kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

産経世論調査を巡る毎日との批判合戦で産経が「自爆」(笑)

全然知らなかったが、産経の世論調査を毎日が批判し、それに産経が反論していたらしい。

まず毎日に批判された産経の記事。

FNN世論調査で分かった安保反対集会の実像 「一般市民による集会」というよりは…(1/3ページ) - 産経ニュース

FNN世論調査で分かった安保反対集会の実像 「一般市民による集会」というよりは…

 産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が12、13両日に実施した合同世論調査によると、国会周辺など各地で行われている安全保障関連法案に反対する集会に参加した経験がある人は3.4%にとどまった。共産、社民、民主、生活各党など廃案を訴える政党の支持者が7割を超えた。最近注目を集める反対集会だが、今回の調査からは、「一般市民による」というよりも「特定政党の支持層による」集会という実像が浮かび上がる。

 集会への参加経験者の41.1%は共産支持者で、14.7%が社民、11.7%が民主、5.8%が生活支持層で、参加者の73.5%が4党の支持層だった。

 集会に参加したことがない人は96.6%で、このうち今後参加したい人は18.3%、参加したいと思わない人は79.3%だった。(後略)

(産経ニュース 2015.9.14 20:21更新)


この記事に毎日の平田崇浩・世論調査室長が噛みついた。

産経世論調査:安保法案反対デモの評価をゆがめるな - 毎日新聞

経世論調査:安保法案反対デモの評価をゆがめるな

 産経新聞とFNNの合同世論調査にもの申したい

 安全保障関連法案の参院採決が迫る中、9月12、13日に実施した調査で「安保法案に反対する集会やデモに参加したことがあるか」と質問し、3.4%が「ある」、96.6%が「ない」と答えたという。これを受けて産経新聞は15日の朝刊で「参加した経験がある人は3.4%にとどまった」と書いた。

 安倍政権の応援団として、全国に広がる安保法案反対デモが気に入らないのはよく分かる。「毎日新聞朝日新聞はデモを大きく扱っているが、デモに参加しているのはたった3.4%にすぎない」と言いたいのだろう。

 だが、日常生活の中で特定の政治活動に参加する機会のある人がどれだけいるだろうか。この世論調査は全国の男女1000人に電話で質問したとされ、そのうちデモや集会に参加したと答えた人が34人いたと推定される。素直に考えれば、これは大変な人数だ。全国の有権者1億人にこの数値を当てはめれば、安保法案反対デモの参加経験者が340万人に上る計算になる。

 調査ではさらに、デモ・集会に参加したことがないと答えた人(回答者全体の96.6%)に「今後、参加したいか」と尋ね、18.3%が「参加したい」と答えたという。これはつまり、回答者全体の17.7%がデモ・集会に参加したいと考えている計算になる。実際に参加したと答えた3.4%と合わせると、5人に1人が安保法案反対のデモ・集会に参加した経験があるか、参加したいと考えていることになる。有権者1億人に当てはめれば2000万人。この調査結果にゆがみがないと仮定すれば、「安保法案に対する世論の反発の大きさを示した」と書かなければならない。

 もちろん、自宅の固定電話にかかってくる世論調査の電話を拒否する人も多く、調査に応じた人の割合を有権者全体にそのまま当てはめること自体に無理がある。そもそも1000人程度の無作為抽出による世論調査というのは、国民意識の大まかな傾向を探るのが目的だ。1000人中1人いるかどうかも分からない特定の政治活動参加者について数値を割り出せるものではない。デモ・集会の参加経験を無理やり数値化したうえで、法案賛否などの数値と同様に扱い、「3.4%にとどまった」などと書くのは、世論調査の社会的な役割とはほど遠い「扇動記事」と言わざるを得ない。

 産経新聞の記事は、デモ・集会に参加したと答えた3.4%の内訳分析まで行っている。「参加経験者の41.1%は共産支持者で、14.7%が社民、11.7%が民主、5.8%が生活支持層で、参加者の73.5%が4党の支持層だった」。これも首をかしげざるを得ない。参加したと答えた推定人数わずか34人を母数に、支持政党の内訳をパーセンテージで、しかも小数点以下まで算出することに統計的な有意性はほとんどない。数人の回答が変われば、大きく数字が動く。あえて記事にするのなら、「参加経験者の大半は共産党などの野党支持者だった」と書くのが関の山だ。そして、デモ参加者に野党支持者が多いことには何の驚きもない。

