kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

『週刊ポスト』の嫌韓特集の根っこは安倍晋三のメディア支配

 『週刊ポスト』の嫌韓特集が突如批判されたが、この件もまたこの国の「権力を批判する言説の絶え果てた『崩壊の時代』」の一つだ。

 

 突如批判されて『ポスト』編集部は泡を食っているようだが、『ポスト』を批判する正論を発している陣営も、なかなか安倍政権批判にまでは向かない。いや、ポストの嫌韓特集を批判する以上、当然安倍政権批判側でもあるはずなのだが、問題の根っこが安倍晋三によるメディア支配と、それと対をなす業界人の安倍晋三への忖度であることに対する批判が弱いように思われる。

 思い出すべきは、2015年に安倍政権批判の特集を毎週のように展開していた『週刊ポスト』の編集長の首が飛んだことだろう。

 私はリテラが大嫌いなので最近はほとんど引用しないのだが*1あそこに書くライターたちは業界情報には詳しいので、節を曲げて以下に引用する。

 

lite-ra.com

 

 しかし、小学館の関係者によると、「週刊ポスト」の韓国ヘイト特集は現場レベルの問題ではないらしい。

「鈴木亮介編集長はただのイエスマンで、ヘイト思想の持ち主じゃない。あれは、ポスト・セブン局担当の常務取締役で『ポスト』を仕切っている秋山(修一郎)さんを忖度したものでしょう。秋山さんは普段から会議でも、今回の内容のような韓国ヘイトをやたら口にしていて、以前にも管轄の『ポスト』や『女性セブン』に似たような企画をやらせたことがある。トップ直々の企画だとしたら、このまま通りいっぺんの謝罪で終わらせるかもしれません」

「ポスト」はいまのところ、『BuzzFeed News』や『ハフポスト』の取材に対し「混迷する日韓関係について様々な観点からシミュレーションしたもの」「韓国で発表・報道された論文を基にしたものとはいえ、誤解を広めかねず、配慮に欠けておりました」などと典型的な“謝罪になってない謝罪”コメントを出しただけだが、このヘイト企画が上層部直々のものであるとすれば、この木で鼻をくくったような対応も上層部の意向を反映したものなのだろう。

 

出典:https://lite-ra.com/2019/09/post-4941_4.html

 

 なるほどねえ。安倍晋三は秋山修一郎という小学館の常務を手なずけたわけだ。

 1970年代や80年代にはポストの誌面は今とは全然違ったと指摘する向きもあるが、何もそんな大昔に遡らなくとも、2014年から2015年にかけての一時期に安倍政権批判を展開していた時期もあった*2 *3。その編集長が更迭された時にもリテラが記事にしているので、節を曲げついでにリンクを張っておく。

 

lite-ra.com

 

 安倍晋三は政権を批判する言説を根絶やしにしようとしているわけだ。今回『週刊ポスト』が批判された嫌韓特集は、その安倍晋三の政権の本音を醜くむき出しにしたものであるといえる。

 安倍晋三の政権が倒れない限り、問題の根を断つことはできない。いや、安倍政権を倒しただけでも問題は解決できないのだが、それは安倍政権が倒れることが「ヘイト言説根絶」十分条件ではないという意味であって、少なくとも安倍政権が倒れる(できれば政権批判側が安倍晋三を打倒することが望ましいが、現時点では勝手に倒れる可能性の方がはるかに高い)ことは間違いなく必要条件だ。

*1:なお、「リベラル」の間でのリテラの人気は最近かなりかげってきた印象を持っている。

*2:もっと前の第1次安倍内閣時代(2006〜07年)には、『週刊ポスト』は『週刊現代』とともに毎週のように安倍政権を批判する特集を組んでいた。そういえば最近は『週刊現代』もさっぱり安倍政権を批判しなくなったし、「嫌韓」の記事が載ることも少なくない。

*3:もっとも、2015年に更迭された編集長が2014年に編集長になる前の『週刊ポスト』は、安倍政権(第2次安倍内閣時代)に迎合していた。