kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

遅すぎる蓮舫、今頃やっと「都民ファ□ストの会」を批判したが…

朝日(6/30)の第2社会面に、こんな文章を見つけた。

 「都民ファーストのトップは小池知事。その人たちが知事に嫌われるような議論をできますか。絶対にできない」。民進党蓮舫代表は29日、東京都八王子市で演説し、こう主張した。朝日新聞2017年6月30日付第2社会面掲載記事より)


蓮舫小池百合子本人を批判した前例を私は知らないが(「都民ファ□ストの会」を批判しながら小池百合子を批判しない蓮舫は、自民党を批判しながら安倍晋三を批判しない小池百合子に似ているとも思う)、都議選終盤になってやっと蓮舫の口から都ファ批判が聞かれるようになった。

しかし、あまりにも遅すぎた。

「都民ファーストの会勝利で民進党弱体化」…こそ、安倍政権の思うツボ? - 政治・国際 - ニュース|週プレNEWS[週刊プレイボーイのニュースサイト](2017年6月29日)より

都民ファーストの会勝利で民進党弱体化」…こそ、安倍政権の思うツボ?

安倍首相が「加計学園問題」で揺れる国家戦略特区での獣医学部の新設について「全国展開を目指したい」と発言したり、小池都知事が長期化している市場移転問題について「築地は守る、豊洲を生かす」と表明したり、国政、都政でトンデモ発言が相次いでいる。

混迷を極める昨今の政治状況を、外国人ジャーナリストはどう見ているのか? 「週プレ外国人記者クラブ」第82回は、フランス「ル・モンド」紙の東京特派員、フィリップ・メスメール氏に話を聞いた――。

(中略)

メスメール 私の個人的な見解ですが、小池氏は将来的に「日本初の女性首相になる」という野心を抱いているのだと思います。ただし、私はマクロン大統領と小池都知事を重ねて見てはいません。彼女はマクロンにはなれないとも思っています。その理由は、彼女には「明確なビジョン」が感じられないことです。

東京都知事として小池氏は非常に良いスタートを切りました。東京オリンピックの見直しや市場移転の見直しは政策として間違いではなかったと思うし、従来の都政の問題点を浮き彫りにしたという点でも彼女の支持を高める要素になったでしょう。ただし、それらの問題の解決にあまりにも長い時間をかけすぎてしまったし、結果的に多くの妥協を強(し)いられたことで、「小池知事には明確で現実的なビジョンがない」という印象が有権者の中に広まりつつあります。

都政においてすらそうなのですから、彼女が「この国の明確なビジョン」を持っているとは思えないし、事実、これまで国家的なビジョンをほとんど示していません。むしろ自分自身の将来に対する野心から、目に見える形で安倍政権と対立することを避けようとしているようにすら見えます。マクロン新大統領や彼の新党に明確な国家的ビジョンがあるかというと、これも現実にはわからないけれど、少なくともマクロンにはそれが「ある」と国民に信じさせる力がある。その違いは非常に大きいと思います。

─確かに、小池氏は自民党都議連や自民党執行部への痛烈な批判はしても、安倍政権に対する直接的な批判はあまりしませんし、安倍首相もあれだけ小池知事と自民党都議連が対立しているのに、表立って小池批判をすることはほとんどないですね。

メスメール 私はむしろ小池新党、つまり都民ファーストの会は安倍政権にとって「民進党を弱体化させるための格好の道具」になっているのではないかと見ています。東京のような大都市では一般的にリベラル層が多いですが、彼らの票が都民ファーストの会に集まれば、結果的にそのあおりを食うのは民進党である可能性が高いからです。

─なんだかその景色、以前「大阪維新の会」が生まれた時にも見たことがあるような…。

メスメール その通りです。当初は既存政党、既存政治とは違う新たな選択肢として名乗りを上げたはずの維新の会が、紆余曲折を経て、今や実質的に「第二の自民党」みたいになっている。将来的にそれと同じことが都民ファーストの会にも起きることはあり得ると思いますね。

(取材・文/川喜田 研 撮影/長尾 迪)

●フィリップ・メスメール
1972年生まれ、フランス・パリ出身。2002年に来日し、夕刊紙「ル・モンド」や雑誌「レクスプレス」の東京特派員として活動している

(『週プレNEWS』より)


メスメール氏の指摘はその通りだ。

しかし、そんなことは1年前の東京都知事選の頃からわかり切ったことだった。1年近く前のこの日記の記事から以下引用する。

またまた小池百合子と小池を増長させた有象無象について - kojitakenの日記(2016年8月5日)より

(前略)
http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20160803/1470180667#c1470285805

id:kemou 2016/08/04 13:43

>前回の都知事選で宇都宮健児に投票した人は、同じ共同通信の調査で29%が小池百合子に投票している。

絶句するような数字ですね。ただ、このゾッとするような数字で覆い隠されていますが、「共産党支持者の17%、社民党支持者の18%がそれぞれ小池百合子に投票」なども大概酷いと思います。

