kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

観測を増やしたり装置に予算をつけたりしたところで、火山の噴火が予知できるようになるわけではない

またもあの「片山さつき」が拡散した「御嶽山噴火は『事業仕分け』が原因」というデマ - kojitakenの日記(2014年10月1日)にいただいたコメントに、遅ればせながら応答する。

http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20141001/1412121510#c1412131725

id:goldengm 2014/10/01 11:48
まあ、予算がついていても予知出来なかったにせよ、予算削減で「可能性すら奪った」のは事実なので、噴火の予知失敗を勝間のせいだと断定するのは論外にしても、一定の責任を勝間に着せることは出来ると思います。
これで勝間のような財政緊縮主義、新自由主義者の愚が暴かれ、反緊縮の流れを生む契機になりはしないかと多少期待はしています。


お言葉ですが、その認識はちょっと違うと思います。
「予算削減で『可能性すら奪った』のは事実」といえば、可能性があったかのように聞こえますが、そうではない、御嶽山噴火予知の可能性など元からなかったのだから、「可能性を奪った」とは言えないかと。
念のために申し上げると、これは、観測されていた火山性地震を根拠に警戒レベルを引き上げるべきであったかどうかとは全く別の話であって、火山性地震を根拠に噴火の可能性があるとして入山規制をしていたら、大部分の活火山の頂上には事実上行けなくなりますし、それ以前に現在の観測態勢で火山性地震は観測されていたわけです。

大阪の極右放送局・読売テレビは、自己責任で遭難したことのある辛坊治郎とかいう破廉恥漢が司会を務める今朝の番組で、コメンテーターに妄言を垂れ流させていたようですが、私が説得力を感じるのは下記の意見の方です。

https://twitter.com/rjgeller/status/518180913142697985*1

Robert Geller
@rjgeller

NNNうぇーくアップのコメンテータはあまり分かっていないね。「(火山噴火)予知は難しいから観測も増やすべき」、と。  でも、噴火は非線形現象だから、どんなに観測も増やしても根本的な問題が残る。  やっぱし、想定外(不意打ち噴火)を備えるは第1だ。


https://twitter.com/ja150087/status/518215307853189120

ジャガイモ
@ja150087

@rjgeller いくら観測装置を増やしても、予測できるようになるかどうかは不確実です。失敗すると、すぐに予算が足りない、人手が足りないと言い訳するのには腹が立ちます。


この他にも噴火を予知できなかった学者を非難する記事が載っていると思われる見出しが、月曜日(29日)だかの夕刊フジ(産経系列)にデカデカと載っているのを見ました。これらを見ると、読売系列だの産経系列だのにとって都合が悪いのは、「地震や火山の噴火は予知できない」という認識が世間に広まることなんだろうな、と思います。それは彼らが後押ししている原発再稼働にとって大いなる逆風になりますからね。

できないものはできないんだから、いくら予算を増やしたってそれこそ無駄遣い、理研ならぬ利権の温床であって、それは新自由主義的な考え方でも何でもありません。金さえかければ地震や火山の噴火が予知できるようになるという感覚の方がおかしいと思います。

*1:ロバート・ゲラー氏は地震学者で東大教授。例の小保方晴子理研の研究不正問題でのコメントで初めて名前を認識した。朝日新聞のオピニオン面で読んだその主張にはあまり賛成できなかったが、専門の近い火山噴火の予知に関するこのコメントには説得力を感じた。