 1000サンプル程度の無作為抽出調査では、パーセンテージで通常3〜4ポイントの誤差が生じるとされる。にもかかわらず、3.4%という小さな数値を根拠に「デモに参加しているのはごく少数の人たちであり、共産党などの野党の動員にすぎない」というイメージを強引に導き出したのが産経新聞の記事だ。とても世論調査分析とは呼べないものであることを指摘しておきたい。【世論調査室長・平田崇浩】

毎日新聞 2015年09月17日)


興味深かったのは赤字ボールドにした部分だ。

実際、産経の世論調査の記事の末尾には、下記のように書かれている。

http://www.sankei.com/politics/news/150914/plt1509140014-n4.html

世論調査の方法

 調査エリアごとの性別・年齢構成に合わせ、電話番号を無作為に発生させるRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)方式で電話をかけ、算出した回答数が得られるまで調査を行った。調査対象は全国の成年男女1000人。

(産経ニュース 2015.9.14 15:47)


つまり有効回答数が1000に達するまで調査を行ったと解釈される。それで、「参加したと答えた推定人数わずか34人」と毎日の平田世論調査室長に指摘されているわけだ。

その34人のうち14人が「共産党支持」だと答えたとすると、14÷34は0.4117...になる。それを産経は「集会への参加経験者の41.1%は共産支持者」と書いた。

同様に、5/34=0.1470...、4/34=0.1176...、2/34=0.0588...である。つまり、34人のうち5人が社民党支持、4人が民主党支持、2人が生活の党と(以下略)の支持だったことになる。共産党を合わせた4党の支持者は「デモに参加した」34人のうち25人だったことになる。残る9人は他の政党の支持者あるいは「支持政党なし」、支持政党について無回答などの人たちということになる。

こりゃ毎日の平田世論調査室長の言う通りだ。母数が34だったら、回答数が1つ違うだけで数字は3ポイントも異なる。こんな母数で小数点以下1桁の数字に意味があるはずがない。

上記の毎日の批判記事に対して産経の酒井充記者が長文の再反論記事を書いている。しかしその中身はきわめてお粗末である。

【酒井充の野党ウオッチ】毎日新聞世論調査室長の“ご指摘”に反論する そちらこそ安保法案反対デモを過大評価しすぎではないか?(1/5ページ) - 産経ニュース

【酒井充の野党ウオッチ】
毎日新聞世論調査室長の“ご指摘”に反論する そちらこそ安保法案反対デモを過大評価しすぎではないか?

 安全保障関連法案の成立が迫っていた9月17日、毎日新聞はインターネットのサイト上に世論調査室長・平田崇浩氏の署名入りで「産経世論調査:安保法案反対デモの評価をゆがめるな」と題した記事を掲載した。産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が9月12、13両日に実施した合同世論調査で「安保法案に反対する集会やデモに参加したことがあるか」を尋ねた結果について、産経の同15日付朝刊で「ある」が「3・4%にとどまった」と書いたことなどを批判する内容だった。「野党ウオッチ」の表題とは離れるが、「とても世論調査分析とは呼べないもの」との指摘を受けた以上、きちんと反論しておきたい。

 平田氏は、「安倍政権の応援団として、全国に広がる安保法案反対デモが気に入らないのはよく分かる。『毎日新聞朝日新聞はデモを大きく扱っているが、デモに参加しているのはたった3・4%にすぎない』と言いたいのだろう」と書いた。

 毎日新聞が、安保法成立が気に入らないのはよく分かる。連日のように安保関連法案反対のデモを取り上げ、世の中の大半が法案に反対かのような記事を大々的に書いてきたのだから、安保法成立が秒読み段階となり、よほど無力感が漂い、悔しかったのだろう。

 推測するは自由だが、少なくとも私は「安倍政権の応援団」との自覚はない。安倍晋三首相が取り組んでいることを私なりに取材して記事を書き、同様に現在は野党担当記者として「おかしいなあ」と思うことが多い民主党など野党の動きを率直に書いているだけである。毎日新聞は「反安倍政権の応援団」なのかもしれないが、私は「安倍政権の応援団」などという矮小化したレベルで記事を書いていない。

