kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「安倍晋三と山本太郎はよく似ている?2人が影響されたある経済学者とは」(鯨岡仁, 2020年AERA dot.)

 石田昌隆氏のツイートに2020年のAERA dot.(を転載したダイヤモンド・オンライン)の記事がリンクされていた。

 

 

 朝日新聞的緊縮財政志向は、同紙を購読していた2018年以前から激しく嫌っている(そのことは弊ブログにもしばしば書いてきた)ので、その系譜にあると見られる鯨岡仁記者(1999年日経新聞入社を経て2003年に朝日新聞入り)の記事にも共感はしないが、安倍晋三山本太郎の経済政策が似ているという指摘は正しい。

 

diamond.jp

 

 ここで書かれた「ある経済学者」とは、予想通り(というか以前記事が出た時にも読んだような気がするが)松尾匡(ただす)だった。

 松尾は、

断言しましょう。大変な好景気がやってきます。バブルを知らない若い世代は、これを見てビビって目を回すでしょう。次の総選挙は、消費税引き上げ後の多少の混乱を乗り越えたあとの、絶好調の好景気の中で迎えることになります。

と断言した予想を大きく外した。安倍政権の経済政策(それを表す片仮名6文字は弊ブログの三大禁句の一つである)は事実上の「金融緩和一本槍」だったが、それには限界があったのだ。安倍政権の経済政策は第2次内閣発足直後の数か月しか続かなかった。安倍は消費税増税を予定通り実施したし、何より財政政策が極端な傾斜配分であり、お友達には対しては超優遇だったが、それ以外に対しては事実上の緊縮だった。これでは「バブルを知らない若い世代」が「ビビって目を回す」ような「大変な好景気」がやってこようはずもなかった。

 しかし、それをもって財政出動自体を否定するのは間違っている。鯨岡記者は記事の最後に公共事業を「ばらまき」と書いている。私はこれを見て、ああ、原真人と同じ会社の人の記事だよなあと思った。

 それでは山本太郎はどうか。記事から引用する。

 

 松尾は日本のマルクス経済学者の中では、「異端」だ。アベノミクスの1本目と2本目の矢、つまり、金融緩和をして財政出動をすること自体は「反緊縮」であり、「間違っていない」と公言する。

 安倍首相と違うのは、お金の使い道だ。松尾は「安倍首相は、せっかくひねり出したお金を軍事費や、大企業やお金持ちの支援に使っている」と批判する。それらを、医療や介護などの社会保障、教育などに振り向けて、国民の生活向上に役立てるべきだと主張する。

 松尾は、2019年2月、市民運動「薔薇マークキャンペーン」を立ち上げた。「(お金を)ばらまく(薔薇マーク)」と引っかけたネーミングだ。この年は12年に1回の「亥年選挙」の年。この年に行われる参院選では自由民主党が苦戦を強いられると言われているため、春の統一地方選と夏の参院選を前に、松尾らの主張に賛同する野党の候補者に「薔薇マーク認定」を与えて、支援しようと企画した。

 この運動にいちはやく呼応したのが、山本代表だった。山本は、れいわ新選組の政策に松尾の主張を全面的に採り入れた。

 

出典:https://diamond.jp/articles/-/230817?page=2

 

 ×××新選組のこの方向性自体は間違っていなかったと私は考えている。

 松尾匡自身も、2019年の時点では財政出動が傾斜配分であっては「若者たちがビビって目を回すような好景気」が来るはずもなかったと思っていたに違いない。2019年の参院選新選組比例区での「特定枠」を効果的に使ったが、それを含めた選挙戦術自体は高く評価できるものだった。だが、私が絶対に受け入れられなかったのは元号を冠した政党名だった。「名が体を表す」という言葉もある。それに山本太郎による独裁体制も周知だった。党の規約には党首の独裁事項まである。政党の成り立ち自体が根本的に信用ならなかった。

 鯨岡記者は、

山本代表は、「左翼」だと思われている。

と書いている。言外に「実は左翼ではない」というニュアンスを込めているものと思われるが、実際山本は「保守ど真ん中」を自認しているし、来年1月1日から発足するという新体制で就任する2人の副代表のうち1人は新左翼だが、もう1人は2017年に「希望の党」から立候補して落選した人だし、政権交代選挙で当選して衆院議員になった頃には民主党細野豪志グループに属していたというから、旧民主・民進系でも指折りの右翼だったと推定される。×××新選組は「右」も「左」もない鵺的ポピュリズム政党といえるだろう。

 だから軍事費倍増政策に対する態度もはっきりしない。ただ、ロシアのウクライナ侵略戦争の国会決議に唯一反対したくらいの反米政党だから*1アメリカのいいなりになっての戦争には反対」という論法でお茶を濁すものと思われる。

 やはり、こんな政党は全く信用ならないのである。

*1:但し、トランプに対してはかなり親和的である可能性が少なからずある。一時期山本太郎のブレーンとされた植草一秀は、2016年の米大統領選でトランプが当選を決めた時には大喜びしていた。