kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

西部邁の「影」と「光」

ある程度予想はしていたが、「リベラル」が一斉に西部邁をほめたたえたことにはドン引きしてしまった。たとえば、最近私が使っているFirefoxのブックマークから外したので見に行く機会が激減した某都会保守氏のブログでは、こんなことでも書いてるんじゃないかなあと想像したまさにその通りのエントリが挙がっていた。西部邁もさることながら、「ウーマン村本」とやらを手放しで持ち上げる風潮にも私は疑問を感じている。村本が少し前まで今と真逆(まぎゃく)のことを呟いていた証拠も見せてもらったことがある。ま、西部と村本には「転向者」という共通点がありそうだが。但し2人の転向のベクトルの向きは真逆だ。

西部の悪行の一例として、たとえば下記早川タダノリ氏のツイートを挙げておく。

https://twitter.com/hayakawa2600/status/955052769122988032

写真は水島総編『『核武装』が日本を救う』 (チャンネル桜叢書、2011年)。こういう本にひとたび名前を連ねてしまったあとの「人生」について考察す。

『『核武装』が日本を救う』の執筆者の名前を挙げておくと、井上和彦潮匡人加瀬英明、川村純彦、石平、田母神俊雄西部邁西村眞悟水島総。そうそうたる面々だ。

もちろん人間だからすべてがダークサイドからなるわけではなく、光の部分もある。昨日の記事にいただいたコメントから。

http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20180122/1516572854#c1516634875

id:urinarazuke 2018/01/23 00:27

西部氏の罪状をかき立てることも必要であろうが、「功績」も正当に評価しなくては。

今から20年余り前、世論・マスコミ・論壇が「価格破壊」「規制緩和」礼賛一辺倒であった時代に、その空気に抗い、
“価格破壊は賃金破壊、雇用破壊、文化破壊につながる”
と公然と異議を唱えたのが、他ならぬ西部氏であったことを忘れてはならない。

当時のメジャーな知識人で、西部氏と同様の論調を唱えたのは、(政治的スタンスはほぼ正反対であるが)内橋克人氏くらいで、ほぼ孤立無援といってよかった。
今となっては、当時の「価格破壊」「規制緩和」礼賛論者と、西部氏(および内橋氏)のいずれが正しかったか、言うまでもあるまい。

実際には、西部氏らの良識は顧みられることはなく、それとは全く似て非なる「リフレ派」なるまがいもの集団に経済論壇が乗っ取られたのは、日本にとって不幸以外の何物でもなかった。

規制緩和・貿易自由化はマクロの一般物価ではなくミクロの個別価格の問題で、デフレとは無関係”
“日銀の金融政策という「マクロ政策」のみが唯一正しいデフレ対策で、個別の産業政策は無意味”
なる妄説を流布させ、ネオリベグローバル化に棹さした「リフレ派」の罪はきわめて重い。

“雨や風はミクロの現象で、マクロの台風とは無関係”
“台風に核爆弾をぶち込んで消滅させる「マクロ政策」のみが唯一正しい台風対策で、個別の治水・砂防対策は無意味”
と放言するようなものだ。

urinarazukeさんの言われる「リフレ派」は、よく濱口桂一郎氏が「りふれは」と言っているような人たちのことだろう。たとえば高橋洋一とか。最近では、連合は自民党を支援すべきとほざいた長谷川幸洋など実にひどいものだ。長谷川は新自由主義者だと認識していたが、いつの間に安倍晋三(というか岸信介の)「国家社会主義」の信奉者になったのかと開いた口が塞がらなかった。これがたとえばスティグリッツクルーグマン流の考え方を当てはめれば、安倍政権の経済政策のうち金融政策には一定の評価を与えつつ緊縮的かつ再分配には全く不熱心な財政政策や諸外国や安倍自身の「お友達」に対するバラマキを厳しく批判し、さらに規制緩和の大半は百害あって一利なしと切り捨てる立場が一番すっきりしていると思うのだが、それを何度書いても一歩で「小沢信者」から「安倍信者」とそしられる一方、未だにデフレをありがたがる「リベラル」が後を絶たない現状に半ば匙を投げている。また、経済学者やエコノミストたちの内部で、相互批判が全然行われなる気配すら感じられないことは、彼らに対する私の不信をいやが上にも強めている。あの同調圧力の強さは異常だ。「リベラル」たちに働く同調圧力もひどいものだけれど。

それはともかく、「西部邁 価格破壊」でググって、下記のツイートをみつけた。

https://twitter.com/ko_bayashi/status/955041515306287105

西部邁といえば1995年ごろ、色んなものを安く売る「価格破壊」ってムーブメントが起こってみんな喜んでたんだけど、西部邁だけが「モノの値段が安くなったって喜んでるけど、巡り巡ってあなたの給料が安くなるんですよ」って説いてたのは流石でした。今じゃ常識ですが、そうなる前の予言ですからね

西部邁だけ」ではなくurinarazukeさんが挙げられた内橋克人もいたし、他にもいたのではないかと思うが、未だに「貧乏人にとってはデフレがありがたい」と言って憚らない「リベラル」が少なからずいることを思えば、これは西部の「光の部分」だったといえるかもしれない。