kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

菊池誠こそ松尾匡を読め!

菊池誠にキレまくっている勢いで、前々から腹に据えかねている菊池のツイートをここで叩いておく。

https://twitter.com/kikumaco/status/848866092768296961

菊池誠(5/13,14,20ライブ)‏
@kikumaco

アベノミクスは本来なら左翼の経済政策だと言われているのに、それを理解しない左翼が多すぎるのよな。左翼は松尾匡を読むべき

4:53 - 2017年4月3日

このツイートを見ただけで、菊池誠自身が松尾匡を真面目に読んでいないことは一目瞭然だ。下記は私自身が昨年10月に書いた記事からの引用。

きまぐれな日々 野田佳彦、朝日新聞、「リベラル」等の救い難い経済政策観(2016年10月11日)より

(前略)心強かったのは、松尾氏が「『アベノミクス』と言うな!」と書いていることだ(226頁)。私もこのことは2013年当時から言い続けている。引用やこの用語自体に対する批判を別にして私がこの言葉を使ったのは、第2次安倍内閣発足直後だけだ(もっとも、この制約を自らに課す前に、その言葉を使ったのみならず記事のタイトルにしてしまった痛恨の記事がこのブログに1件あるはずだが)。松尾氏は、「安倍政権に反対する者までが、安倍さんと一緒になって『アベノミクス』という呼び方を使っているのは、危険なことだと思います」(226頁)と書いている。その理由は、「いざ景気がよくなったときに安倍さんの手柄にされる」(同)からであり、「雇用流動化などの『第三の矢』の政策は、景気の足を引っ張ることしかしていないのに、『アベノミクス』などと呼んでいっしょくたにすると、この『第三の矢』のおかげで景気がよくなったと受け取られてしまいます」(227頁)とする。この最後の文章は非常に説得的で、安倍批判側が「アベノミクス」という言葉を使うことがいかに危険かを改めて思い知らされる。そして手前味噌だが、第2次安倍内閣発足からさほど間のない時期から「アベノミクス」という言葉を使うなと主張し続けてきたことはやはり正しかったと思った。これを言うと反対されることが多いのだが、私は、浜矩子が安倍政権の経済政策を「アホノミクス」と呼んでいることもまた、安倍政権の経済政策の宣伝以外の何物でもないと考えている。

ここで頁数を示した本は、菊池誠が「錦の御旗」として使っている松尾匡の下記の本だ。私の手元にもあり、ブログ記事を書いたくらいだから昨年秋に読んだ(もっとも、その前にかなり長期間「積ん読」状態だったが)。


この経済政策が民主主義を救う: 安倍政権に勝てる対案

この経済政策が民主主義を救う: 安倍政権に勝てる対案


引用部分から明らかなように、松尾匡

アベノミクスは本来なら左翼の経済政策だと言われている

などとは一言も書いていない。それどころか、

「安倍政権に反対する者までが、安倍さんと一緒になって『アベノミクス』という呼び方を使っているのは、危険なことだと思います」

「雇用流動化などの『第三の矢』の政策は、景気の足を引っ張ることしかしていないのに、『アベノミクス』などと呼んでいっしょくたにすると、この『第三の矢』のおかげで景気がよくなったと受け取られてしまいます」

と書いているのだ。

偉そうなことをつぶやく菊池誠自身こそ松尾匡が読めていない。「松尾匡を読め」とは、菊池誠に対してこそ用いられるべき言葉だ。