出口調査の数字ではっきりと見て取れるのが、民進・共産などの野党支持者のどの層も小池>>増田となっている点ですが、ここから野党支持者が昔からずっと抱えている根源的な問題も見えてきますね。「自民党の看板さえ背負ってなければ、たとえ政策的には自分の理想と著しく遠い候補者でも平気で投票対象にしてしまう」、こうした悪癖の積み重ねが左派を自壊させてきた側面も大いにあったでしょう。その思想や政策を見れば、小池なんて増田よりも遥かに酷いわけですから。大阪における維新の伸長だって、そうした経緯で野党支持層が流れ込むことで生まれた面は間違いなくあったでしょうし、左派・リベラル寄りの人間がそうしたことをくり返してしまう限り、社会はどんどん右側に寄っていくことでしょう。綱引きで右側に引っ張られる前に、自分達から右側にホイホイと寄って行ってしまうのですから。


また、同じkemouさんのコメントから、この日記に引用した『日本がアブナイ!』の文章*1について。

http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20160802/1470092664#c1470287090

kemou 2016/08/04 14:04

>東京都連が推薦して全力で支援して来た候補が敗れたこと自体には、
>かなり喜びを覚えているところがあって。(ざまあ、と申しましょうか?)

愚かとしか言いようがないですね。自身のブログで維新と小池の類似性を指摘しておきながら、このようなことを書けてしまう神経が理解できません。

例のブログ主は小池と東京自民が喧嘩することを暗に望んでいる節がありますが、もし本当に小池と東京自民が喧嘩を続け、小池がそこで一定の支持を得た場合、その先に何があるかを考えてないのでしょうね。そこにあるのは東京の大阪化でしかないのですけどね。

大阪は維新が権力が持っていること自体も悲惨ではありますが、それ以上に政治の選択肢が「維新か自民か」の二択になってしまったことが悲惨なのですよね。自民と喧嘩する政党として維新がアピールをするほどに民進党支持者などの非自民支持層が維新になだれこみ、一方で維新に対抗するために他の野党も自民を支援することで「維新か自民か」の二極化が進んで、多少なりとも左派色のある勢力が弱体化していく、小池が東京自民と喧嘩をすればするほど、この状態へと少しずつ近づいていくのであって、そのことに対する危機感が例のブログ主に微塵もないというのが信じられません。反維新という視点で見ると大阪自民にシンパシーを多少なりとも持ってしまいますが、大阪自民だって所詮は自民でしかないのですから。

今の大阪の地方議会の勢力図を一度見てみればいいのです。大阪府議会は共産3、民進1で他は全て維新・自民・公明、大阪市議会は共産が9でそこそこ確保しているものの民進は0です。「非自民右翼」の伸長が何よりもたらすものは自民の崩壊などではなく、左派勢力の崩壊ですからね。

まあ、2013年頃には「立憲主義を理解している橋下くんを『アブナイ自民党改憲案』」を批判する勢力として活用したい、とかなんかおっしゃっていたことのあるお方ですから。
(後略)


件のブログは、もう都議選も終盤だというのに、未だに都議選をメインにした記事を書いていない(記事中で言及はしているようだが)。

先日、どこかの記事を読んだ記憶だと、4年前の都議選で民進党に投票した人の39%が、今回都ファの候補に投票するほか、約1割が自民党候補に投票すると答えていたそうだ。

民進党支持層の中には、新自由主義を嫌う人もいて、「『真のグローバリスト・帝国主義者』小池」を倒すために、民進党に投票しても死に票になるだけだからとの判断から、「敵の敵は味方」の論法で自民党候補に投票しようと思う人が一定数いても全く不思議はない。『日本がアブナイ!』のコメンテーターだった人が立ち上げたブログの記事にも、下記の文章があった。

小池劇場のゆくえ8 ~馬脚を現した小池氏、都民は騙され続けるのか?~ - 政治(2017年6月21日)より

 普通なら、加計学園事件で自民党には入れたくない、都民を馬鹿にしている小池都知事率いる都Fも勝たせたくない、しょうがないから民進党に入れておくかとなるところだが、蓮舫代表が小池都知事に秋波を送るという愚行を行ったせいで、民進党以外の野党(または、自民党に入れるしかないかとなってしまうだろうと感じる。

 つくづく、蓮舫代表の政治家としての器の小ささとリーダーとしての資質のなさが悔やまれる。


まったくもってその通りだと思うが(現にマスコミの世論調査に、前回民進党候補に投票した人の約1割が自民党に流れると答えた)、残念ながら小池百合子批判勢力は、括弧の有無を問わないリベラル・左派の中では少数派であり(多勢に無勢もいいところであって、この日記でも小池百合子を批判した記事はアクセス数が減ってしまう)、その中でも、かつての親小沢・反小沢を問わず旧民主党支持者やシンパの間では「小池百合子を支持、肯定、ないし容認する」人たちが圧倒的な多数派なので(『日本がアブナイ!』のブログ主も「小池百合子容認派」くらいには十分数え入れられるだろう。「小池都知事公明党民進党の連携にちょっとワクワクする」と書いていたことがその根拠)、2日後に迫った東京都議選において悲惨な結果(自民党都ファの合計議席数の激増)が待ち構えているであろうことは、もう疑う余地がない。