 平田氏は、産経・FNNの世論調査のサンプルが1000人であることから、「3・4%」を有権者1億人にあてはめ、「安保法案反対デモの参加経験者が340万人に上る計算になる」と記し、「大変な数字だ」と持ち上げた。

 さらに、集会に参加したことがないと答えた人(全体の96・6%)のうち、「今後参加したい」が18・3%いたことから、「回答者全体の17・7%がデモ・集会に参加したいと考えている計算になる」と指摘。「3・4%」と合わせ有権者1億人にあてはめると2000万人だとして、ご丁寧にも「『安保法案に対する世論の反発の大きさを示した』と書かなければならない」との“ご指導”も承った。

 一方で、平田氏は「1000サンプル程度の無作為抽出調査では、パーセンテージで通常3〜4ポイントの誤差が生じるとされる。にもかかわらず、3・4%という小さな数値を根拠に『デモに参加しているのはごく少数の人たちであり、共産党などの野党の動員にすぎない』というイメージを強引に導き出したのが産経新聞の記事だ」と断じた。

 「野党の動員」とは一言も書いていないが、そこは個人の推測の域だ。しかし、「3・4%」を「大変な数字」とする一方で、「小さな数値」とはどういう了見だろうか。「3〜4ポイントの誤差が生じる」ならば、そもそも「大変な数字」と指摘すること自体が矛盾している。

 毎日新聞世論調査のサンプルはきっと万単位なのだろうと思って調べたら、9月19、20両日に実施した世論調査は「有権者のいる1688世帯から、1063人の回答を得た」という。毎日新聞世論調査は「3〜4ポイント」の数値は意味がないと自ら宣言していることになる。

 安保法成立後に実施したこの毎日新聞世論調査で、安倍内閣の支持率は「8月の前回調査より3ポイント増の35%、不支持率は同1ポイント増の50%」だったという。毎日新聞をはじめ朝日新聞東京新聞、一部の民放は必死に安保法案反対のキャンペーンを行ったが、それでも内閣支持率は上昇していた。

 「毎日新聞などがあれだけ法案反対を訴えた中でも内閣支持率は上昇したのか」と受け止めるのが普通の感覚だと思うが、毎日新聞にとって「3〜4ポイントは誤差」なのだから、見出しに取るはずがない。9月21日付朝刊の1面トップで報じた世論調査の記事のメーン見出しは「安保成立『評価せず』57%」で、袖見出しは「強行『問題だ』65%」だった。もう一つの見出しは「内閣支持35%」で、支持率が上昇したことは記事を読まないと分からない。「3〜4ポイントは誤差」だというのだから、当然だろう。

 ところが、毎日新聞が今年7月4、5両日に実施した世論調査の結果を報じた7月6日付朝刊1面の記事の見出しは「安倍内閣不支持上回る」だった。サンプルは「有権者のいる1720世帯から、1036人の回答を得た」という。

 それによると、7月の安倍内閣の支持率は「5月の前回調査から3ポイント減の42%、不支持率は同7ポイント増の43%」だったという。そして「2012年12月の第2次安倍内閣発足後初めて、支持と不支持が逆転した」としている。

 支持42%と不支持43%の差は1%。平田氏の理屈で言えば、「誤差」でしかない。ところが記事のメーン見出しは「安倍内閣不支持上回る」。1%という誤差の範囲内の小さな数値を根拠に「安倍内閣は国民に支持されていない」というイメージを強引に導き出したのが毎日新聞の記事だ。とても世論調査分析とは呼べないものだ。

 さらに平田氏は、産経・FNNの世論調査を報じた私の記事について「世論調査の社会的な役割とはほど遠い『扇動記事』と言わざるを得ない」とも指摘したが、室長として自社の新聞を読んでいないのだろうか。それとも自分たちの書く記事は扇動ではないが、産経が書く記事は扇動だとでも言うのだろうか。民主党政権での「強行採決」は良くて、自公政権の「強行採決」はよくないと訴える民主党と同じ理屈だ。さすが「反安倍政権の応援団」だ。

