロシアから安倍へのメッセージ : 日本がアブナイ! 経由で知ったのだが、なんと右翼週刊誌・週刊ポストのが下記の記事を載せていた。先週号の記事らしい。


米国家安全保障会議職員「安倍晋三は危険なナショナリスト」│NEWSポストセブン

国家安全保障会議職員「安倍晋三は危険なナショナリスト
2014.03.03 07:00


 米ワシントンDCのホワイトハウスに近いレストラン。ここで日本を巡る熱い議論が交わされたのは安倍晋三首相の靖国参拝(2013年12月26日)から間もない今年1月のことだった。

 集ったのはアメリカの最高意思決定機関の一つ、国家安全保障会議NSC)のアジア担当の現役職員とOBたちだ。これまで彼らが扱うテーマといえば、米国の描く国際秩序をかき乱す中国の国家戦略が主だった。しかし、出席したOBの1人は、「今回のテーマは日本分析だった」と語る。

「そのほとんどは安倍政権に厳しいものでした。なかには、『日本の右傾化を防ぐには歴史教育を徹底させなければいけない』といった批判もあった。これまで中国が日本政府にしてきた批判と瓜二つですよ」

 出席した現役職員は強い調子で吐き捨てた。

安倍晋三は、危険な歴史修正主義ナショナリストだ」

 歴史修正主義とは、第2次世界大戦後、米国が中心となって構築してきた世界秩序を否定しようとする動きを指す。安倍首相がその烙印を押された要因は、やはり靖国参拝にある。

 安倍首相は靖国参拝について、「A級戦犯といわれる方々を讃えるためではない」という持論を展開する。しかし一方で、「A級戦犯東京裁判戦争犯罪人として裁かれたわけだが、国内法的には戦争犯罪人ではない」と語っている。早稲田大学大学院客員教授の春名幹男氏はいう。

「安倍首相は理解していない。中国や韓国が靖国参拝に対して敏感に反応するから、オバマ大統領は厳しい態度を示すわけではない。米国の怒りの理由はもっと基本的な問題にある。東京裁判は米国が主導した裁判であり、戦後の世界秩序を形づくる起点と考えている。『A級戦犯は国内法的には戦争犯罪人ではない』と主張する安倍首相が靖国に参拝することは、突き詰めれば米国が作った戦後体制の否定ということになります」


 衛藤晟一首相補佐官籾井勝人NHK会長の失言も相次ぎ、日本への視線は厳しさを増すばかりだ。

週刊ポスト2014年3月14日号


この記事においては、春名幹男氏の指摘が正鵠を射ているが、それよりも私が驚いたのは、週刊ポストにこんな記事が載ったことだ。というのは、その前の号に週刊ポストは下記の記事を載せていたからだ。

http://m.news-postseven.com/archives/20140224_242788.html

朝日新聞「売れるから嫌中憎韓」記事に『Voice』編集長疑問
2014.02.24 07:00


 なんとも朝日新聞らしい記事である。

 2月11日の建国記念日に掲載された「売れるから『嫌中憎韓』」という特集記事は、〈「嫌中憎韓」が出版界のトレンドになりつつある。ベストセラーリストには韓国や中国を非難する作品が並び、週刊誌も両国を揶揄する見出しが目立つ〉と始まる。

 週刊誌には、もちろん本誌も含まれる。ご丁寧にも本誌が昨年発行した44号のうち、38号の見出しに、「中国」「韓国」「尖閣」「慰安婦」などの言葉があることを調べ上げ、〈ほとんどの記事が両国や、両国の指導者を非難する内容だ〉という。

 その背景には「売れるから」「国民不満すくう」「訴訟リスク低い」といった事情があるのだとか。

 つまり、この記事で朝日がいわんとするのは、こういうことだろう。「嫌中憎韓」を煽る週刊誌や出版社は、売れるからという安直な理由で、むやみに中国や韓国に対する国民の悪感情を煽っている──と。

 記事では、ご丁寧にも「『嫌中』『憎韓』に酔いしれる人々は本当に武器を取るつもりか」と訴えた週刊現代について、「面白いだけでなく、ためになる週刊誌でなければならない」(同誌記者)とのコメントを紹介し、本誌などの「嫌中憎韓」メディアと対比している。

 しかし、そもそも中国や韓国について的確に批判することは、読者にとって「ためになる」ものではないのか。今回の朝日記事に疑問を抱いたという保守系の月刊誌『Voice』の前田守人編集長はいう。

「たしかに、私たちの雑誌もここ4か月ほど、中国、韓国の特集が続いていますが、それは日本をめぐる国際政治上の大問題だからです。韓国では国策として反日がすすめられています。フランスの漫画祭(※注1)や、米バージニア州での日本海の呼称問題に関する条例(※注2)などです。

 韓国は、あきらかに中国とアメリカという世界の二大覇権国家との間で等距離外交をし、そうすることで日本を孤立化させようとしている。そうした中で日本が韓国や中国の顔色をうかがうような外交政策をとっているようでは、今後、国の存亡がかかってくる。
 
 だからこそ、中国・韓国特集は読者の関心が高いんです。朝日は『売れるから』と書きますが、雑誌は売れなければ次が出ない。そこを問題にする朝日の感覚のほうが問題です」

 この点に関しては本誌も全く同感である。中国・韓国が連日のように、日本に対する批判や国際的な宣伝工作を進め、アメリカをはじめ世界各国でそれに呼応した動きが出てきている。それに敏感に反応するのはジャーナリズムとして当然のことではないか。

【※注1】今年1月に行なわれたフランスのアングレーム国際漫画祭で、韓国政府が従軍慰安婦をテーマにした漫画やアニメを展示した。

【※注2】今年2月、米バージニア州の下院で、日本海の呼称を韓国が求める「東海」と併記する法案が可決された。

週刊ポスト2014年3月7日号


週刊ポスト』はこの記事で、ライバル『週刊現代』を持ち上げて自誌をこき下ろした朝日新聞に悪態をついているのだが、たまたまこの記事を立ち読みした私は、昨年の今頃はポストに歩調を合わせて嫌中嫌韓安倍晋三万歳の記事を書いていたはずの『週刊現代』がいつの間に路線を転換したのかと思った。

そして、『週刊ポスト』までもが「安倍晋三は危険なナショナリスト」と題する記事を載せた。

その理由は、赤字ボールドにした部分に尽きる。「雑誌は売れなければ次が出ない」のである。

そもそも『週刊ポスト』には『週刊現代』と同じように「鵺(ぬえ)」的性格があって、そこは右翼的で一貫している『週刊文春』や『週刊新潮』とは大きく異なる。第1次安倍内閣の時は、発足直後から『ポスト』は『現代』ともども安倍晋三叩きを繰り広げていた。しかし、一昨年末の第2次安倍政権発足直後は、両誌とも安倍政権擁護に回った。それは、そのほうが売れると判断したからだ。

『ポスト』までもが安倍晋三批判記事を載せるようになったのは、その方が売れると判断したからと思われる。ただ、こういう記事を出すのが『現代』よりも遅れたのは、『SAPIO』を出している小学館の方が、講談社よりも右翼的な性格が強いことの反映だろう。もちろん文藝春秋や新潮社は手もつけられない「極右の巣窟」というわけだ。

いずれにせよ、ようやく週刊誌に安倍晋三批判の記事が載るようになったことは、悪くない傾向ではある。