『フラニーとゾーイー』として知られてきたサリンジャーの小説を、村上春樹が『フラニーとズーイ』というタイトルで訳した。
- 作者: サリンジャー,村上春樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2014/02/28
- メディア: 文庫
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- 作者: サリンジャー,野崎孝
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1976/05/04
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〈村上春樹 特別エッセイ〉こんなに面白い話だったんだ!(全編)|村上春樹『フラニーとズーイ』|新潮社 より。下記の文章は訳者の村上春樹自身が書いている。
本書の訳題はこれまで『フラニーとゾーイー』が一般的だった。Zooeyという名前の発音をいろんなアメリカ人に尋ねてみたのだが、「ズーイ」と発音する人もいれば、「ゾーイ」と発音する人もいて、翻訳者としてはどちらとも決めかねるところだ。ただ「ズーイ」派の方が数としていくぶん多かったのと、二〇一三年に公開されたドキュメンタリー映画『サリンジャー』でも「ズーイ」という発音で統一されていたこと、また僕が昔から個人的に「ズーイ」という語感をより好むという理由もあり、ここでは「ズーイ」の方をとらせていただいた。
固有名詞の発音は人さまざまなのだ。"Irene Adler" が「アイリーン・アドラー」か「アイリーネ・アドラー」かというのも同じかもしれない、と、シャーロック・ホームズの探偵譚に話を飛ばす。
- 作者: アーサー・コナンドイル,Arthur Conan Doyle,Christopher Roden,小林司,東山あかね
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2014/06/10
- メディア: 文庫
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この「名探偵ホームズ」シリーズの第2短編集の2番目に収録されているのが「ボール箱」という作品だが、これは、雑誌に連載されながら最初この短編集には収録されず、第4短編集『最後の挨拶』に収録されたといういわくつきの作品である。それを、元通りの位置に戻したのがイギリスのオックスフォード大学出版局版であり、河出文庫版はそれに基づいている。オックスフォード大学出版局版は、第1短編集『シャーロック・ホームズの冒険』でも、作者コナン・ドイルの執筆順通り、2番目と3番目の作品の順序を入れ替えている。こちらは雑誌編集部が掲載順を取り違えて発表してしまい、そのまま単行本に収録されたのを元に戻した形である。これも、作品の配列はこうでなければならないと思わせるものだったが、今回も同じで、「ボール箱」はやはり『シャーロック・ホームズの思い出』の2番目に収録されなければならないと納得させられた。
これを論じ始めると長くなるので、気が向いたら改めて書くことにする。同じような書き方で斎藤貴男の本への批判をペンディングにしたばかりだが、本について書く文章には、テレビや新聞報道に基づいて書く文章の3倍か5倍くらい、時間とエネルギーを要するのである。そのことは、実際にブログ記事を書いてみればわかる。
この記事で触れるのは、「ボール箱」に出てくる3姉妹の姓の表記についてである。その姓は "Cushing" と綴る。これまでの邦訳のほとんど全てが「カッシング」と表記していたが、河出文庫版では「クッシング」となっている。そして、私が調べた限り河出文庫版が正しく、"Cushing" は「カッシング」ではなく「クッシング」と発音するようだ。たとえば下記記事を挙げておく。
http://sekkei-2.eng.maritime.kobe-u.ac.jp/fukuoka/hobby.html より
ここで紹介するドラキュラは,数あるシリーズの中の「Horror of Doracura」で,初めてのカラー作品である.実はこの映画は,子供の頃映画館で見ている.今回それを確かめたくて見直してみた.叔父に連れられて行ったのは場末の映画館だが,当時としては珍しく時々洋画をやっていたようである.ラストで.ピーター・カッシング扮する医者が十字架をかざし,その光を受けたドラキュラが灰に帰する場面は鮮烈に覚えていた.なにせその夜はほとんど眠れなかったのだから.ちなみに友人である本学の英語教師のミーガン氏(彼も相当なマニアである)によると,正しい発音はカッシングではなく,クッシングだそうだ.
なお、"Irene Adler" は、河出文庫版『シャーロック・ホームズの冒険』では「アイリーン・アドラー」と表記されている。