 私は9月12、13両日の世論調査で、集会への参加経験者の41・1%が共産党支持者であり、14・7%が社民、11・7%が民主、5・8%が生活支持層で、参加者の73・5%が4党の支持層だったと書いた。産経・FNNは安保法成立後の9月19、20両日にも合同世論調査を実施し、22日付朝刊では、集会に「参加したことがある」が4・1%で、共産党(24・3%)や民主党(17・0%)など法案に反対した政党の支持層が計46・3%を占め、支持政党なしが29・2%だったことを伝えた。

 安保法案に反対する(した)政党を支持する人たちが集会参加に占める割合は、わずか1週間で73・5%から46・3%となった。「誤差」のレベルを超えた差だ。それでも、共産党を筆頭に法案に反対する(した)政党の支持層の参加率が高いことは変わらなかった。世論調査の設問で集会やデモへの参加の有無を尋ねたのは、私が知る限り産経・FNNの調査だけだった。集会やデモの実相の一端を伝えることができたと自負している。

 しかし、平田氏は「デモ・集会の参加経験を無理やり数値化」と批判した。毎日新聞は同様の質問をしたことがないと思うが、平田氏は「デモ参加者に野党支持者が多いことは何の驚きもない」と推測している。「他人の土俵」で論評するのは勝手だが、驚くか驚かないかは、まず自紙の世論調査で尋ねた上で書いたらどうか。

 平田氏は、デモ参加経験者の支持政党別の内訳を記した私の記事について、「小数点以下まで算出することに統計的な有意性はほとんどない」とも指摘している。産経・FNNの合同世論調査は、全ての数値について原則、小数点第1位まで記していることを付言しておきたい。

 前回の「酒井充の野党ウオッチ」(9月10日にネットで公開した「朝日新聞民主党が絶賛した8・30国会デモは、デマと罵詈雑言が飛び交う『異常空間』だった…」)でも記したように、私自身、何回か国会周辺の集会に足を運んだ。有識者までが首相を呼び捨てにして「安倍をたたき斬る」とか「安倍の頭に五寸くぎを打つ」と叫び、聴衆がそれに歓喜の声を上げていた。デマと罵詈雑言が飛び交い、参加者による警察官への悪態がはびこる唾棄すべき空間だった。しかし、毎日新聞の「扇動記事」ではそういった実態は伝わらない。

 毎日新聞特別編集委員岸井成格氏は、自身がキャスターを務める9月16日放映のTBS番組で「メディアとしても廃案に向けて声をずっとあげ続けるべきだと思う」と主張し、放送法違反の疑いがあるような「扇動発言」を堂々とした。産経の批判をするのは結構だが、もうちょっと自分たちの足下を見つめ直したらどうですか、毎日さん。

 「これからもずっと訴え続ける」と訴えていたはずの安保法案反対のデモと集会が、成立後にはパタリと行われなくなり、静寂を取り戻した国会周辺で9月某日、この記事を書いていて、本当にそう思う。

(産経ニュース 2015.10.1 07:00更新)

この産経・酒井記者の長文の反論記事のうち、毎日の世論調査について「お前らかて似たようなことをやってるやないか」と指摘したくだりには一定の理がある。確かに内閣支持率42%と不支持率43%の1ポイントの差が有意な数字であるとは言えないとは、酒井氏の指摘する通りである。

しかし、酒井氏の記事は、毎日の平田氏が指摘した産経の世論調査記事の問題点の核心部(つまり母数34の調査への回答結果を小数点以下1桁で報じた問題)に対する回答には全くなっていない。

なんといっても私がぶっ飛んだのは、赤字ボールド大文字にした部分である。

これではまるで「うちの新聞はアホが作ってます」と宣言しているようなものではないか。つまり産経は、母数が34で、ある選択肢を選んだ回答者が2人でも、平気で「5.8%が××支持層」と書く新聞だと自ら認めているのである。

世の高校生は、こんな産経の実態を知ったら、「こんなアホな会社には勤めたくない」と思うのではあるまいか。

また、産経を購読している右派の読者のうち、少々なりとも頭の働く人間は、自らが購読している新聞のあまりのレベルの低さを恥ずかしく思うのではないか。

そんなことを思いながらも、それでも奴らの思う通りの政治情勢になっていることに空しさを感じる今日この頃なのであった。